ルパン三世_ルパンVS複製人間
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「マモー」はこの項目へ転送されています。本作のマモーをモデルとしたパロディキャラクターについては「マモー・ミモー」をご覧ください。

ルパン三世
ルパンVS複製人間
監督吉川惣司
脚本大和屋竺
吉川惣司
原作モンキー・パンチ
製作藤岡豊
出演者山田康雄
増山江威子
小林清志
井上真樹夫
納谷悟朗
西村晃
三波春夫
赤塚不二夫
梶原一騎
音楽大野雄二
主題歌三波春夫「ルパン音頭」
製作会社東京ムービー新社
配給東宝
公開 1978年12月16日
2017年9月1日(MX4D版)
上映時間102分
製作国 日本
言語日本語
製作費5億円[1][2]
配給収入9億1500万円[3]
次作ルパン三世 カリオストロの城
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『ルパン三世 ルパンVS複製人間』(ルパンさんせい ルパンたいクローン)は、1978年に公開された日本アニメ映画モンキー・パンチ原作のアニメルパン三世』の劇場映画第1作である。賢者の石を巡る争奪戦を機に、ルパン三世と自らを神と名乗る謎の人物・マモーとの対決を描く。監督は吉川惣司

本来のタイトルは『ルパン三世』。ビデオソフト化の際に他の作品と区別するため、キャッチコピーの一部だった現在の副題が付いた。副題がつく以前は『マモー編』という通称があった[4]

キャッチコピーは「ルパンvsクローン<複製人間>──世界史をぬりかえるのはどっちだ!?」。
概要

当時、日本テレビ系で放送されていた『ルパン三世 (TV第2シリーズ)』(以下、『TV第2シリーズ』)の人気を受け製作された。また、当時の劇場用アニメはテレビシリーズの総集編というものが多く、その中で総製作費5億円をかけた完全新作となった[1]

本作は「初期の頃の大人向けのルパンが見たいという声にお応えします」という制作趣旨が明言され、子供も含む幅広い年齢層を対象にした『TV第2シリーズ』ではなく、アダルトでハードな世界観である『ルパン三世 (TV第1シリーズ)』(以下、『TV第1シリーズ』)初期の作風に近づけることを命題とした。このため、スタッフは『TV第1シリーズ』に参加した人物が多く起用され、公開時におけるセールスポイントの一つでもあった[1]

後年の作品で登場がほぼ恒例となる、峰不二子以外のマドンナ的な役柄となる女性オリジナルキャラクターが本作には存在しない。不二子がヒロインとしてルパンとの関係にも焦点が当てられており、その存在についても物語のキーポイントの一つとなっている。

初公開時、「世界初の長編アニメビジョン」と宣伝で謳われていた。これは、大画面(ビスタ・サイズ)での公開に合わせ、作画に通常より大きい背景やセル画を用いたアニメビジョン方式(アニメーションとビスタ・サイズを合わせた造語)が初めて採用されたことを指している[1][5]

製作時、裏テーマとして「映画を盗め」というものがあったといい、様々な映画のパロディが指摘できないほど散りばめられている[6]

本作はクローン技術をテーマにしたSF作品でもあり、細胞分裂の限界(詳細はテロメアを参照)などクローンに関する知見を盛り込んでいる。公開された1978年当時は、イギリスで「試験管ベビー」と呼ばれる世界初の体外受精児が誕生したため、クローンは旬のテーマだった[注釈 1]

特別ゲストとして、エジプト警察署長役に三波春夫、アメリカ合衆国大統領役に赤塚不二夫、ソ連書記長役に梶原一騎[注釈 2]が出演している[7]
あらすじ

ある日、一人の男が処刑された。その男が「ルパン三世」であることは、鑑識の結果、事実だった。だが、銭形という警部だけはその事実を信じなかった。

銭形は、狂気に取り付かれたかのような勢いでルパンが埋葬されているドラキュラ城へ車で赴き、「物事には、限りってものがあるんだ」とルパンの遺体に自らの手でとどめを刺そうとするが、遺体は爆発してしまう。その時、爆発の衝撃で引っくり返った銭形の目の前に、先ほど爆発したはずのルパン本人が現れた。そのルパンの言葉によると処刑されたのは偽者であるらしく、銭形はとりあえずと言わんばかりにルパンを逮捕しようとするも、逃げられてしまう。

自分が本当に本物なのか迷いつつもルパンは不二子の依頼を受け新たな仕事へ出発、次元と共にエジプトにあるピラミッドから「ある石」を盗み出した。その石は、人間に永遠の生命を与えるとの言い伝えがある「賢者の石」と呼ばれるものだった。

その頃、不二子はとある男の用意した部屋にて裸で寝ていた。起床を促す声で渋々寝起きのシャワーを浴びる不二子。入浴していた理由は声の発生源を見つけ出す事であった。しかし声はフェイクであり、不二子は男の正体に未だたどり着けずにいた。それすらも想定の範囲内であるかのように微笑んだ不二子はバイクスーツを装着、ルパンの元へと走り出す。

賢者の石を持ってきたルパンに対し、不二子はいつにも増して冷淡な態度で応対し、ルパンの隙を突いて硬化ガスを吹き付け賢者の石を持ち去ってしまう。そんな不二子もまたある人物に依頼されていたが、「マモー」と名乗るその依頼主は、ルパンを使って不老不死に関する品物を集めていた。しかし、ルパンは盗聴器付の偽物を渡したため、マモーに狙われる。

不二子はマモーの手を逃れてスペインにあるルパンの隠れ家に向かい、助けを乞うが、次元と五ェ門は不二子の密告によって痛い目に遭っていたため不二子を許さない。不二子をかばうルパンに愛想をつかした2人は、ルパンのもとを去ってしまう。ルパンと不二子は2人だけの一夜を過ごすことになったが、不二子はまたもルパンを欺き、麻酔薬でルパンを眠らせ、やって来たマモーの部下・フリンチに引き渡した。

フリンチに捕らえられたルパンは、マモーのアジトの島でナポレオンヒトラーらしき人々に出会う。彼らはマモーのクローン技術によって複製された人々だった。マモー自身も1万年前から自己を複製し続けてきた複製人間(クローン)、永遠の命を得た「神」だと自称するが、ルパンは信じない。

一方、次元と五ェ門はFBIのゴードンに拘留されてしまう。マモーはアメリカ政府をも脅迫し、医学・細胞学や生命工学の機密情報を要求していたのだ。マモーの本拠地を問い詰められるもシラを切る次元と五ェ門は、ゴードンの上司であるスタッキー大統領特別補佐官の命令により釈放され、ルパンの残したメモを元にマモーの島へ船で向かうが、船底には必死に船に掴まる銭形がいた。

そのころルパンは賢者の石と不二子を奪い、島中を逃げ回っていた。そこへ助けに来た次元の手によってマモーは射殺され、フリンチも五ェ門に倒され、ルパンたちは逃げ出すことに成功する。そして、島はアメリカ軍の空爆によって葬られた。空爆を命じたスタッキーは「この世で神がいるのだとすれば、それは我々だ」と言い放つ。

コロンビアの田舎町にあるホテルへ逃れたルパン一行だったが、そこへ死んだはずのマモーが現れて不二子を連れ去り、「処刑されたルパンはマモー自身が作ったクローン、いやあるいは処刑されたルパンが本物では?」と挑発する。ルパンの「お前が神なら、奇跡を起こせ」との反発に答えるようにコロンビアの街を大地震が襲い、街は廃墟と化す。

地震のカラクリを見破ったルパンは、心が折れた次元の制止を振り切り、単身マモーの本拠地へ乗り込む。マモーは本拠地で核ミサイルのボタンを押してアメリカ政府を挑発するが、ルパンの工作により核ミサイルはその場で爆発し、マモーの秘密基地は崩壊。戦いの末、自らのクローンを失ったマモーはロケットで宇宙に逃げようとするが、ルパンに阻まれ、最後の時を迎えた。

マモーとの対決が終わり、ルパンを追って来た銭形の前で、ルパンが不二子にキスをしながら服をめくり乳首を押した瞬間、全ての秘密を揉み消すため各国からマモーの秘密基地へミサイルが発射される。不二子は次元に救出され、残されたルパンと銭形は手を取りあって逃げ出すのであった。
登場人物
メインキャラクター「ルパン三世#登場人物」も参照
ルパン三世(ルパンさんせい)
- 山田康雄本作の主人公。かの名高き怪盗アルセーヌ・ルパンの孫で、自らも世界的な大怪盗かつ変装の達人。自分が処刑されたという訳のわからない話を聞き、厳正な鑑識の結果も「間違いなく処刑されたのはルパン三世本人」と断定されたため困惑している。
峰 不二子(みね ふじこ)
声 - 増山江威子本作のヒロイン。ルパン一味とは付かず離れずの紅一点で、時にはルパンを利用したり裏切ったりすることも多い。相変わらずルパン達を振り回す行動を見せるが、今回は「不老不死」という願いを叶える為だけに次元や五ェ門でさえ腹に据えかねる程の追い打ちを行った結果、三人が仲違いする原因を作る。ルパンに対する本当の想いも垣間見せる。
次元 大介(じげん だいすけ)
声 - 小林清志コンバットマグナムを使う射撃の名手でルパンの相棒。義理堅く頼りになる男。不二子の度重なる裏切り行為に堪忍袋の緒が切れて、意見が対立したルパンと喧嘩別れをしてしまうが、その後もルパンの危機を見過ごせずに駆け付ける。
石川 五右ェ門(いしかわ ごえもん)
声 - 井上真樹夫古の大泥棒・石川五ェ門の末裔。最強の刀「斬鉄剣」を武器に戦う居合い抜きの達人。
銭形警部
声 - 納谷悟朗インターポール所属のルパン三世専任捜査官で、階級は警部。専任捜査官である故、ルパンに関係する事件なら世界中どこでも捜査権が認められている。「一度ルパンが死んだ」という体験をした為か、今回は言動や行動がいつもよりも増してエキセントリックになっており、冒頭の狂気じみた行動やルパンに対する捜査権行使の際の自己中心的な振る舞いからエジプトの警察署長と対立している。その後、マモーが全人類規模の重要人物である事から、事件への介入を中止するようインターポールを通じて警視総監から辞令を受けるが、何も事情を理解出来ないまま辞職を宣言し、個人でルパンを追う執念深さを見せた。また、妻帯者である事が判明した(娘の名前は「トシ子」)。本作では警視総監から渡された、内閣総理大臣からの報奨金の封筒に「銭形平次殿」と書かれている。
ゲストキャラクター
マモー
声 -
西村晃クローン技術によって己自身を生み出し育むことで1万年を生き抜き、歴史を影から動かしてきたと自称する天才科学者[注釈 3]。表向きは世界一の大富豪「ハワード・ロックウッド」として鉄鉱造船運輸報道などに関与する多国籍企業財団)を経営、世界の富の3分の1を支配しており、近年では考古学発掘も手がける。ただしルパンは神の名を騙って世界中を騙そうとしたペテン師と見なし、最後まで信じなかった。子供のような低い頭身、薄灰色の肌、カールした頭髪と、人間離れした不気味な姿が特徴[注釈 4]念動力を使うが、次元との戦闘では、拳銃も使用する。性格は極めて傲慢かつ独善的で、自身を「預言者」「神」と言って憚らず、たとえ相手が大国の大統領であろうと尊大に振る舞い、加えて優れたものや美しいものなど自分が選んだ者のみ生きていれば良いという強い選民思想の持ち主。取り分け不二子をいたく気に入っており、彼女を手元に置こうとする。部下には科学者やフリンチら多数の大男、自身のクローンの不良品達がいる。完全な不老不死を実現するために、不二子に賢者の石を渡すよう依頼した。他にも、米ソ政府に両国が持つ生命工学の情報を全て供与するよう要求したり、北京故宮博物院からは始皇帝の正薬、ドラキュラ城からはマンドラゴラの根と不老不死の伝説にまつわる品々を不二子を通じてルパンに盗ませていたが、自分が利用されていることを悟ったルパンに賢者の石の偽物をつかまされたことで敵対。ルパン一味に幾度も刺客と罠を差し向け、パリで武装ヘリやトレーラーで追撃する、先んじてアジトを潰す、砂漠でヘキサンのデモンストレーションで脅すなどして追い詰め、不二子の手引きでルパンを捕らえる。本体は130代目にあたる巨大な脳で、クローン技術に目覚めた当初は通常のクローン連鎖によって生き続けてきたが、劣化コピーの問題が無視できなくなったことから、この代において脳だけを取り出し、特殊なリンゲル液の中で永久保存することとし、生物個体としての自身のクローン、つまり「コピーのコピー」を電子装置で遠隔操作していた。劇中に登場するマモーの1体目は次元に射殺され、2体目はルパンに発射したレーザーを斬鉄剣の破片で反射され、逆にレーザーの直撃を受けたことで焼死する。賢者の石をもってして不老不死を実現できなかったことに絶望し、自分の要求を拒否した米ソへの報復も兼ねて全世界にミサイル攻撃を仕掛けようとするが、基地に忍び込んだルパンにミサイルを破壊され失敗。最後は自らのオリジナルとなる脳をロケットに乗せて、宇宙の彼方へ送る事で逃亡を図る[注釈 5]が、発射前にルパンが仕掛けた爆弾でロケットを大気圏離脱直後に爆破され、1万年の生涯に終止符を打つ事となった。その後、ロケットの発射に巻き込まれて土の中から盛り上がって出てきたルパンから「マモー、感謝しな。やっと死ねたんだ。」とはなむけの言葉を贈られる。キャラクターのイメージはポール・ウィリアムズから。名前の由来は原作と『TV第1シリーズ』に登場する魔毛狂介で、脚本の大和屋が「ルパンを追い詰める宿敵」という理由から付けた仮名がそのまま採用されたとのこと[8]
スタッキー
声 - 大平透アメリカ合衆国大統領特別補佐官で、次元曰く「世界で一番偉い男を操っているおっちゃん」。米国へのマモーの脅迫に対し、極秘裏に対応を進めていた。ホットラインに割り込んできたマモーの本拠地を探るために次元と五ェ門を拘束。拷問までちらつかせて取調べをするが、2人がマモーについて何も知らないことがわかると、2人を釈放。だがその裏で偵察衛星からしっかりと2人の動向を監視していた。一見冷静な知性派に見えるが、「この世で神がいるのだとすれば、それは我々だ」と言い放つなど、傲慢な面も持ち合わせている。ハワード・ロックウッドの正体がマモーだと判明すると、マモーの本拠地への空爆を開始。


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