リトル・ヴァンパイア
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ちびっこ吸血鬼シリーズ(ちびっこきゅうけつきシリーズ、Der Kleine Vampir)は、ドイツのアンゲラ・ゾンマー・ボーデンブルクによる児童文学作品である。ジャンルは吸血鬼が登場する作品でありながらホラー小説ではなく、ファンタジー小説に属する。世界30ヶ国以上で翻訳され、ドラマ化、映画化もされた。

1979年から2015年まで、全21巻が刊行された。

別日本語題リトルバンパイア。
概要

ドイツが舞台の、人間の子供と吸血鬼の子供の交流を描いた物語。

吸血鬼が登場する話でありながらいわゆる他の吸血鬼ものの作品とは異なり、人が襲われるシーンなどミステリーホラーの要素がほとんど無い。人間と吸血鬼との間における、友情や恋愛が物語の中心となっている。また、吸血鬼を狙う墓守や庭師などが恐ろしい存在として描かれているのも特徴である。

シリーズ全体で時間が進んではいるが、基本的には一巻完結のストーリーである。
刊行

1979年、第1巻 Der Kleine Vampir がロヴォールト書店から刊行された。以降、Der Kleine Vampir で始まるタイトルで続刊し、1988年までに8巻まで刊行された。

1989年から1993年、9巻から16巻までがC・ベルテルスマン書店から Anton und der kleine Vampir(仮訳: アントンとちびっ子吸血鬼)として刊行された。それらは、2000年から2001年にロヴォールト書店から、タイトルを Der Kleine Vampir から始まるように改題して再刊された。

2001年から2015年、17巻から21巻がロヴォールト書店から刊行され、完結した。

日本では1987年から1999年、くもん出版から16巻まで発行された。2006年から2007年、リニューアル版が『リトルバンパイア』とシリーズ名を改題し、13巻まで発行された。最終5巻は未訳である。
あらすじ

ホラーミステリーが大好きな男の子、アントンがひとりで留守番をしていると、窓に人影が。その正体は吸血鬼の子供、「ちびっこ吸血鬼」のリュディガーだった。それからリュディガーは頻繁にアントンの部屋の窓に現れるようになり、リュディガーの妹のアンナも加えて冒険をしたり、トラブルに巻き込まれたりしながら心を通わせていく。親友は吸血鬼、ガールフレンドも吸血鬼というアントンの日々を綴った物語。
主な登場人物
主人公たち
アントン・ボーンザック
吸血鬼の本を読むのが大好きな、人間の男の子。ボーンザック家の一人息子。リュディガーやアンナと知り合い、様々な騒動を引き起こす。
リュディガー・フォン・シュロッターシュタイン
アントンの部屋の窓に現れた「ちびっこ吸血鬼」。他のシュロッターシュタイン家の吸血鬼とともに共同墓所に住む。
コウモリに変身できるようだが、アントンの前では変身した姿をほとんど見せない。子供だが既に立派な吸血鬼の牙が生えている。
アンナ・イルムガルト・フォン・シュロッターシュタイン
「歯なしのアンナ」。リュディガーの妹で、まだ吸血鬼の牙が生えておらずミルクを飲んでいる。チーズなど乳製品も食べられるようである。ただし、物語の進行とともに牙が成長している。アントンをとても気に入っているが、しばしば吸血鬼になるよう勧めることにアントンは困っている様子。読書が趣味のようで、よくアントンと本を交換している。
ボーンザック家
お父さん
運送業者の会社員。アントンの吸血鬼話を全く信じておらず、よくアントンを冷やかしている。リュディガーとアンナには好感を持っているらしい。
お母さん
学校の先生。お父さんと同じく吸血鬼をまるで信じておらず、アントンが吸血鬼に夢中になっていることに困っているようである。リュディガーとアンナのことも気味悪がっている。
学校
ウド
アントンを馬鹿にしている上級生。くいしんぼうで単純な性格。
ヴィオラ
14巻でアントンのクラスにやって来た転校生。オルガにそっくりなため、リュディガーはなんとか彼女と仲良くなろうと、アントンに協力を求める。
フリーゲンシュナイダー
アントンの学校の算数・生物の先生。14巻では担任に代わって、アントンたちのクラスを林間学校に連れて行っている。
吸血鬼たちを狙うもの
ハンス・ハイリンリッヒ・ガイヤーマイヤー
「墓守ガイヤーマイヤー」。ヨーロッパで初の吸血鬼のいない墓地を作ろうとしている墓守。顔は
ドブネズミにそっくり。朝から晩までニンニクを食べ、常に木の杭とハンマーを持ち歩いているため、吸血鬼たちからとても恐れられている。
エルンスト・アルベルト・カギマワールマン
4巻で登場。「たまご事件」の犯人捜しをする、クライン・オルデンビュッテルの村医者。村の合唱団の指揮者も務めている
共同墓所の吸血鬼(シュロッターシュタイン家)
ルンピ・フォン・シュロッターシュタイン
「力持ちのルンピ」。リュディガーとアンナのお兄さんで大柄な吸血鬼。声変わり中だったり、癇癪をおこしやすかったりするのは
思春期に吸血鬼になった為とのこと。ルンピはアントンに親しく接しているが、アントンはルンピが怖くて近づけない。
ドロテーおばさん
アントンが最も恐れている吸血鬼。一族一貪欲で、アンナを襲おうとしたこともあるらしい。
ザビーネ・フォン・シュロッターシュタイン
「恐怖のザビーネ」。シュロッターシュタイン家で最初の吸血鬼。リュディガーとアンナのおばあちゃん。
ヴィルヘルム・フォン・シュロッターシュタイン
「荒くれ者のヴィルヘルム」。リュディガーとアンナのおじいちゃんでザビーネの夫。ザビーネが吸血鬼になった翌年、同じく吸血鬼になった。
ルートヴィヒ・フォン・シュロッターシュタイン
「すごうでのルートヴィヒ」。リュディガーとアンナのお父さん。ヒルデガルトと結婚した時には既に吸血鬼だった。
ヒルデガルト・フォン・シュロッターシュタイン
「すいたがりやのヒルデガルト」。リュディガーとアンナのお母さん。吸血鬼と知らず、ルートヴィヒと結婚。自分も吸血鬼になることに・・・。
テオドール・フォン・ザイフェンシュバイン
ドロテーおばさんの夫。ガイヤーマイヤーに杭を打たれ、絶命した。
ヤンマー谷の吸血鬼
イエルク
「気みじかのイエルク」。ルンピの友達。吸血鬼のメンズクラブを作り、ボウリング大会を開催する。「いいにおい大賞」受賞歴あり。
トランシルバニアの吸血鬼
オルガ・フォン・ザイフェンシュバイン
リュディガーが熱を上げている「ちびっこ吸血鬼」で、そばかすが印象的なお嬢様。ドロテーおばさんの姪。吸血鬼一族一の美女と言われている。5巻で共同墓地を訪れた際、アントンとも友達になる。
ブラジウス・フォン・ザイフェンシュバイン
オルガの父。伯爵。トランシルヴァニアの恐怖の一夜で吸血鬼狩りにあい絶命。
ブルーンヒルデ・フォン・ブレッダーツァーン
ブルーンヒルデ大おばさん。シュロッターシュタイン一族とは別にトランシルヴァニアに残っていた吸血鬼。耳が悪く、補聴器を使っている。
ドラキュラ伯爵
16巻で登場する、吸血鬼一族から尊敬を集める吸血鬼の祖先。不気味な目から人間に催眠術をかける能力をもつ。
その他
プーフォーゲル
アントンの住むマンションの住人。リュディガーの棺おけを地下室にかくまった際、アントンに「かびくさい」と文句を言ってくる。
ギフティヒ
「グレーテルおばさん」。アントンたちがグロース・オルデンビュッテル行きの列車で会った夫人で、親切だけれどもそそっかしい。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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