ルノーB1
[Wikipedia|▼Menu]

ルノーB1重戦車ソミュール戦車博物館のルノーB1bis
この車両は砲塔の車長用展望塔に天面ハッチが増設されている
性能諸元
全長6.38 m
全幅2.49 m
全高2.81 m
重量30 t
32 t(bis)
懸架方式縦置きコイルスプリング方式
前進5速/後進1速
後輪駆動
速度27.6 km/h
行動距離150 km
主砲17口径75mm戦車砲SA35(74発)※車体部
副武装

B1
30口径47mm戦車砲SA34(50発)※旋回砲塔
7.5mm機関銃M1931×2(5,100発)※旋回砲塔及び車体部

B1bis
32口径47mm戦車砲SA35(50発)※旋回砲塔
7.5mm機関銃M1931×2(5,100発)※旋回砲塔及び車体部

装甲20mm?40 mm ※砲塔
最大60 mm ※車体
エンジン

B1
ルノー S6bis 4ストローク直列6気筒液冷ガソリン
180 hp

B1bis
ルノー Naeder FIEUX 4ストローク 直列6気筒液冷ガソリン
250 hp
/ルノー BDR 4ストローク 直列6気筒液冷ガソリン※後期生産車
300 hp

乗員4 名
車長兼砲塔砲手(装填手兼業)、操縦手兼車体砲手、車体砲装填手、無線手兼機関助手
テンプレートを表示

ルノーB1(ルノー ビーワン) :フランス語: Renault B1)とは、第二次世界大戦前にフランスで開発された重戦車である。

なお、「シャール B1(Char B1)」とも呼称、表記されるが、“Char”とはフランス語で“戦闘馬車”(英語で言うところの“Chariot(チャリオット)”)のことで、「Char B1」ならば「B1型戦車」の意である。
開発の経緯1929年にルノーから引き渡された試作1号車(車体番号101)。車体はほぼ生産型に近いが、試験用に機銃2丁装備のST2砲塔を搭載している。柵状のアンテナは生産型には使われなかった。

B1重戦車の原型は1920年代にフランス陸軍で戦車の研究をしていたJ.E.エティエンヌ将軍の「1921年計画」にまでさかのぼる。彼は第一次世界大戦においてフランス軍が使用したシュナイダーCA1サンシャモン突撃戦車のような歩兵支援用の重砲を搭載したタイプの戦車(「戦闘戦車」と呼称。後のドイツの突撃砲に相当)を提案した。それは47mm級、あるいは75mm級の戦車砲を主武装として車体に装備するもので(車体上面の旋回砲塔の武装は副武装である)、重量は15t程度を予定していた。陸軍もこのタイプの戦車の採用を決定し、ルノー社をはじめとする5社に対し開発案が示された。

1924年には早くもモックアップが完成しているが、15tという計画重量内に収めることが不可能だと判明し(結果的に重量が膨れ上がっていって、最終的に重戦車に分類されることになる)、新たに20tクラスの戦車というように開発案が変更された。1926年1月には3種のモックアップの技術評価試験が行われた結果、新型戦車はFCM社の技術協力の下、ルノー社が主導で開発することになった。

当時の技術のもとでは20t級重戦車の開発は相当に難しかったらしく、紆余曲折の末試作車が完成したのは1929年であり、1931年の終わりまでに試作車3両が完成した。

試作車は次のような設計であった。

車体前部右側に17口径75mm戦車砲SA35および2挺の7.5mm機関銃が装備され、鋳造製砲塔にも2挺の7.5mm機関銃M1931が装備されていた。

装甲板はリベットで接合されていた。しかしこれはリベットの頭に被弾した際にリベットの残りの部分が車内を跳ね回り乗員を殺傷する恐れがあり、防御上不安な部分であった。当時はまだ溶接技術が発達しておらず、リベットで装甲板を固定している戦車に共通する問題であった。

車体に重砲を搭載し、砲塔に対戦車砲を搭載していた。この方式はアメリカのM3中戦車や、イギリスのチャーチル歩兵戦車でも見られる。

エンジンは走行中でも点検・整備ができるよう配慮がなされており、燃料タンクは内部にゴムの内張りを貼る「セルフシーリングタンク」とすることで被弾時に開いた穴を自動的に塞ぐようになっていた。

足回りは完全に装甲板で覆われていた。後輪駆動方式で、ソールプレートの付いた独特の履帯(無限軌道)は車内から張度の調整が可能であった。

試作車は長期間の試験を経たのち1934年5月にようやくChar lourd B1(B1 重戦車の意、“B”はフランス語の“Bataille(=戦闘)”の頭文字から)として制式採用された。同年には生産が開始され、少数が生産された。

試作車と生産型ではいくつかの差異が見られる。砲塔は新型の1名用鋳造砲塔、APX-Iを搭載していた。APXとはこの砲塔がピュトー工廠(Atelier de Construction de Puteaux, APX)製であることに由来する。この1名用砲塔はソミュア S35の砲塔とよく似ており、実際にS35の試作型に搭載されたものと共通だが、S35の量産車は発展型のAPX-I CEが搭載されており、B1の砲塔とは砲塔リングの経を始め細部が微妙に異なっている[注釈 1]。武装も30口径47mm戦車砲SA34 1門と、同軸で7.5mm機関銃M1931を1挺装備し、攻撃力が向上した[注釈 2]。操向装置も油圧装置を組み込んだ機構を採用し、車体前面に固定されている75mm戦車砲 SA35をよりすばやく目標に指向することが可能となった。
改良型 ルノーB1bisフランス北部、マルヌ県のムルムロン・ル・グランに現存するB1bis。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:31 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef