ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル
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ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル、時計製造業の都市計画
スイス

ラ・ショー=ド=フォンの整然とした町並み
英名La Chaux-de-Fonds / Le Locle, watchmaking town planning
仏名La Chaux-de-Fonds / Le Locle, urbanisme horloger
面積283.9000 ha
(緩衝地域 4487.7000 ha)
登録区分文化遺産
登録基準(4)
登録年2009年
公式サイト世界遺産センター(英語)
使用方法表示
ラ・ショー=ド=フォンの格子状の都市計画

「ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル、時計製造業の都市計画」は、ユネスコ世界遺産リスト登録物件のひとつである。スイスヌーシャテル州に残る伝統的な時計製造業と結びついた都市計画が評価された産業遺産であり、ラ・ショー=ド=フォンの町並みはスイスの国定重要文化財 (bien culturel suisse d'importance nationale) に指定されている[1]
ラ・ショー=ド=フォン
歴史

ラ・ショー=ド=フォンコミューンの成立は1656年のことである。1780年以降、その経済は、時計製造業、レース製造業、金属細工などのおかげで発達したが、1794年の火災で、町の建造物群は焼失した。のちに中心市街となる区画の再建には、啓蒙時代の申し子といえる都市計画が採用された。これは彫刻親方モワズ・ペレ=ジャンティ (Moise Perret-Gentil) によって主導されたもので、公益と私益の間で合意された成果であった。

1834年にシャルル=アンリ・ジュノ (Charles-Henri Junod) による新しい都市計画が採用された。それを実地で適用するに当たっては、火災の延焼を防ぐために安全性や衛生面が考慮されたことはもちろん、園芸や除雪のためのスペースを空けることや、全ての人に良い日当たりを保障することも考慮された[2],[3]。そして再建が実行され、都市の碁盤目状の区画に従い、谷の北の斜面が1835年から1841年にかけて発達した。

1848年以降、ラ・ショー=ド=フォンはヌーシャテル州の経済の中心地となった。社会生活と文化生活は増進し、都市のインフラストラクチャーは、博物館、劇場、図書館などとともに発展した。19世紀末には、ドイツ系スイス人 (suisses alemaniques) 、ドイツ人、フランス人、イタリア人などの移民が多くなだれ込んだ。

また、アルザス出身のユダヤ人たちは、都市経済と文化の面で重要な役割を担った。1896年に建造されたシナゴーグは、スイスで最大級の規模を誇っている。

20世紀初頭のラ・ショー=ド=フォンは、アール・ヌーヴォーの中心地でもあり、ル・コルビュジエ生誕の地でもある。そこでは、今でも彼の初期の作品を見ることができる。

1905年以降、この地方特有のアール・ヌーヴォーの一様式である「スティル・サパン」(フランス語: le style sapin, サパンは「モミ」の意味)が発達した。それは、ラ・ショー=ド=フォン美術学校 (l'Ecole d'art de La Chaux-de-Fonds) で、シャルル・レプラトニエが主導する形で生まれたもので、その装飾の様式は、ジュラ山脈の動物相や植物相に触発されている。その様式は、時計製造業、建築、日用品などに広く適用できる可能性を持っていた[4]

人口面で見ると、1715年には702人だった人口は、1800年には4927人となり、1850年には12638人、1910年には37751人と順調に増加していった[5]
時計製造業と都市

ラ・ショー=ド=フォンは「時計の帝都」とも呼ばれている[6]

再建後の都市の発展の中で、居住空間と時計工房は同じ建物の中で接近していった。典型的な工房は最上階に置かれ、大きな窓のおかげで室内は明るかった[7]。職住近接型の都市計画は、19世紀半ばにはカール・マルクスの『資本論』において、分業を分析する際の一事例として取り上げられ、「工場都市」(ville-manufacture)と評された[8]

そして、20世紀初頭には、工場とともに建物は特殊化していった[2]。1900年に、ラ・ショー=ド=フォンは時計の製造・流通の重要な拠点になっていた。時計工場では生産は機械化され、この時期、世界の時計生産の実に 55 % をラ・ショー=ド=フォンが担っていたのである[9]

1920年代まで都市は渓谷の地形にあわせて拡大を続けた。中心部では、建築物は新古典主義から派生したもので、アール・ヌーヴォーは焼き絵ガラス、タイル張りの床、壁紙、戸框、金具など、建物の内外の装飾に用いられるにとどまった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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