リベラルアーツ・カレッジ
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リベラル・アーツ・カレッジ(英語: Liberal Arts College)は、リベラル・アーツ教育に焦点をあてた教育を学部課程で行なう4年制大学。

大学院を持たず学部生への教育のみを行うか、持っていても修士課程のみであることが多い。多くは私立[1]の全寮制で、1学年の生徒が300-700人と極めて少人数であるのが特徴。世界ではアメリカ合衆国に集中して存在する。本稿では主にアメリカ合衆国のリベラル・アーツ・カレッジについて述べる。目次

1 概要

2 歴史

2.1 語源

2.2 アメリカ合衆国におけるリベラル・アーツ・カレッジの変遷


3 教育

4 研究型大学との違い

5 少人数制と環境

6 コンソーシアム

7 ランキング

7.1 世界大学ランキング

7.2 合格難易度


8 リトル・アイビー・スクール

9 リベラル・アーツ・カレッジの著名な出身者

10 日本における事例

11 脚注

12 外部リンク

概要 リベラル・アーツ 三学と四科 ”Seven Liberal Arts”

アメリカ合衆国の大学は、大学院を持つ大規模な研究型大学(Reserch University)、リベラル・アーツ・カレッジ(Liberal Arts College)、公立で地域の学生が通う2年制のコミュニティ・カレッジ(Community College) に大別される。[2]

日本の大学と異なり、多くのアメリカの学部課程カリキュラムには「法学部」「医学部」「経営学部」(またはその専攻課程)がなく、それらの専門に進む生徒はまず4年制学部課程(Undergraduate School)で学ぶ必要がある。大学院には、法科大学院(Law School)、医科大学院(Medical School) 、経営大学院(MBA) といった専門職大学院と、学部課程で学んだ専門をさらに追究する学術系大学院に大別される。 

リベラル・アーツ・カレッジ卒業生は、4年間で広くリベラル・アーツを学んだのちにこれら大学院に進学し更なる専門を学ぶ生徒が多い。
歴史 議論を重んじたソクラテス
語源

リベラル・アーツ・カレッジの歴史は、古代ギリシャとローマ時代にまでさかのぼる。ラテン語の 「 ⇒liberalis (自由人にふさわしい)」「Ars/Artes(技術・学術)」がその語源である。リベラル・アーツ教育はギリシャとローマにおいて、自由な市民が市民活動に参加するための学問として定義された。[3]一方、技術を学ぶこと(Mechanical Arts)は、社会の自由でないメンバーや奴隷に適していると考えられていた。

三学(文法、弁証法、修辞法)と四科(算術、幾何学、音楽理論、天文学)がその古典的リベラル・アーツの学問であり、労働者ではない自由人を養成するための学問として確立されていった。

またリベラル・アーツ・カレッジで養われる「批判的思考(Critical Thinking)」「批判的読解(Critical Reading) 」はギリシャの哲学者ソクラテスが重んじたとされる弁証法(「ソクラテス法」あるいは「問答法」)をベースにしている[4]
アメリカ合衆国におけるリベラル・アーツ・カレッジの変遷 13植民地

アメリカ合衆国のリベラル・アーツ・カレッジの歴史は、合衆国の歴史と同じくらい古い。米国最古の高等教育機関は、まだイギリスの統治下で設立されたハーバード大学(1636年)であるが、設立当時はリベラルアーツ教育を行なう小規模な大学であった。[4]

植民地時代に設立された9つの大学「コロニアル・カレッジ[5]は、いずれもキリスト教会の各宗派に所属する機関という形をとっていた。[2]ニュージャージー州の長老派(プロテスタントの一派。Presbyterianism)が設立したニュージャージー大学は後にプリンストン大学と改名された。当時の大学ではいずれも、労働者の上に立つ市民のリーダーと聖職者を育成するための高等教育機関として古典的なリベラル・アーツ教育が行なわれていたが、科学の発展や医学生や法科生育成など時代のニーズを反映しながら少しずつその形態を変えていく。次第にリベラル・アーツの学問に焦点を当てるだけでなくより幅広いカリキュラムが展開されるようになった。結果、コロニアル・カレッジ9つ(そのうち7つが東海岸アイビー・リーグ[6])は研究型大学となった。 ワシントン&リー大学

アメリカ合衆国の独立(1776年)前後に相次いで設立された大学の中では、そのように研究型大学への発展を遂げたものと、小規模リベラル・アーツ・カレッジとして伝統を守ったものとに分かれた。後者では最創成期の大学として、ワシントン&リー・カレッジ(1749年)、カレッジ・オブ・チャールストン(1770年)、ディッキンソン・カレッジ(1773年)、ハミルトン・カレッジ(1793年)、ウィリアムズ・カレッジ(1793年)、ボウディン・カレッジ(1794年)などがある。また、19世紀中盤から後半にかけて相次いで創立した「セブン・シスターズ」と呼ばれる名門女子大学群や[7]、全米最初の女子大学であるセーラム・カレッジ(1772年)も、すべてリベラル・アーツ・カレッジである。いずれも合衆国独立時の13州東海岸)に位置する。
教育

数学、物理学、生物学、化学、天文学などの自然科学、経済学、政治学、環境学などの社会科学、哲学、歴史学、宗教学、文学、言語学、演劇、芸術全般などの人文科学にわたる諸分野の中から様々な授業を履修し、通常、第2学年(Sophomore)の終わる時に専攻(メジャー)を選択する。 ボウディン大学(1845年頃)

リベラル・アーツ・カレッジで身に付く力がCritical Thinking (批判的思考)やCritical Reading (批判的読解)と言われている。弁証法を使い学生間の議論を奨励したソクラテスのように、リベラル・アーツ・カレッジにおける教員の役割は、学生を創造的で活発な議論に導き深い相互理解を促すこととされる。またおもに人文科学系のクラス群において必須な長文エッセイライティングでは、論理的思考がなされていること、一次資料によって根拠が述べられ理論的な結論に導かれていることが必須である。クライテリア(評価基準)を満たさないエッセイには教員によって添削され、リライトを繰り返すといったことが学習の軸となる。大講義での受動的学習を主に行う大規模大学(とくに州立大学等)とはこの点において大きく教育スタイルが異なる。
研究型大学との違い

研究型大学(Reserch University) との大きな違いは、リベラル・アーツ・カレッジは大学院を持たないことである。


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