リング
著者鈴木光司
発行日1991年6月
発行元角川書店
ジャンルミステリ・ホラー小説
国 日本
言語日本語
形態上製本
ページ数330
次作らせん
公式サイトリング 角川ホラー文庫
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『リング』は、日本の作家である鈴木光司によるミステリ・ホラー小説。見た者を1週間後に呪い殺す「呪いのビデオ」の恐怖と、その来歴に迫ろうとする主人公を描く。
『リング』シリーズの第1作であり、後に続編『らせん』『ループ』『エス』『タイド』および外伝作品『バースデイ』が刊行されている。また、本作を原作として複数のテレビドラマ、ラジオドラマ、映画、漫画、テレビゲーム化が行われたメディアミックス作品。このうち1998年の日本映画『リング』およびそのリメイクである2002年のアメリカ映画『ザ・リング』はヒット作となり、ジャパニーズホラーブームの火付け役となった[1][2][3][4]。1998年公開の『リング』は配給収入10億円を記録した[5]。 本作の執筆は1989年頃のことで、当時まだデビュー前の小説家であった著者の鈴木は子育てをしながら執筆を開始した[6]。鈴木が常宿としていた埼玉県秩父郡小鹿野町の温泉旅館「宮本家」(後の大相撲幕内力士・剣武の実家)に通いながら執筆を続け、約1年かけて本作を完成させた[7]。 1989年8月に[6]ミステリ小説賞である横溝正史賞に応募された[8]。その内容はオカルト要素の強い荒唐無稽な設定やホラー的な結末を用いつつも、全体的にはミステリやサスペンスの要素が強いものであったが[9][10]、狭義のミステリの定義には当てはまらないものであったために[8]、最終選考には残ったものの[6]、推理小説のための賞である横溝正史賞での入選は逃す。 鈴木は本作の直後に執筆した『楽園』で日本ファンタジーノベル大賞で優秀賞を獲得したことにより作家としてのデビューを果たし、本作についても1991年にハードカバーの初版が出版された[8]。当初は派手な宣伝もされず大きな話題にもならず初版の発行部数も少ないものであったが、次第に口コミで評判が広がっていき、1993年に文庫本化されてからは大きく部数を伸ばした[8]。 本作はシリーズ全4作で累計800万部を売り上げ[11]、近時の日本小説界の大ベストセラーとなった。 4人の犠牲者の死から始まる導入部から、主人公自身がビデオテープを見て呪いを受けるまでのストーリー展開や演出は、B級ホラーを想起させるものとなっているが、本作では単純なホラーに留まらず様々なジャンルの要素で構成されている[8]。 1週間というタイムリミットが設定された中、前の犠牲者たちの悪戯によって消されてしまった「呪いを解くオマジナイ」を求めて奔走する中盤の構成は、オーソドックスなサスペンスの筋立てになっている[9]。このとき主人公が物語の都合で愚かな行動を取ったりせず、情報収集と推論を駆使して呪いのビデオの来歴に迫っていくという構成には論理的な必然性があり、それが他のありふれたホラー作品と比べて際立った特徴になっている[8]。 結末にはどんでん返しが設けられ、実は呪いがまだ解けてはおらず、主人公だけが「貞子の呪い」から逃れられた謎が解き明かされ、「ビデオをダビングして他人に見せる」という既存にない方法で呪いを解く必要があることや、貞子の呪いが今後も続いていくことが示唆されるなど、これまでのホラーにないSF的なミステリ要素が新鮮であった。 また、ドラマ「リング 最終章」では呪いの解除方法が「ビデオテープをダビングして2人に見せる」に変更されている。それにより、仮に1週間ごとに2倍のペースで呪いの被害者が増え続けていくと、わずか1年で全世界の人口の大半を殺戮する可能性があることが明かされるなど、その未来を想像させてぞっとさせる構成になっている[9]。 一児の父親である主人公が、家族を守るために利己的な決断を下すラストシーンには、父性を描こうとするリングシリーズ共通の、あるいは作者である鈴木の作品に共通するテーマが描かれていることを指摘する意見もある[12][13]。 本作『リング』を発端とする一連のシリーズ作品は、続編『らせん』、完結編『ループ』及び関連エピソードによる短編集『バースデイ』、更に2012年からの新シリーズ『エス』、『タイド』の既刊6冊のシリーズになっている(通称「リングシリーズ」)。 本作において不幸の手紙[14]にも例えられた「呪いのビデオ」の脅威とその正体は、続編『らせん』では人間に感染するウイルスの仕業として解明され、更にその続編『ループ』ではコンピューターウイルス的なものへと置き換わるなど、次第にホラー色が減退してサイエンス・フィクションの要素が前面に立った内容へと変化していく[15][16]。
概要
来歴
作品の特徴
続編の方向性
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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