リトナビル
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
1,3-thiazol-5-ylmethyl N-[(2S,3S,5S)-3-hydroxy-5-[(2S)-3-methyl-2-{[methyl({[2-(propan-2-yl)-1,3-thiazol-4-yl]methyl})carbamoyl]amino}butanamido]-1,6-diphenylhexan-2-yl]carbamate
臨床データ
販売名Norvir
Drugs.com
リトナビル(Ritonavir、治験番号 ABT-538、略号RTV)は、抗レトロウイルス効果を持つプロテアーゼ阻害薬(英語版)の一つであり、ヒト免疫不全ウイルスやC型肝炎ウイルス感染症の治療に使用される医薬品である。ノービア、カレトラ(ロピナビルとの合剤)、ヴィキラックス(オムビタスビル、パリタプレビルとの合剤)の商品名でアッヴィから製造販売されている。
リトナビルはHAART療法に取り入れられている場合が多いが、抗ウイルス効果よりもむしろ他のプロテアーゼ阻害薬の分解抑制を期待して使用される。この阻害効果によって、他のプロテアーゼ阻害薬の血中濃度が上昇し、より少量の投与で薬効を期待することができる。この考え方の下でロピナビルとの合剤が開発されている。
オムビタスビルおよびパリタプレビルとの3剤合剤がC型肝炎の治療に用いられる。
日本では、2022年2月10日に新型コロナウイルス感染症の治療薬として医薬品医療機器等法14条の3に基づき特例承認されたニルマトレルビル・リトナビル(商品名: パキロビッドパック)にもリトナビルが含まれる[1]。ただしこの場合のリトナビルの配合目的は、ニルマトレルビルの解毒代謝を阻害し、その血中濃度を高く維持するためであり、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス活性は有しない。
リトナビルはWHO必須医薬品モデル・リストに収載されている[2]。 HIV感染症 リトナビル単剤で特に注意すべき副作用は、錯乱、痙攣発作、脱水、高血糖、糖尿病、肝炎、肝不全、過敏症、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、出血傾向(発現率:15.5%)である[3][4]。 また、5%以上に発現する副作用として、悪心(47.5%)、下痢(44.9%)、嘔吐(23.6%)、腹痛(11.6%)、消化不良(9.4%)、食欲不振(8.9%)、異常感覚(21.5%)、頭痛(15.5%)、眩暈(9.3%)、傾眠(5.1%)、口周囲感覚異常(26.6%)、味覚倒錯(11.4%)、知覚過敏(5.1%)、無力症(22.3%)、咽頭炎(9.8%)、発疹(7.6%)、血管拡張(8.8%)がある。 ロピナビル・リトナビル配合剤では重大な副作用として膵炎、徐脈性不整脈が追加される[5][6]。 高血糖症は脂肪細胞および筋細胞におけるリトナビルの直接的GLUT4阻害作用によると考えられている[7]。この作用はインスリン抵抗性を生じ、2型糖尿病の原因となる。
効能・効果
副作用
併用禁忌
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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