リスク_(ボードゲーム)
[Wikipedia|▼Menu]

リスク(Risk)とは、戦略ボードゲームである。パーカー・ブラザーズによって発売された(現在はハズブロの傘下にある)。フランスの映画監督、アルベール・ラモリス(Albert Lamorisse)が考案したもので、最初の版は1957年に、「世界征服」(La Conquete du Monde)という名前で、フランスで発売された。

リスクは、2人から6人のプレイヤーで遊ぶターン制のゲームで、ナポレオン時代の政治区分を模して表現された世界地図上でプレイする。この地図は42の領土に分かれており、それぞれは6つの大陸に所属している。プレイヤーは軍隊を指揮し、他のプレイヤーから領地を奪うようにする。目的は全ての領土を奪い取る、つまり"世界征服"であり、他のプレイヤーのコマを盤上からなくすことである。リスクでは軍隊の移動の際、現実にありそうな制限、例えば世界の大きさや、戦役に伴う補給の必要性などは無視する。
内容品とそのデザインの変遷

このゲームには6セットの軍隊が入っており、それぞれ別の色となっている。それぞれの軍隊は3種類のコマで構成される。歩兵コマは軍隊1単位を意味し、騎兵コマは5単位を意味し、砲兵コマは10単位を意味する。これらのコマは、それぞれの形状に特別な意味が込められているわけではなく、単純に軍の大きさを表したものである。従って、プレイ中にあるプレイヤーのコマが不足した場合、間違えにくい範囲で他の色のコマを使ってもいいし、もしくは何か他の小物などを用いて軍隊数を示してもかまわない。コマの他に、通常のリスクには5つのサイコロが入っている。このうち2つは防御側が、残り3つは攻撃側が使うよう、それぞれ違う色で構成されている。

その他に、全部で72枚(最近の版では56枚)のリスクカードが入っている。通常のゲームに使われるのはこのうち44枚で、そのうち42枚には各領土が描かれており、それに加えて歩兵、騎兵、砲兵のシンボルが描かれている。各プレイヤーのターン終了後、もし1つでも新しく領土征服に成功したら、リスクカードを1枚手に入れる。2つ以上の領土を征服できても、もらえるカードは1枚を越えることはない。1つの同じシンボルを3枚手に入れるか、それぞれのシンボルを1枚ずつ手に入れれば、プレイヤーはそれらを自分のターンの始めに交換し、軍隊の増援を行うことができる。これらのカードはゲーム開始時にも用いられる(後述)。他にリスクカードにはワイルドカードが2枚入っており、これには歩兵、騎兵、砲兵の全てのシンボルが描かれている。これは増援の際にどのシンボルのカードとしても用いることができる。さらに28枚(最近の版では12枚)の指令カードが含まれているが、これらは"秘密指令リスク"においてのみ使われる。

最初の版では、コマは木製で、立方体が1単位の軍隊を意味し、星形に組み合わされた三角柱が10単位の軍隊を意味していたが、後の版ではコスト削減のためにこれらはプラスティック製となった。1980年代に、それらはローマ数字の1,3,5,10(T,V,X,])の形状のコマとなった。1993年版では歩兵、騎兵、砲兵を表すコマとなったが、これはプラスティック製だった。40周年記念コレクターズ版は同様の構成だが、コマは金属製となった。加えて、盤から東アフリカと中東を結ぶ線が削除されたが、これは後に製造ミスであることがわかった。その後の版ではコマはプラスティック製に戻り、なくなった線も復活した。[1]ヨーロッパ版にはたびたび秘密指令リスクのためのカードが同梱されることがあったが、アメリカ版では1993年になるまで同梱されなかった。[2]
ゲームの準備

リスクを遊ぶ際の準備は他のゲームと比べて若干多い。各プレイヤーはまず軍隊のコマを初期展開のために用意する。コマ数はプレイヤー人数によって異なっており、2人ゲームでは40単位ずつ、3人ゲームでは35単位ずつ、4人ゲームでは30単位ずつ、5人ゲームでは25単位ずつ、6人ゲームでは20単位ずつとなる。サイコロを振って、最初にコマを置くプレイヤーを決める。次に、プレイヤーは時計回りに1単位ずつ、まだ占領されていない領土にコマを置いていき、全ての領土が誰かに占領されるまでこれを続ける。その後、残りのコマを、時計回りに各プレイヤー1つずつ、自分の領土が戦略的に強くなるよう置いていき、全てのコマが置かれるまで続ける。全てのコマが置かれたらゲーム本編の開始であり、もう一度サイコロを振って、プレイ順を決める。もしくは、簡単にゲームを始めるために、ワイルドカードを除いたリスクカードを配って、そこに描いてある領土に各自コマを置く方法もある。この場合は、配られた各領土には各自必ず1つコマを置き、残りのコマは軍備増強として各自好きなように置く。こちらのルールは、当初リスクが発売された時に同梱されたルールでもある。
プレイヤーのターン
増援

各プレイヤーのターン始めに、プレイヤーは自分の領土の増援を行う。プレイヤーは自分の支配している領土の数に応じて、自分の支配している大陸の価値に応じて、自分が持っているリスクカードのセットの価値に応じて、援軍を受け取る。領土数に応じた分は、支配している領土数の1/3(端数切り捨て)となっているが、少なくとも3単位の軍隊は受け取れる。アジア全域を支配していれば、これに加えて7単位の軍隊をもらえる。同様に北アメリカとヨーロッパでは5単位、アフリカでは3単位、オーストラリアと南アメリカでは2単位がもらえる。

支配している領土に応じた増援の他に、プレイヤーはリスクカードのセットを用いて増援が行える。攻撃フェイズでもしプレイヤーが1つでも新たに占領を行った場合、リスクカードを1枚もらえる。このリスクカードには42の地区のうち1つと、歩兵、騎兵、砲兵のどれかの絵が描かれている。他にワイルドカードが2枚あり、歩兵、騎兵、砲兵全ての絵が描かれているが、領土の図は書かれていない。ワイルドカードは歩兵、騎兵、砲兵の好きなどれかのカードとして扱い、セットを完成することに使える。セットとは、同じ兵のカード3枚(例えば、砲兵が3枚)、もしくはそれぞれのカード1枚ずつ3枚である。リスクカードによって増援される単位は、最初の増援では4単位、次は6単位、その次は8単位、次が10単位、以降15単位、20単位、25単位と、セットをプレイするごとに増加する。さらに、カードをプレイした際にそのカードに描かれている領土を支配していた場合、2単位の増援がその領土に行われる。
攻撃

増援を配置したら、プレイヤーは領土を手に入れ、リスクカードをもらうために攻撃することができる。攻撃は隣接している領土にのみ行うことができる。攻撃の結果はダイスを振ることで行う。各ロールは個々の攻撃として扱われる。攻撃するプレイヤーは好きな領土を何度でも攻撃することができる(攻撃する領土を変えることも含む)。攻撃する側が相手の持っている最後の領土を占領した場合、それは相手プレイヤーの降伏を意味し、攻撃した側は相手の持っている全てのリスクカードを手に入れる。この際にカードが5枚以上になった場合、4枚以下になるようにその時点で増援を行う。

攻撃が成功して守備側の全ての軍隊を倒した場合、攻撃側は攻撃した領土から占領する領土へ軍隊を移動する必要がある。移動する最低の数はサイコロを振った数で、元の領土に1単位でもコマが残っていればいくつでも移動して構わない。そのため、もしある領土に3単位のコマがあった場合、ここから攻撃に出られる数は最大2となる。守備側のプレイヤーはその領土にあるコマの数の範囲で、最大2個までのサイコロを振る。そのため、1つしかコマがない領土は、それ以上コマがある領土より防御において弱いことになる。

攻撃では、攻撃側、守備側が使う軍隊の数だけサイコロを振る。攻撃側は攻撃に出したコマの数に合わせて、サイコロを1つ、2つもしくは3つ振る。守備側は守る領土に置かれているコマの数を越えない範囲で、サイコロを1つ、もしくは2つ振る。サイコロを振る数はお互いがサイコロを振る前に決め、サイコロは攻撃側、守備側が同時に振る。出た目のうち、攻撃側のサイコロの目の一番大きいものを、守備側の目の一番大きいものと比較する。もし双方のプレイヤーが2つ以上のサイコロを振った場合、攻撃側の2番目に大きい目のものを守備側のもう1つのサイコロと比較する。サイコロを振る数が双方で違った場合、比較に使わなかったサイコロは無視する。個々の比較において、攻撃側のサイコロの目が守備側より大きかった場合、守備側はコマを失う。しかし、攻撃側のサイコロの目が守備側と同じ、もしくは守備側より小さかった場合、攻撃側がコマを失う。これは、1対1の戦いなら守備側が有利だが、攻撃側は数の有利を得られる、ということを意味する。(サイコロに関する確率計算)実際に領土を占領するのに用いた攻撃側、守備側の数と、その確率との関連は、マルコフ連鎖を用いた研究がなされている。[3][4][5]
防備

攻撃を全て終えたら、プレイヤーは軍隊コマを1回だけ、1つの領土から隣接する他の1つの領土へと、自分の占領した領土間で移動させることができる。ただし、各領土には少なくとも1単位のコマを置いておく必要がある。もし1つでも新しく領土を占領したら、プレイヤーは山札から1枚リスクカードを引くことができる。このカードは同時に5枚を越えて持つことができない。これは、プレイヤーがカードを5枚持てば必ず3枚セットを作ることができるためである。カードを5枚持った場合、そのプレイヤーは自分の次のターン冒頭で3枚セットを公開し、増援を行わなければならない。カードを引いたら、時計回りで次のプレイヤーがプレイを行う。
2人ゲーム

2人ゲーム用のルールは、アメリカペンシルベニア州フィラデルフィアのマイケル・レヴィン(Michael Levin)によって開発された。そして、このルールは1975年以降、公式ルールに含まれることになった。[6]また、近年では別の形での2人ゲーム用ルールが採用されている。
1975年版ルール

この2人ゲームルールは、基本的には普通のリスクと同じルールで行われる。各プレイヤーは40単位のコマを持ち、交互に1つずつ、まだ占領されていない領土を、両者14個ずつ占領するまで置く。残ったコマは、各人が既に置いた14のマスに置いていく。コマの置かれなかった14のマスは、中立地帯である、とみなす。これらの軍隊は2人が選んだのとは別の色で表現し、各領土ごとに同盟軍を2単位、計28単位が、占領されていない領土に置かれることになる。

各プレイヤーは通常のルールでゲームを始める。ターンの開始時に、追加されるコマ数を数え、総数の半分(端数切り捨て)を同盟軍として得る。例えばコマ数が9単位なら同盟軍の数は4単位となる。各人は自分のコマをルールに従って置き、攻撃が終わらせた直後(防備のためにコマ移動をする前)に、相手プレイヤーが同盟軍の占領地に(先ほど数えた分の)コマを置く。

各プレイヤーは、通常のルールで攻撃を行う。プレイヤーは相手プレイヤーか同盟軍を攻撃できる。もし同盟軍を攻撃する場合、相手プレイヤーが守備のためのサイコロをふることになる。同盟軍が置かれた直後には、同盟軍を置いたプレイヤーが相手プレイヤーを同盟軍で攻めてもかまわない。もちろんそれらをすぐに使う必要はなく、使わない場合はその領土に蓄積されることになる。そして、この時点で同盟軍を使わなかった場合、もう一方のプレイヤーは置かれたコマを同盟軍として使っても構わない。同盟軍を使う際は、自分の領土を攻撃してはいけない。同盟軍は、リスクカードを手に入れることはなく、上記に書かれた方法のみによって軍の増援を行う。

同盟軍の攻撃を終えていいと相手プレイヤーが判断したら、プレイヤーは自軍の防備を行う。同盟軍は防備のための移動は行わない。

ゲームは、どちらかのプレイヤーが全ての領土を失うまで行う。同盟軍が領土を失ったら、同盟軍についての行動は以後行わず、通常のルールに従ってプレイを行う。
近年のルール

42枚の領土が書かれたリスクカードを3つに分け、そのうち2つを各プレイヤーの初期領土とし、各領土に1つずつ自分のコマを置く。残りの領土が中立地帯で、中立軍を各領土に1コマずつ置く。残りのコマは、自分のコマを2つと中立軍のコマを1つ持ち、自分のコマを自分の領土に好きなように配置し、中立軍のコマを中立地帯に好きなように(できれば相手を邪魔するように)置いたら、相手も同様に行うようにして、交互に配置していく。

攻撃する際は相手の領土を攻めてもいいし、中立地帯を攻めても構わない。中立地帯を攻める際は中立軍のサイコロは相手プレイヤーが振る。中立軍からの攻撃はなく(守備のみ)、増援も防備のための移動も行わない。

ゲームは、どちらかのプレイヤーが全ての領土を失うまで行う。中立軍が領土を失ったら、同盟軍についての行動は以後行わず、通常のルールに従ってプレイを行う。
戦略
基本戦略


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:46 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef