ルナ10号
オービター(右側)と飛行ステージが結合した状態のルナ10号を再現した模型(ル・ブルジェ航空宇宙博物館)。
所属ソビエト連邦
国際標識番号1966-027A
ルナ10号(ロシア語:Луна-10、ラテン文字表記の例:Luna 10)は1966年に打ち上げられたソビエト連邦の無人月探査機。4月3日に世界で初めて月の周回軌道に乗ることに成功し、その後2ヶ月に渡って月とその周辺の宇宙空間の観測を行った。 ルナ10号は、月を周回するオービター(周回船)とオービターを月軌道まで届ける飛行ステージから構成されていた。飛行ステージの設計はルナ9号から受け継がれていたが、ルナ9号のランダーはオービターに置き換えられていた。 オービターは円筒にドームを被せたような形をしており、高さは1.2m、直径0.75m、質量は245kgだった。月を周回しながらの観測を行うよう設計され、観測機器としては、ガンマ線スペクトル計、磁力計、流星物質検出器、放電カウンター、赤外線観測装置、X線検出器、荷電粒子検出器の7種類を搭載していた。 飛行ステージの主な役割は、探査機を減速して月周回軌道に投入することだった(減速がなければ探査機は双曲線を描いて月を通過する)。このため、飛行ステージには強力な逆噴射用ロケットエンジンが搭載されている。ルナ9号の逆噴射エンジンはランダーを低速で着陸させるために使われたが、ルナ10号の場合は月軌道投入のために使われた。また、地球から月へ向かう途中で行う中間軌道修正や、逆噴射ロケットを噴射する際の姿勢制御も飛行ステージの役割だった。 飛行ステージも含めた探査機全体の質量は1597kgだった。電力はあらかじめ搭載されている化学電池によって供給されるため長期間の運用には制約があった。 1966年3月31日、ルナ10号はバイコヌール宇宙基地からモルニヤ8K78Mロケットによって打ち上げられた。探査機はロケットの第4段と結合したまま地球周回軌道に入り、続いて第4段のエンジンが噴射され月へ向かう軌道へ投入された。不要になった第4段は切り離された。翌日の4月1日には、飛行ステージによって正常に中間軌道修正が行われた。 4月3日、月まで8000kmに迫った時点でルナ10号の逆噴射ロケットが点火された。この燃焼で探査機は減速され、月を周回する軌道に投入された。軌道投入当初の軌道は、最も月に近づいたときの月面からの高度が349km、最も月から離れたときの高度が1015kmという楕円軌道で、軌道傾斜角が70度あり、月の南北の極を通る極軌道に近かった。軌道投入から20秒後には役目を終えた飛行ステージの分離が行われた。 オービターは月を周回しながら観測を続け、次のことを明らかにした。 このように数々の成果を挙げたルナ10号だが、搭載されたバッテリーは次第に消耗していった。軌道投入から56日後の5月10日、ルナ10号は電力の不足により運用を終了した。運用終了までに月を周回した回数は460回だった。
設計
ミッションの進行
月の磁場は存在しないか、きわめて弱い。
月面の岩石は玄武岩に似ている。
月にははっきりとした大気は存在しない。
月の重力分布に地域的な偏りがある(重力異常)。
関連項目
ルナ計画
参考文献
“ ⇒Luna 10” (英語). NASA - NSSDC. 2008年5月25日閲覧。
表
話
編
歴
ルナ計画
初期 - ボストークロケット
ルナ1958A†
ルナ1958B†
ルナ1958C†
ルナ1号
ルナ2号
ルナ3号
中期 - モルニヤロケット
スプートニク25号
ルナ4号
コスモス60号
ルナ5号
ルナ6号
ルナ7号
ルナ8号
ルナ9号
コスモス111号
ルナ10号
ルナ11号
ルナ12号
ルナ13号
ルナ14号
後期 - プロトンロケット
ルナ15号
コスモス300号
コスモス305号
ルナ16号
ルナ17号
ルナ18号
ルナ19号
ルナ20号
ルナ21号
ルナ22号
ルナ23号
ルナ24号
カテゴリ