リン酸水素二ナトリウム
IUPAC名
リン酸水素二ナトリウム
別称オルトリン酸水素二ナトリウム
リン酸水素ナトリウム
二塩基リン酸ナトリウム
リン酸二ナトリウム
識別情報
CAS登録番号7558-79-4
250 °C, 523 K, 482 °F (分解)
水への溶解度7.7 g/100 ml (20 °C)
11.8 g/100 mL (25 °C, 7水和物)
溶解度アルコールに不溶
log POW-5.8
酸解離定数 pKa12.35
屈折率 (nD)1.35644..1.35717 at 20°C
危険性
安全データシート(外部リンク)ICSC 1129
主な危険性刺激性
NFPA 704010
引火点不燃性
半数致死量 LD5017000 mg/kg (ラット、経口)
関連する物質
その他の陰イオン亜リン酸水素二ナトリウム(英語版)
その他の陽イオンリン酸水素二カリウム
リン酸二アンモニウム
関連物質リン酸二水素ナトリウム
リン酸三ナトリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
リン酸二ナトリウム (Disodium phosphate:DSP)またはリン酸水素二ナトリウム (sodium hydrogen phosphate)は、化学式Na2HPO4で表される無機化合物である。3種類あるナトリウムのリン酸塩(英語版)の中の1つである。この塩は、無水物と2、7、8、12の水和物が知られており、全て水溶性の白い粉末である。無水物は吸湿性がある[1]。 リン酸水素二ナトリウムの溶液のpHは8.0から11.0の間であり、弱塩基である。 HPO 4 2 − + H 2 O ⇄ H 2 PO 4 − + OH − {\displaystyle {\ce {HPO4^{2-}\ +H2O\ \rightleftarrows \ H2PO4^{-}\ +OH^{-}}}} リン酸を水酸化ナトリウムで中和すると得られる。 H 3 PO 4 + 2 NaOH ⟶ HNa 2 PO 4 + 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {H3PO4 + 2 NaOH -> HNa2PO4 + 2 H2O}}} 工業的には次の2つのステップを経て合成される。まず リン酸水素カルシウム
酸・塩基としての性質
調製と反応
次に、それを水酸化ナトリウムで部分的に中和する。 NaH 2 PO 4 + NaOH ⟶ HNa 2 PO 4 + H 2 O {\displaystyle {\ce {NaH2PO4\ + NaOH -> HNa2PO4\ + H2O}}} リン酸水素二ナトリウムは食品中のリン酸ナトリウムと水の軟化剤を混合するために用いられる。食品内ではpH調整剤として用いられる。コンデンスミルクの調整時に、牛乳が凝固するのを防ぐ働きがある。また同様に、固化防止剤としても用いられる[3]。例えばプリンなどのデザートで調理時間を短くするために用いられるクリーム・オブ・ウィート
利用
リン酸水素二ナトリウムを加熱すると脱水縮合し、二リン酸ナトリウム(英語版)が得られる。 2 HNa 2 PO 4 ⟶ Na 4 P 2 O 7 + H 2 O {\displaystyle {\ce {2HNa2PO4 -> Na4P2O7\ + H2O}}}
リン酸水素ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムは便秘を治したり、大腸内視鏡検査の前に腸をきれいにしたりするために経口腸管洗浄剤として用いられる[4]。