リングワールド_(架空の天体)
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リングワールド。下が手前。公式の画ではなく、ファンの手によるもの。

リングワールドの各種パラメータ半径約1.5×108 km(約1天文単位
周囲約9.7×108 km
1,600,000 km
側壁の高さ1,600 km
質量2×1027 kg(1,250,000 kg/m2、つまり厚さ250 m、5,000 kg/m3
地表面の面積1.6×1015 km2地球の表面積の300万倍。
地表面の重力0.992 G(=9.69 m/s2
自転速度約1,200,000 m/s
主星のスペクトル分類G2に近いG3、太陽よりやや小型で低温。
1日の長さ30時間
自転周期7.5リングワールド日(225時間、9.375地球日)
リングワールド上では1日より長い時間単位として「ファラン」がある。1ファランは10回転あるいは75リングワールド日(93.75地球日)である。すなわち4ファランが1地球強に相当する。

リングワールド (Ringworld) は、ラリー・ニーヴンのSF小説シリーズ〈ノウンスペース〉に登場する架空の巨大な人工天体。以下の4つの長編小説に登場し、それらの主な舞台となった。
リングワールド (Ringworld) 1970

リングワールドふたたび (The Ringworld Engineers) 1980

リングワールドの玉座 (The Ringworld Throne) 1996

リングワールドの子供たち (Ringworld's Children) 2004

基本情報

リングワールドは幅が約100万マイル、直径がほぼ地球の公転軌道(周囲が約6億マイル)の人工のリング状天体である。中心に恒星があり、リングワールドを回転させることで地球に近い人工重力を作り出している。リングの内側は地球の表面の約300万倍の広さがあり、居住可能となっている。リングの両縁には高さ1000マイルの壁があり、大気が逃げ出さないようになっている。

リングワールドはダイソン球を薄く輪切りにしたものとみなすことができ、多くの似通った特性を持つ。ニーブン自身、リングワールドのことを「ダイソン球と惑星との中間の形態」と考えている。(他方、フリーマン・ダイソンは「もっと小さいものを数多くつくらなかった理由が解せない」とニーヴンに語ったと言う。)

リングワールド(正確には“ニーヴンのリング”というべきであろうが)は、このような構造物をさす一般用語として使われることもある。他のSF作家もニーヴンのリングワールドのバリエーション的なものを考案している。特にイアン・バンクスの『Culture Orbital』はミニチュアのリングワールド群を最もよく描いているし、他にも同名のビデオゲームもあるリング状のヘイロー構造体などがある。
地理

リングワールドでの方位は、円周に沿った向きが「回転方向(スピンワード)」「反回転方向(アンチスピンワード)」、側壁の向きが「右舷(スターボード)」「左舷(ポート)」と呼ばれる。

“床”および側壁は、極めて密度の高い「構成物質(スクライス)」でできている。厚さ30m以下の「スクライス」の表面(内側)に土砂が盛られ、植物が生えている。“床”の裏、つまり、外側は、発泡した「スクライス」で覆われ、隕石からの保護層となっている。山、川、海などのあらゆる地形は「スクライス」自体によって型取りされた上に作られており、裏から見ると凹凸が逆になっている。後述する「大海洋(グレート・オーシャン)」を除けば、海の深さは10mに満たない。海は自動機械によって浚渫され、海底に堆積した土砂は太いパイプを通って側壁の高さ数十マイルにある開口部から放出される。開口部の下は円錐を縦に割ったような形の「こぼれ山(スピルマウンテン)」になっている。「こぼれ山」は両側の壁に沿って一定間隔で立ち並び、リングワールド全体でおよそ5万個ある。

側壁の外側の張り出し部分に宇宙船の発着場が設けられている。ここでリングワールドから外へ出れば、宇宙船はリングワールドの自転速度で飛び出すことになるので、それだけで恒星からの脱出速度以上の速度が得られる。到着した宇宙船を減速させるために側壁の上にマスドライバーのような施設が用意されているが、これはリングワールドの建設後にそこで進化した種族の一つが設置したもので、当初からあったわけではないらしい。

「大海洋(グレート・オーシャン)」は、リングワールド上の恒星を挟んで向かい合う二ヶ所に作られた、地球の表面積の何十倍もの広さの海である。その中には地球火星、ジンクス、クジンなどといった近隣の恒星を巡る惑星の、リングワールドが建造された当時(おそらく数百万年前)の姿を投影した、ほぼ実物大の「地図」がある。

「神の拳(フィスト・オヴ・ゴッド)」は、「大海洋」のひとつから回転方向に数万キロのあたりにそびえる巨大な山で、過去のいつか、リングワールドの外側に衝突した巨大隕石が「スクライス」を突き破った跡である。その山頂は大気圏の上まで飛び出し、オーストラリア大陸ほどの広さの穴になっている。山麓は地球の表面積よりも広い範囲が隆起し、山頂に近づくにつれて砂漠化あるいは永久凍土化し、ついには「スクライス」が剥き出しになっている。


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