ラマン散乱
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ラマン効果(ラマンこうか)またはラマン散乱は、物質に光を入射したとき、散乱された光の中に入射された光の波長と異なる波長の光が含まれる現象。1928年インドの物理学者チャンドラセカール・ラマンとK・S・クリシュナンが発見した。
目次

1 概要

2 原理

2.1 古典論

2.2 量子論


3 共鳴ラマン散乱

4 非線形ラマン効果

4.1 誘導ラマン散乱とラマン増幅

4.2 空間的コヒーレンスの必要性


5 応用

5.1 ラマン分光法

5.2 超連続スペクトルの生成


6 出典

7 参考文献

8 関連項目

9 外部リンク

概要

ラマン効果は、入射するフォトンと物質との間にエネルギーの授受が行われるために起こる光の非弾性散乱である。ラマン効果による散乱光と入射光とのエネルギー差は、物質内の分子や結晶の振動準位回転準位、もしくは電子準位のエネルギーに対応している。分子や結晶はその構造に応じて分子振動や光学フォノンなど、特有の振動エネルギーを持つため、単色光源であるレーザーを用いることで物質の同定などに用いられている(ラマン分光法)。
原理詳細は「光散乱」を参照

ラマン効果は光と物質の相互作用に伴う光散乱現象の1つである。下記のとおり古典論では分極率の変調による光周波数変化に対応するが、共鳴効果や選択則、強度などを考えるには量子論による取り扱いが必要である。
古典論

古典的には、ラマン効果は光が物質に入射した時、固体や分子の振動・回転等により光が変調され、その結果生じたうなりが、もとの波長とは異なる波長の光として観測されることに対応する。

一般に、原子・分子に光が照射されると、光電場によって電気双極子モーメント P = α E {\displaystyle {\begin{aligned}{\mathit {P}}=\alpha {\mathit {E}}\end{aligned}}} が誘起される。αは分極率、E は光の電場である。

ここで、分極率αが、分子のある振動(振動数νvibであるとする)によって

α = α 0 + α 1 cos ⁡ 2 π ν v i b t {\displaystyle {\begin{aligned}\alpha =\alpha _{0}+\alpha _{1}\cos 2\pi \nu _{vib}{\mathit {t}}\end{aligned}}} のように変化していたとする。(t は時間)
また入射光の電場E が振幅E0 、振動数νinを用いて

E = E 0 cos ⁡ 2 π ν i n t {\displaystyle {\begin{aligned}{\mathit {E}}={\mathit {E}}_{0}\cos 2\pi \nu _{in}{\mathit {t}}\end{aligned}}}

と書けたとする。

このとき、誘起双極子モーメントP は

P = α E = ( α 0 + α 1 cos ⁡ 2 π ν v i b t ) E 0 cos ⁡ 2 π ν i n t = α 0 E 0 cos ⁡ 2 π ν i n t + 1 2 α 1 E 0 cos ⁡ 2 π ( ν i n − ν v i b ) t + 1 2 α 1 E 0 cos ⁡ 2 π ( ν i n + ν v i b ) t {\displaystyle {\begin{aligned}{\mathit {P}}&=\alpha {\mathit {E}}=(\alpha _{0}+\alpha _{1}\cos 2\pi \nu _{vib}{\mathit {t}}){\mathit {E}}_{0}\cos 2\pi \nu _{in}{\mathit {t}}\\&=\alpha _{0}{\mathit {E}}_{0}\cos 2\pi \nu _{in}{\mathit {t}}+{\frac {1}{2}}\alpha _{1}{\mathit {E}}_{0}\cos 2\pi (\nu _{in}-\nu _{vib}){\mathit {t}}+{\frac {1}{2}}\alpha _{1}{\mathit {E}}_{0}\cos 2\pi (\nu _{in}+\nu _{vib}){\mathit {t}}\end{aligned}}}


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