ルパン三世_カリオストロの城
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ルパン三世 カリオストロの城
監督
宮崎駿
脚本宮崎駿
山崎晴哉
原作モンキー・パンチ
製作藤岡豊
出演者山田康雄
増山江威子
小林清志
井上真樹夫
納谷悟朗
島本須美
石田太郎
音楽大野雄二
主題歌ボビー炎のたからもの
製作会社東京ムービー新社
配給東宝
公開 1979年12月15日
2024年5月17日(劇場公開・4Kリマスター版)
1990年6月17日(テレビ放送)
上映時間100分
製作国 日本
言語日本語
製作費5億円[1]
興行収入 6億1000万円[2]
配給収入 3億500万円[3]
前作ルパン三世 ルパンVS複製人間
次作ルパン三世 バビロンの黄金伝説
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『ルパン三世 カリオストロの城』(ルパンさんせい カリオストロのしろ)は、1979年に公開された日本アニメ映画モンキー・パンチ原作のアニメ『ルパン三世』の劇場映画第2作で、宮崎駿の劇場映画初監督作品である。ヨーロッパの小国・カリオストロ公国を舞台に、指輪に秘められた宝と偽札の謎に挑むルパン三世たちの活躍を描く。

キャッチコピーは、「前作をしのげないのなら 2作目を作る意味がない。」「巨大な城が動き始める!影の軍団が襲ってくる!」「生きては還れぬ謎の古城でついにめぐり逢った最強の敵!」。
概要

1978年に公開された『ルパン三世 ルパンVS複製人間』(以下、『ルパンVS複製人間』)に続くアニメ『ルパン三世』の劇場版第2作目として制作され、『ルパン三世 (TV第2シリーズ)』(以下、『TV第2シリーズ』)の放送中に公開された。

本作はスタジオジブリ作品をはじめ、数多くの作品で監督などで携わっている事で知られる宮崎駿の映画初監督作品[注釈 1]である。

『ルパン三世』シリーズの中でも、屈指の人気を誇る作品として知られる[4]。公開当時の興行収入は低かったものの、評論家や関係者の中では高く評価され、その後はテレビ放送や上映会等が繰り返された事もあって人気が高まっていった。また、本作での宮崎の演出やレイアウト手法は、後世のアニメ業界に影響を与える事となった。

ルパン三世 (TV第1シリーズ)』(以下、『TV第1シリーズ』)後半に「Aプロダクション演出グループ」名義で参加した宮崎や『TV第1シリーズ』の作画監督である大塚康生が参加したことで、『TV第2シリーズ』や『ルパンVS複製人間』と異なり『TV第1シリーズ』後期に準じた作風となった[5]。本作でルパンは『TV第1シリーズ』で着用していた緑色のジャケットを着用しており、車も『TV第1シリーズ』後半に登場したフィアット・500を使っている[5]

宮崎は本作を「『旧ルパン』、東映時代の作品の大棚ざらい」と位置付けており、参加した『TV第1シリーズ』や東映アニメーション所属時代に使用したアイデア・演出技法などを多く参考にしている[6]。また、作風には宮崎独自の解釈や個性が強く反映されている。

日本テレビ系金曜ロードショー』では、スタジオジブリ作品と同じく現在も定期的に放送されている。
あらすじ
プロローグ
世界的な怪盗
ルパン三世は、仲間の次元大介石川五ェ門[注釈 2]と共に、モナコの国営カジノの大金庫から大金を盗み出すが、それが真券同然の精巧さで知られる幻の偽札ゴート札」であることに気づく。ルパン家の家訓の一つ「偽物に手を出すなかれ」に従い、偽札を車から撒き散らして捨てたルパンと次元は、ゴート札を次の標的に定めて、その出処と疑われているヨーロッパのカリオストロ公国に向かう。
序盤
入国したルパンたちは、猛スピードで車を走らせるウェディングドレス姿の少女と彼女を追う男達を見かけ、訳もわからぬまま少女を助けようとする。少女はこの国の亡き大公の娘クラリスだった。クラリスは、大公夫妻の死後摂政としてこの国を治めているカリオストロ伯爵に結婚を迫られ、逃げ出したのだ。ルパン達は追っ手を撃退したが、ルパンはクラリス共々崖から落ち、さらに落ちてきた枯れ木に頭を直撃され気絶する。その間に別の追っ手が迫り、クラリスはルパンに累が及ばないよう単身その場を離れ、連れ去られてしまう。意識を取り戻したルパンは、クラリスが残していった手袋の中に指輪を見付けて、幼い頃の彼女に出逢ったことを思い出す。かつてルパンがゴート札を狙って公国に忍び込んだものの、迎撃を食らい重傷を負わされたとき、介抱してくれた幼女がクラリスだったのだ。一方、捕らえたクラリスが指輪をしていないことに気づいた伯爵は、クラリスの逃亡を手助けしたルパンらに暗殺集団を差し向ける。伯爵は自分の持つ金の指輪とクラリスの銀の指輪を合わせることで手に入れることができるというゴートの秘宝を狙っていたのだった。夜半、宿に現れた暗殺集団の手から逃れたルパンは、伯爵にクラリス奪取を予告。五ェ門を呼び寄せるとともに、ルパンの逮捕に執念を燃やす国際警察(ICPO/インターポール)銭形警部に情報をリークし、クラリスが監禁されている伯爵の城へ来るように仕向ける。銭形は埼玉県警の警察官を多数率いて早速城へとやってくるが、衛士たちに邪魔されて思うように捜査ができない。
中盤
ルパンはローマ帝国時代に築かれた水道橋を伝って城内に潜入すると、銭形に変装して衛士隊を欺き、騒ぎを引き起こしてその隙に更に奥へと入り込む。クラリスの身のまわりの世話をする使用人として城に入り込んでいた峰不二子からクラリスの居場所を聞き出したルパンは、クラリスと対面して指輪を返し、クラリスとしばし心を通わせるが、伯爵に見つかり、地下へと通じる穴に落とされてしまう。地下は巨大な牢獄になっていて、権謀術数の犠牲者やゴート紙幣の謎をつかもうとして伯爵家に捕らえられた者たちの骨や遺品が散らばっていた。しかしルパンが返した指輪は盗聴器が仕込まれた偽物だった。伯爵の狙いがカリオストロ家の先祖の財宝であり、その鍵である2つの指輪のうちのひとつを手に入れるためにクラリスに結婚を強いていたことをその指輪を通じて聞き出したルパンは、本物の指輪が欲しければクラリスに危害を加えないようにとマイクを通じて伯爵に警告する。地下牢獄を調べていたルパンは、先の騒動の際に落とし穴にかかっていた銭形と再会する。ふたりは指輪奪還の為に放たれた暗殺者を協力して返り討ちにして地下牢獄から脱出する。その途上、礼拝堂の地下にある偽札工場を発見したことにより義憤を抱く銭形と、クラリスを連れて城を抜け出したいルパンは、一時休戦することを約束する。ルパンは偽札に火を放って城内を混乱させ、銭形とともに伯爵のオートジャイロを奪い、クラリスを救い出すことに成功したかに見えたが、追いついた伯爵一味に胸を撃ち抜かれて重傷を負う。銭形と不二子によってルパンは辛くも救出されるが、クラリスと本物の指輪は伯爵の手に落ちる。ルパンと別れた銭形は持ち帰った偽札の証拠を国際警察に提出し、出動を要請するが、「高度に政治的な問題」であることと「クラリスをルパンから守った」伯爵を支持する世論を理由に、国際警察はゴート札について各国毎の対応に留め不動を貫き、銭形を愕然とさせる。銭形はルパン捜査担当の任を解かれ、失意の内に日本へと帰国する準備を始める。
終盤
大公夫妻に仕える庭師だった老人の治療によって命を助けられたルパンは、かつてクラリスと出遭ったいきさつを一同に明かす。そこへ不二子からクラリスと伯爵の結婚式に出席する大司教一行が来るという情報を得て、大司教に変装して城に入り込む。一方、ルパンが結婚式を襲うと不二子から知らされた銭形も、「ルパンによる結婚式襲撃を阻止し、同時にルパンを逮捕する」という天下御免の名目を得てカリオストロ公国へと再び向かう。不二子は結婚式を世界中継するテレビクルーの一員になりすましている。ルパンは結婚式の最中に騒ぎを起こして指輪を奪い取り、クラリスを抱いて窓から式場を脱出する。式場の礼拝堂では衛士隊と暗殺集団、そして城内に突入してきた銭形率いる機動隊との間で大乱闘が生じる。その隙に銭形はルパンを追う振りをして地下の偽札印刷工場に駆け込むと、追ってきた不二子が構えるテレビカメラの前で大仰に偽札を掲げてみせる。次元と五ェ門が防戦する間、ルパンとクラリスは水道橋を走って渡る。そこへ水上から追手が追い付き、二人は時計塔の内部に逃げ込むが、クラリスは最上部にある巨大な時計の短針の先まで伯爵に追い詰められてしまう。ルパンはクラリスから聞いた指輪に関する言い伝えと、時計塔を見て気付いた指輪の秘密を伯爵に教え、指輪を使うことで手に入るであろう宝と引き換えにクラリスを引き渡すよう要求する。交渉に応じる振りをした伯爵はルパンの隙を突いて指輪を奪い取り、ルパンを助けるために伯爵を道連れに投身しようとしたクラリスを湖へと蹴落とす。ルパンは後を追って宙に身を投げ、クラリスを抱き止めながら共に湖へと落ちて行く。ルパンの言葉に従い、伯爵は大時計の文字盤にあるヤギの彫刻の両眼に二つの指輪を填める。ところがそれと同時に時計塔の内部の複雑な歯車が一度に動き出し、時計の針が急速に12時へ回り始める。逃げ場を失った伯爵は長針と短針に挟まれて無残な最期を遂げる。やがて時計塔そのものが崩壊を始め、湖の周囲の壁に巨大な穴があいて湖の水が城に流れ込んでくる。夜が明け、無事に湖岸へと辿り着いていたルパンとクラリスは湖の底から現れた遺跡の姿を目の当たりにする。湖は実は時計塔を水門としたダム湖で、財宝とは先祖が隠した古代ローマポリスであり、時計塔の仕掛けは湛えられている水を排出して沈んだ遺跡を表出させるための装置、そして指輪はその起動装置だったのである。
エピローグ
銭形が不二子とともに衛星テレビ中継で偽札工場の全容を全世界に晒したことで、ようやく国際警察も動き出し、歴史の暗部と言われたカリオストロ公国についに捜査のメスが入ることになった。国連の空挺部隊が城に向けて降下するのを見ながら、クラリスはルパンについて行くことを望むが、ルパンは葛藤しながらも「お前さんの人生はこれから始まるんだ。俺のように薄汚れちゃいけないんだよ」と国に留まるよう諭し、「困った事があったらいつでも連絡しろ、地球の裏側からだってすぐ来てやるから」と言い残し、次元と五ェ門とともに去って行く。ルパンを追ってきた銭形が、「ルパンめ、まんまと盗みおって…!!」と悔しがる。「彼らは何も盗んでいない、自分の為に戦ってくれた」と擁護するクラリスに対し「いや、ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です」と言い当てると、クラリスは目を輝かせて「はい!」と答える。それを聞いた銭形は敬礼と別れの挨拶をして去って行く。別の車両で彼に付いて行く埼玉県警の警官達も、清々しい表情で手を振るのだった。いつかきっとまた会えると希望を抱きながら、クラリスはルパンと銭形たち警官隊の車が追いつ追われつしながら地平線へと消えていく光景を見つめていた。
登場人物
メインキャラクター「ルパン三世#登場人物」も参照
ルパン三世(ルパンさんせい)
- 山田康雄本作の主人公。怪盗ルパンことアルセーヌ・ルパンの孫で、狙った獲物は決して逃がさない世界的な大怪盗にして変装の達人。ゴート札の出処と疑われているカリオストロ公国へ入国した際に追われていたクラリスを見かけ、助けるために追っ手を撃退するが、彼女は別の追っ手に連れ去られてしまう。クラリスが残した指輪を見て、彼女が昔自分を助けてくれた幼女であったことに気づき、恩に報いるためにも行動する。
峰 不二子(みね ふじこ)
声 - 増山江威子ルパン一味の付かず離れずの紅一点で、時にはルパン達を利用したり裏切ったりすることも多い。カリオストロ城の秘密を探るため、ルパンたちより先に単独で「クラリスの召し使い」として城内に潜入していた。今作ではルパン一味との関わりは少ないものの[注釈 3]、ルパンや銭形に情報を流して陰ながらにサポートをしている。
次元 大介(じげん だいすけ)
声 - 小林清志“コンバットマグナム”S&W M19を使う射撃の名手で、ルパンの相棒。ルパンと共にカリオストロ公国の城に水中から潜入するもはぐれてしまい、その後は五ェ門と共に重傷を負ったルパンを匿ったり、対戦車ライフルによる射撃で援護したりした。クラリスの事を「お姫さん」と呼び、健気な彼女を良い娘と評している。
石川 五ェ門(いしかわ ごえもん)
声 - 井上真樹夫ルパン一味の一人。大泥棒石川五ェ門の十三代目で、最強の刀「斬鉄剣」を武器に戦う剣客。ルパン達と合流した際、ルパンがわざと銭形をカリオストロに呼んだ意図を見抜く等持ち前の勘の鋭さを見せた。クラリスの真摯な立ち振る舞いに触れて、思わず「可憐だ」と漏らし、その後の戦闘では普段以上の冴えを見せた。
銭形 幸一(ぜにがた こういち)
声 - 納谷悟朗インターポール所属のルパン三世専任捜査官で、階級は警部。通称「(銭形の)とっつぁん」。専任捜査官である故、ルパンに関係する事件なら世界中どこでも捜査権が認められている。ルパンの情報を聞きつけて埼玉県警機動隊[注釈 4]を率いてカリオストロ公国に駆け付け、伯爵城の外周警備を行うが、カリオストロ伯爵の裏工作でインターポールから帰還命令が出る。納得できずに伯爵に掛け合おうとするが、床に仕掛けられた罠により城の地下牢獄に落とされ、途方に暮れているところを同じく落とされたルパンと合流。ゴート札の秘密を知りルパンと一時休戦して共に地下から脱出。インターポールにニセ札製造の実態を訴えるも歴史の暗部に深く噛む事案であるがゆえに歯牙にもかけられなかったため、一時は落胆して任務から退く。その後、不二子からルパンが伯爵の結婚式に乱入する気であることを知らされる。これ幸いと、ルパン逮捕を口実にニセ札の製造現場とその実態を世界に暴露するべく自らも再び機動隊を指揮して現場に赴く。ルパンの大暴れによる騒ぎの中、城に機動隊を率いて突入し、レポーターに変装して潜入した不二子と共に地下の偽札工場を偶然発見した振りをして世界中に中継することで、インターポールの鼻を明かした。相変わらずルパンを逮捕できなかったが今回の事件に関しては色々と理解を示していた。ルパン曰く「昭和一桁生まれ」とのこと。他の作品と違い、手錠や拳銃を取り出す場面が無く、十手を振るうか徒手格闘のみである。
ゲストキャラクター
クラリス・ド・カリオストロ
声 -
島本須美本作のヒロインにしてキーパーソン。カリオストロ公国の公女で、大公家最後の姫君。大公家に伝わる「銀の山羊の指輪」の所有者。7年前に起きた大公の館の大火事[注釈 5]で両親を亡くして以来、永らく修道院に入っていたが、両家を統一し国を手中に収めようとするカリオストロ伯爵との政略結婚を強いられる。非道な行為を続ける伯爵に反発し、婚礼衣装の仮縫いの隙を突いて脱走する。伯爵の差し向けた追手から逃げている途中でルパンと再会し、一時は助けられるが、再び捕らわれる。終盤では薬物により意識を奪われた状態で結婚式を挙げさせられていたが、三たび城に潜入したルパン一味に助けられ、逃亡中に次元と五ェ門にも感謝の言葉を述べた。幼少期、若き日のルパンがゴート札を狙って忍び込んだ伯爵の城から脱出中に負傷し行き倒れていたところを介抱していた。クラリス本人はその時のことを覚えていないが、エピローグでは「ずっと昔にあの方(ルパン)に会ったような気がするの。……ルパン……。きっとまた会えるわ」と呟く。
ラザール・ド・カリオストロ伯爵
声 -
石田太郎[注釈 6]カリオストロ公国の摂政を務める事実上の統治者。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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