リュコメーデース
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リュコメーデース(古希: Λυκομ?δη?, Lukom?d?s; Lukom?des)は、ギリシア神話の人物である。トロイア戦争当時のドロプス人の王で、スキューロス島に王宮を構えていた。彼は、少年時代のアキレウスを女装させて彼の王宮に匿ったことと、彼に庇護を求めた晩年のテーセウスを害したことで知られる[1]

長母音を略してリュコメデスとも呼ばれる。
概説
アキレウスを匿うリュコメーデースの宮廷のアキレウスルーヴル美術館所蔵。

トロイア戦争の英雄アキレウスは、ペーレウスと海の女神テティスの子であるが、テティスはアキレウスがトロイア戦争に参加すれば、必ず若くして戦死する運命にあることを知っていた。アキレウスを死なせないため、テティスはスキューロス島の王であるリュコメーデースに頼み、アキレウスを匿い、ギリシア軍が彼を見いだせないように秘匿することを依頼する[1] [2] [3] [4]

リュコメーデースは預かった9歳のアキレウスに少女の衣服を着せ、王宮の後宮にあって彼を娘の王女たちのあいだに隠した。アキレウスはリュコメーデースの王女たちと共に少女として育ち、王宮ではピュラーと云う女性名で呼ばれた。また彼は、イッサ(Issa)、あるいはケルキュセラー(Kerkysera)と云う名で呼ばれたともされる[1] [5]

しかしトロイア戦争においてギリシア軍は苦戦し、アキレウスの参戦が望まれた。オデュッセウスは、彼がリュコメーデースの王宮に乙女に扮して隠れていることをつきとめ、策を講じてアキレウスの正体を顕した。アキレウスは王女デーイダメイアと男女の関係になっており、一子ピュロスをもうけていたが、トロイア戦争に参戦した[2]。ピュロスは後にネオプトレモスと呼ばれるようになる[3] [4]
晩年のテーセウスを迎える

アテーナイテーセウスは晩年に至ってなお、10歳のヘレネーを略奪したり、冥府におりて囚われるなど冒険を続けた。冥府からはヘーラクレースによって助けられ、再び地上に帰還できたが、不在のあいだにヘレネーの兄弟ディオスクーロイが妹を奪還せんとアテーナイに侵攻し、メネステウスを王位につけた[6]

テーセウスは、メネステウス一派による、あるいは以前に殺害したパラースの息子たち一派による叛乱のため、アテーナイより遁れ、親族のリュコメーデースに庇護を求めた。リュコメーデースはこれを受け入れるが、テーセウスが自国の民や臣下の人気を獲得し、彼の王座を奪うことを畏れてテーセウスを害した。テーセウスに友誼を示しつつ、彼を誘って崖の頂きまで行き、そこよりテーセウスを突き落として殺したとされる[1] [3] [6]アポロドーロスは、崖とは述べず、深い穴に突き落として殺害したと記している[7]。また別の説では、テーセウスは殺されたのではなく、食後の散歩の途中、誤って崖から落ちて死んだともされる[8]
脚注^ a b c d Grimal, p.263。
^ a b アポロドーロス、巻三-8-8。
^ a b c 『ギリシア・ローマ神話辞典』、p.303。
^ a b 呉茂一『ギリシア神話』、p.256。
^ 『ギリシア・ローマ神話辞典』、p.52。
^ a b 『ギリシア・ローマ神話辞典』、p.162。
^ アポロドーロス、摘要-1-24。
^ 呉茂一『ギリシア神話』、p.303。

参考文献

アポロドーロスギリシア神話高津春繁訳、岩波文庫 1953年、1982年改版36刷

呉茂一 『ギリシア神話』 新潮社 1969年、1986年33刷

高津春繁編著 『ギリシア・ローマ神話辞典』 岩波書店、1960年、2007年27刷

Pierre Grimal The Dictionary of Classical Mythology Blackwell Publishing, 1986, ISBN 978-0-631-20102-1










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