リース
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、金融業のリースについて説明しています。その他の用法については「リース (曖昧さ回避)」をご覧ください。

リース(lease)とは、企業などが選択した機械設備などをリース会社が購入し、その企業に対してその物件を比較的長期にわたり賃貸すること[1]。中古物件もあるが新品物件をリース会社が購入した後に賃貸する場合が多い。物品の所有権はリース会社にあるが、企業は自社で購入した場合とほぼ同様にして物件を使用できるため、日本を含め世界中で設備投資の手段として広く普及している。
概要

近代的リースは米国で発展し、現在では全世界で広く利用されている。市場規模は米国が最も大きく2,080億ドル(リース比率31.1%)、次いで日本688億ドル(同8.7%)、ドイツ483億ドル(同21.7%)と続く[2]。4番目以降は、フランス263億ドル(15.4%)、イタリア240億ドル(7.6%)、イギリス189億ドル(14.2%)、カナダ141億ドル(22.0%)となる。近年、発展めざましいBRICs諸国は10億ドル?60億ドル程度であり、今後急速なリース利用の普及が進むとみられる。

会計上の定義は各国の会計基準によって定められており、日本では企業会計基準委員会によるリース取引に関する会計基準および同注解、同意見書によって、米国では米国会計基準FAS No.13によって、フランス、ドイツ、スペイン、英国等では英国ロンドンに本部を置く国際会計基準審議会(IASB)が設定する国際財務報告基準(以下IFRS)IAS No.17(米国リース会計基準FAS No.13が元となっている)によって定義されている[3]

特にIFRSは世界中で急速に導入が広がっており、欧州、ロシアブラジル等広く世界で採用されている。IFRSの導入方法は、各国によって異なり、例えば、欧州においては、EUの統一ルールが適用される規制市場に上場する企業の連結決算について、IFRSで作成することが求められている。しかしながら、単体決算は、自国の会計基準が維持されており、フランス・ドイツとも、リースは賃貸借処理となっている[4]

米国においては、IFRS導入の具体的な方向性・スケジュールは示されていない。

日本におけるIFRSの対応については、2010年3月期から一定の要件を満たす上場企業の連結決算に限ってIFRSを任意適用することが認められているが、2013年6月に当面の方針として、@ピュアなIFRS、A日本基準、B米国基準、CエンドースメントされたIFRS(IFRSの個別基準を一つ一つ検討し、必要に応じて削除または修正した上でIFRS導入)の4つの基準を並存するという考え方が示されている[5]

2013年8月現在、IASB(国際会計基準審議会)とFASB(米国財務会計基準審議会)は、改訂公開草案「リース」を公表している。その中では、すべてのリースをオンバランス処理することなどが提案されているが、最終的に基準化されるかどうかは明らかでない[6]

税法上の定義は、各国税法上等により定められている。
歴史

リースという言葉の歴史は古く、古代ローマ帝国時代にまで遡る。当時は地中海貿易に従事する商人に対して船主が船をリースしていたり、農耕地に関して地主が他人に土地を貸し出すこともリースとして行われていた。その後長い時を経て、米国における都市での不動産リースへと進化し、米国において1800年代から1900年代初期にかけて大いに発展することになる。その始まりは不動産の取扱いを主としていたリースであるが、現代における動産を主体とし、設備投資の手段としてのリースが大いに利用されるきっかけとなったのは、米国南北戦争当時のユナイテッド・シュー・マシナリー社による製靴機械の賃貸が始まりといわれている。次いで、1877年にはベル電話会社により電話の賃貸が始まり、この頃から本格的に動産リースが発展することとなる。

1900年代の初期には、企業の販売営業ツールの一つとしてリースが利用され発展した。つまり、機械製造会社が顧客に対して売切で販売するのではなく、リースとして販売することにより、リース期間により顧客の機械入替時期の操作が可能であり、リース期間終了時に営業を行い自社製品を再びリースで販売することで、永続的に顧客との関係を保とうという戦略目的があった。このような手法は工業機械製造会社だけでなく、IBMやゼロックス等の事務機器製造企業にも浸透するようになり、リースは幅広い企業が利用するものとなっていくのである。個人向けの商品にも広まり、1905年にはガソリンランプのリース会社(後のコールマン)なども登場した。

リースは主に米国で発展した取引形態であるが、現在総合リース会社と呼ばれる、金融的意味合いの強いリースを主要業務とする企業の誕生は第二次世界大戦後の1952年、U.S. リーシング社の設立までなく、それまでは主に機械製造企業の有力な販売ツールとしての利用が主であった。U.S. リーシング社は、それまでに広く社会にリースというものが浸透していたという点と、第二次世界大戦後の軍需産業から平和産業への転換のための旺盛な設備投資資金需要への対応という点から設立されたものであり、同社の設立が現在定義されているリース業の草分けとなる。その後1963年に日本で初のリース会社、日本リース・インターナショナルが設立されるなど、その利用は世界へと広がり、現在では全世界で広く設備投資の手段として活用されている。
リースの基本

リースはファイナンス・リース契約とオペレーティング・リース契約に大別される。各国の採用する会計制度・税制等によって詳細に違いはあるものの、概ね以下のとおり説明できる。
ファイナンス・リース

ファイナンス・リースは文字通り設備機器導入を目的とした資金調達手段のひとつとして金融色が強い契約であり、ノン・キャンセラブル(解約不能)とフル・ペイアウト(物件から得られるすべての利益を得ると共に、物件に係るコストをすべて支払う)の2条件を満たすものをいう。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:26 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef