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数学においてリーマン球面(リーマンきゅうめん、英語: Riemann sphere)は、無限遠点 ∞ を一点追加して複素平面を拡張したものである。このとき、関係式
1/0 = ∞
を、意味を持ち、整合的であり、かつ有用となるように構成できる。19 世紀の数学者ベルンハルト・リーマンから名付けられた。これはまた、以下のようにも呼ばれる。
複素射影直線と言い、CP1 と書く。
拡張複素平面と言い、? または C ∪ {∞} と書く。
純代数的には、無限遠点を追加した複素数全体は、拡張複素数として知られる数体系を構成する。無限遠点を伴う算術は、通常の代数規則すべてには従わず、拡張複素数全体は体を構成しない。しかしリーマン球面は、幾何学的また解析学的に無限遠においてさえもよく振舞い、リーマン面とも呼ばれる 1-次元複素多様体をなす。
複素解析において、リーマン球面は有理型関数の洗練された理論で重要な役割を果たす。リーマン球面は、射影幾何学や代数幾何学では、複素多様体、射影空間、代数多様体の根源的な事例として常に登場する。リーマン球面はまた、量子力学その他の物理学の分野等、解析学と幾何学に依存する他の学問分野においても、有用性を発揮している。 拡張複素数 (extended complex numbers) は複素数 C と ∞ からなる。拡張複素数の集合は C ∪ {∞} と書け、しばしば文字 C に追加の装飾を施して表記される。例えば、?, C または C∞。 幾何学的には、拡張複素数の集合はリーマン球面 (Riemann sphere) (あるいは拡張複素平面 (extended complex plane))と呼ばれる。 複素数の加法は任意の複素数 z に対して z + ∞ = ∞ {\displaystyle z+\infty =\infty } と定義することで拡張され、乗法は任意の 0 でない複素数 z に対して z ⋅ ∞ = ∞ {\displaystyle z\cdot \infty =\infty } とし、∞ ? ∞ = ∞ と定義することで拡張される。∞ + ∞, ∞ ? ∞, 0 ? ∞ は未定義のままであることに注意すべきである。複素数とは違って、拡張複素数は体をなさない。∞ は乗法逆元をもたないからだ。それでもなお、C ∪ {∞} 上の除法を次のように定義するのが習慣である。0 でないすべての複素数 z に対して z / 0 = ∞ and z / ∞ = 0 {\displaystyle z/0=\infty \quad {\text{and}}\quad z/\infty =0} ∞/0 = ∞ そして 0/∞ = 0。商 0/0 および ∞/∞ は定義されないままである。 任意の有理関数 f(z) = g(z)/h(z) (言い換えるとf(z) は、複素係数の z の、共通因子をもたない2つの多項式関数 g(z) と h(z) の比である)をリーマン球面上の連続関数に拡張できる。具体的には、z0 を、分母 h(z0) が 0 だが分子 g(z0) が 0 でないような複素数とすれば、f(z0) を ∞ と定義できる。さらに、f(∞) は f(z) の z → ∞ における極限として定義できる。これは有限かもしれないし無限かもしれない。 複素有理関数全体の集合 C(z) は、リーマン球面をリーマン面と見たときに、すべての点で値 ∞ をとる定数関数を除いて、リーマン球面からそれ自身へのあらゆる正則関数をなす。C(z) の関数たちは代数体をなし、球面上の有理関数体 (the field of rational functions on the sphere) として知られている。 例えば、関数 f ( z ) = 6 z 2 + 1 2 z 2 − 50 {\displaystyle f(z)={\frac {6z^{2}+1}{2z^{2}-50}}} が与えられると、z = 5 で分母が 0 なので f(5) = ∞ と定義でき、z → ∞ のとき f(z) → 3 なので f(∞) = 3 と定義できる。これらの定義を用いて、f はリーマン球面からそれ自身への連続関数になる。 リーマン球面は 1-次元複素多様体として、どちらも定義域が複素平面 C に一致する 2 つの局所座標系により記述できる。ζ と ξ を C 上の複素座標とする。非零複素数 ζ と非零複素数 ξ を、以下の推移写像(すいいしゃぞう、英: transition function)による等式で関係付ける。 ζ = 1/ξ 推移写像は正則であることから、これによりリーマン球面と呼ばれる複素多様体が定義できる。 直感的には、推移写像は、二つの平面をどの様に貼り付けてリーマン球面を作るかを示している。二つの平面は「表裏反対」に貼り付けられ、各平面の一点(原点)を除き、他の至る部分が互いに重なり合う。つまり、リーマン球面のほとんど全ての点は、ζ-値と ξ-値の双方を有し、両値は ζ = 1/ξ の関係を有する。従って、ξ = 0 の点は “1/0” の ζ-値を持つ。この意味で、ξ-局所座標系の原点は、ζ-局所座標系において “∞” の役割を有する。対称的に、ζ = 0 の点は 1/0 の ξ-値を持ち、ζ-局所座標系の原点は、ξ-局所座標系に関し ∞ の役割を有する。 位相幾何学的には、結果として得られるリーマン球面は、平面を一点コンパクト化し球面にしたものである。しかし、リーマン球面は単なる位相的球面ではない。リーマン球面は上手く定義された複素構造を持つ球面であり、球面上の任意の点は、C と正則同相な近傍を有する。他方、リーマン面の分類論の中心的な結果である一意化定理によれば、単連結な 1 次元複素多様体は、複素平面、双曲平面、リーマン球面の何れかしかない。勿論、リーマン球面は、閉曲面(境界がないコンパクト曲面)としては唯一のものである。したがって、2 次元球面には、1 次元複素多様体としての複素構造が一意に存在する。 リーマン球面は、複素射影直線(ふくそしゃえいちょくせん、英: complex projective line)としても定義することができる。これは、双方が零ではない複素数の対 (α, β), (α′, β′) に対し、任意の非零複素数 λ によって同値関係 (α, β) ∼ (α′, β′) ⇔ (α′, β′) = (λα, λβ) を定義し、C2 の部分集合であるこの様なすべての対全体の集合に関して商をとった空間である。座標 ζ を有する複素平面 C は (α, β) = (ζ, 1) により複素射影直線の中に写像される。座標 ξ を有するもう一つの複素平面 C は (α, β) = (1, ξ) により複素射影直線の中に写像される。この 2 つの複素局所座標系は、射影直線を被覆する。非零な ξ, ζ に対し、恒等式 (1, ξ) = (1/ξ, 1) = (ζ, 1) により、上記のとおり ζ = 1/ξ および ξ = 1/ζ が推移写像であることがわかる。この様に取り扱うことにより、リーマン球面は射影幾何学に最も容易に関係付けられる。例えば、複素射影平面における任意の直線(または滑らかな円錐曲線)は、複素射影直線に正則同相である。これはまた、この記事の後半に登場する球面の自己同型の研究において便利である。 リーマン球面は、3 次元実空間 R3 内の単位球面 S2 = { (x, y, z) ∈ R3 | x2 + y2 + z2 = 1} として視覚化できる。そのため、点 (0, 0, 1) を除いた単位球面から平面 z = 0 への立体射影を考え、ζ = x + iy により複素平面と同一視する。直交座標 (x, y, z) と球座標 (φ, θ) (φ は天頂角、θ は方位角) により、立体射影は、以下のとおり書ける[1]。 ζ = x + i y 1 − z = ( cot ϕ 2 ) e i θ {\displaystyle \zeta ={\frac {x+iy}{1-z}}=\left(\cot {\frac {\phi }{2}}\right)e^{i\theta }} 同様に、点 (0, 0, −1) から平面 z = 0 への立体射影は、ξ = x − iy によりもう 1 つの複素平面の複写と同一視し、
拡張複素数
演算
有理関数
複素多様体としてのリーマン球面
ξ = 1/ζ
複素射影直線としてのリーマン球面
球面としてのリーマン球面複素数 A をリーマン球面上の一点 α に写す立体射影
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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