この項目では、植物について説明しています。道路の一種については「林道」をご覧ください。
リンドウ
リンドウの花
分類
リンドウ(竜胆)とは、リンドウ科リンドウ属の多年生植物である。1変種 Gentiana scabra var. buergeri をさすことが多いが、近縁の他品種や他種を含む総称名のこともある。別名はイヤミグサ。古くはえやみぐさ(疫病草、瘧草)とも呼ばれた。秋に咲く青紫の花は、キキョウとともによく知られている[1]。 和名のリンドウは、中国植物名(漢名)の竜胆[1]/龍胆[2](りゅうたん)の音読みに由来し[3][4]、中国では代表的な苦味で古くから知られる熊胆(くまのい)よりも、さらに苦いという意味で「竜胆」と名付けられたものである[1]。リンドウの全草は苦く、特に根は大変苦くて薬用になる[1][5]。 地方による別名は、イヤミグサ[1][2]、ケロリグサ[2]などがあり、イヤミグサは、「胃病み草」の意味である[1]。 日本では本州、四国、九州に分布し、山地、丘陵地、湿った山野、草原に自生する[1][5][3]。 多年草[5]。根は、黄白色のひげ根状に何本も伸びる[5]。茎は直立または斜め上に伸び、高さは20 - 100センチメートル (cm) [3]、葉は対生し、笹に似た卵状皮披針形で[3]、葉柄はなく茎を抱く[5]。葉身は細長く、3条の脈があり、指でこするとざらつき感がある[5]。葉縁には鋸歯はないが、ルーペで見ると小さな突起がある[5]。 花期は秋(9 - 11月ころ)で[6]、茎頂や上部の葉腋に太い蕾を出す[5]。花は晴天の時だけ開き[6]、やや大型で鐘形のきれいな青紫色で、上向きにいくつも咲かせる[3]。果実は刮ハで、枯れた花冠や萼に包まれたまま突き出し、熟すと縦に2裂する[6]。種子は長さ1.5 - 2ミリメートル (mm) ほどでごく小さく、種皮には縦長に網目模様がついている[6]。また、種子には翼がついていて風に乗って飛散される[6]。 一般的に植物の成熟した花弁は光合成をしないとされているが、リンドウの花弁の緑色斑点は、葉と同じレベルの光合成活性を示すことが報告されている[7]。 かつては水田周辺の草地やため池の堤防などにリンドウやアキノキリンソウなどの草花がたくさん自生していたが、それは農業との関係で定期的に草刈りがなされ、草丈が低い状態に保たれていたためだった。近年、そのような手入れのはいる場所が少なくなったため、リンドウをはじめこれらの植物は見る機会が少なくなってしまい、リンドウを探すことも難しくなってしまっている。 繁殖は挿し芽と播種によって行われる[5]。挿し芽は、初夏に2 - 3節を切り取って、切り口を渇かさないようにして水上げして、挿し芽用土に挿すと、2 - 3週ほどで発根する[5]。播種は秋にミズゴケに種を蒔く[5]。 園芸植物や切り花として、または野草としてよく栽培されるが[2]、園芸店で売られているものは別種のエゾリンドウの栽培品種である場合が多い。 根には配糖体であるゲンチオピクリン 根は生薬のリュウタン(竜胆/龍胆)の原料のひとつとして用いられる[2][5][8]。リンドウ科で、日本薬局方に収録されている生薬ゲンチアナの代用品[5]。かつて根は民間薬として用いられた[9][10]。竜胆は、地上部が枯れる10 - 11月に根を切らないように根茎を掘り上げて、茎を切り捨てて水洗いし、天日乾燥させて調整される[1][5]。
名称
分布・生育地
形態・生態
栽培
利用