ラーオ語
??????? (phaasaa laao)
発音IPA: [p?a?s?? la?w]
話される国 ラオス
タイ
カンボジア
ベトナム
地域東南アジア
話者数約330万人[1]
言語系統タイ・カダイ語族[2]
カム・タイ語派
ラーオ語(ラーオご、ພາສາລາວ ラオ語、ラオス語とも)は、タイ・カダイ語族に属する言語。ラオスの公用語である。 ラーオ語は、純粋言語学的にはタイ語と同一言語の地域変種の関係にある。また、ラオス人の多くはテレビなどのメディアを通じてタイ語を習得し、ラーオ語の一部にタイ語を混ぜて使用している。そのため、ラーオ語話者とタイ語話者はある程度の意思疎通が可能である。しかし、タイ人の中でも特に中部から南部地方のタイ人にとって、ラーオ語を即座に理解するのは困難である。ラオスは、独立国家であり、ラーオ語(タイ語群からみるラーオ変種)はタイ語(タイ変種)と政治的には同レベルの「国家公用語の地位」にある。そのため、ラーオ語はタイ語との差異を一層大きくしている[3]。
概要
言語学者のターオ・ボンが現代のラーオ語正書法の基礎を築いた。それ以前は、フランス植民地政府(1893?1953)時代の言語学者は、タイ語と同様の語源的表記をしていないことをもって「サンスクリット・パーリ語の語彙を保全していない」と評価し、「劣等言語」である証としていた[5]。ターオ・ボンは、「タイ語同様語源的表記を行うため、字母の追加を行うべき」とする意見を「盲目的にシャム(後のタイ王国)の正書法に事大する必要などない」、「純粋に音に従った表記こそ最適」と批判した。さらに、「字母数の少ない表音的表記を取っていることこそラーオ語の表記がタイ語のそれに対して優越している証」と見なした[6]。
タイ語とラーオ語は純粋言語学的には同一言語の地域変種である。社会言語学的・政治的には、両者とも独立した正書法をもち、その正書法を強制できる力をもつ領域国家により支えられているために、異なる言語として扱われる。特に、ラオスではタイからの政治的・文化的影響力を遮断し、国家の自立を守るという意図から、政治的なプロパガンダにより、「ラーオ語はタイ語からは分離している」として、積極的に分離の歴史を作り上げてきた[7]。
「ラーオ」とはラーオ語でラーオ族という意味である。日本では、国名から、ラオス語、またはラオ語がよく使われる。
ラオスでは、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}現在20 - 30歳代の若い世代[いつ?]でも不就学のためにラオス語の読み書きができない人たちも多い。社会の急激な変化に伴い、日常生活の様々な場面でラオス語教育を必要とするようになっている[8]。 ラーオ語は、主に以下のような方言を持つ。 このうち特に西ラーオ語はタイ国内のイーサーン(東北タイ)で話されており、ラオス国内で話されるラーオ語に酷似している。ラオス国内ではヴィエンチャン方言が標準語であると見なされているが、ラオス国内の義務教育が完全に一律とは言えず、地方ではこのヴィエンチャン方言を話すことができない場合もある。 また、ラーオ語と比較的似た言語に北タイ語などがある。 先述したように、ラーオ語と標準タイ語(以下タイ語としたところは標準タイ語を指す)は類似しているが、生活に即した語彙での違いが見られる。たとえば、「田を耕す」という表現をラーオ語では「ヘット (het)(行う)・ナー(田)」と表現するのに対し、タイ語では「タム (t?am)(作る)・ナー」と表現する。このような場合でも、ラオスでは特にヴィエンチャン付近を中心にタイ語のテレビを見ることができ、またタイでもイーサーン語による演歌、モーラムが全国各地で流れているため、このような単語の違いは実際の会話では些細な違いとして気にされずに済むことが多い。 また、ある語彙が全く別のものを指すという現象もたまに見られる。たとえば「パーアナーマイ」という言葉はそのまま訳せば「衛生布」となり、ラオスでは「トイレット・ペーパー」を意味するが、タイでは「生理用おむつ」を意味する。これは、日本語における「手紙」の言葉が中国語では「トイレット・ペーパー」を意味するのとよく似ている。ちなみにイーサーン語においては、この「パーアナーマイ」という言葉はタイ語の影響を受けて「生理用ナプキン」の意味の方が一般的である。 さらに、外来語の受容にも違いが見られる。
方言
東ラーオ語
ヴィエンチャン方言
北部方言(ルアンパバーン)
東北方言(シエンクアーン)
中央方言(カムムアン)
南部方言(チャンパーサック)
西ラーオ語
イーサーン語
ラーオ語と標準タイ語