リヴァイアサン
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「リヴァイアサン」「レヴァイアサン」はこの項目へ転送されています。古代のクジラについては「リヴィアタン・メルビレイ」を、その他の用法については「リヴァイアサン (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ギュスターヴ・ドレ製作の版画

レヴィアタン(ヘブライ語: ?????????‎ lwytn L?vy???n, 発音: リヴヤタン, ラテン語: Leviathan, 英語発音: [li?vai?θ?n] リヴァイアサン, 日本語慣用表記: レビヤタン[1])は、旧約聖書に登場するの生き物もしくは怪物[2]

その姿は伝統的には巨大なクジラ、またはワニのような姿で描かれるが、後世にはや(蛇のように細長い体型での)などの形でも描かれている。
語源

その名前は「結合させる」「編み込む」を意味するヘブライ語 ???‎ lwh に由来するとされ、「ねじれた」「を巻いた」を意味すると考えられている[3][注 1]。この語は海中にいる大きな生き物全般を指す言葉としても使われたが、現代ヘブライ語ではクジラの意味である。
概要
旧約聖書

レヴィアタンは旧約聖書の『ヨブ記』3章8節,41章1-34節、『詩編』74章14節,104章26節、『イザヤ書』27章1節で言及される。

特に『ヨブ記』において、神の御技(がいかに人知を超えているか)の例として、ベヒモスとともに神自身の言葉の中で語られ、その姿とその力強さが詳しく描写される。『ヨブ記』41章を要約すると以下のようになる。「レヴィアタンの肉体は力強く体格に優れ、心臓は石のように硬く、腹は陶器の破片を並べたようで、背中には盾の列(のような鱗)が密に並んでいる。口には恐ろしい歯が生えている。くしゃみをすると光を放ち、その両目は朝日のよう。口からは炎が噴き出し、鼻からは煙を吹き、その息は炭に火を点ける。海を鍋のように沸かし、深い淵を白い髪のような光の筋を残しながら泳ぐ。どんな武器もレヴィアタンを貫けず傷つけることが出来ない。地の上にそれに並ぶものは他になく、恐れというものを知らない。何者もレヴィアタンと戦いそれを屈服させることは出来ず、見るだけで戦意を失うほどである」

『ヨブ記』3章8節ではヨブの嘆きの言葉の中で「日に呪いをかける者/レビヤタンを呼び起こす力ある者が/その日を呪うがよい」(新共同訳)という形で言及されるが、これは日食の比喩であるとされる[注 2]

『詩篇』104章26節では神の被造物を讃える歌の中で、「(神が)戯れるために創った海中の生き物」と書かれる。また、『アモス書』9章3節の中で「たとえ、わたしの目を逃れて、海の底に隠れても/そこで、蛇に命じてかませる。」(新共同訳)と書かれる「蛇」はレヴィアタンであると解釈され、ここでも神に対して従属的な存在である。対して、『詩篇』74章13-14節では「神がレヴィアタンと竜(????‎ tannin)を殺した」こと、『イザヤ書』27章1節では「(審判の日に)神がレヴィアタンと竜(????‎ tannin)を殺す」ことが語られている。

七十人訳聖書におけるギリシャ語訳は『ヨブ記』3章8節では「μ?γα κ?το? mega k?tos :巨大なクジラ(または海獣)[注 3]」が用いられ、残りの箇所は「δρ?κων drak?n:ドラゴン」であった[注 4]。一方で、ラテン語訳のウルガタ聖書は全て音写でLeviathanを充てた。『ヨブ記』41章の描写はワニを思わせるものであり[6]、この箇所は日本語訳の文語訳聖書では「わに」の語が充てられ、残りの箇所は「レビヤタン」と音写を充てられていた。

レヴィアタンは『ヨブ記』においてベヒモスと並べて記されており、ユダヤキリストでは海の獣と地の獣として二者一対で語られることが多い(後世には空のジズを加えて三頭一鼎とされる場合もあった。ただしジズは聖書原典には登場せず[注 5]、二者と比べるとかなりマイナーな伝承である)。
外典

エチオピア正教会では旧約聖書に含まれる『エノク書』は、リヴァイアサンとベヒモスの両者ともをタニーン(????‎ tannin)であるし(タニーンについては後述を参照)、リヴァイアサンは雌でベヒモスは雄であり、かつては共にあったが地の荒野と海の深淵に別たれたとしている。また、ベヒモスがその胸を置くのはエデンの東にあるデンダインの荒野であるという。(『エノク書』 60章7-10節)

ラテン語聖書独自の『第四エズラ書』では、神の創造の5日目の説話において、ベヒモス[注 6]とレヴィアタンは元はどちらも海にいたが、海が両者ともを抱えておくことはできなかったので、ベヒモスには「千の山々」が与えられたとされる。また、神はそれらを人間のための食料として保存しているのだと述べる。(『第四エズラ書』 6章49-52節)

シリア語聖書ペシタ訳に含まれ偽典とされる『第2バルク書(英語版)』ではリヴァイアサンは天地創造の5日目にベヒモスと共に産み出したものとされ[7]、神はそれらを終末における義人たちのための食料として保存しているのだという。(『第2バルク書』 29章4節)
ユダヤの伝承

ユダヤの伝承では、レヴィアタンは魚として、ベヒモスは牛として描写されることが多い。レヴィアタンは丸く輪を描くような姿勢を取った魚の姿でよく描かれ、これは『イザヤ書』にある「曲がりくねる蛇」に基づく表現とも言われる。[8]

ユダヤの聖書解釈、タルムード及びミドラーシュなどでは両者は終末の後のために神が用意した食物であると語られる。世界の終末に際してレヴィアタンはベヒモスと争い、ベヒモスはその角でレヴィアタンを突き倒しレヴィアタンはその鰭でベヒモスを突き刺して両者とも相打ちで倒れ、両者の肉は終末を超えた義人たちに食物として供される。ユダヤ教では通常は適切に屠殺された肉しか食べてはならないが、ここでは許される。


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