この項目では、古代ギリシアの民族について説明しています。古代オセアニアの民族については「ラピタ人」をご覧ください。
ケンタウロスと闘うラピテース族の像。テッサリアー地方の平原を流れるペーネイオス河(現在のピニオス川)。ホセ・デ・リベーラの1623年の絵画『イクシオン』。プラド美術館所蔵。
ラピテース族(ラピテースぞく、古希: Λαπ?θη?, Lapith?s)は、ギリシア神話に登場するテッサリアー地方の半神話的民族である。複数形はラピタイ(古希: Λαπ?θαι, Lapithai)。長母音を省略してラピテス族とも。英語ではラピタ(英: Lapith)。
ラピテース[注 1]の子孫とされ、ゼウスの妻の女神ヘーラーを誘惑しようとしたためにゼウスの怒りを受けたイクシーオーンや、結婚式のさいにケンタウロス達と闘ったペイリトオスといった人物で有名。
概要と、オッサ山、ペーリオン山の山岳部一帯に住んでいた[1]。普通はギリシア人の一分派と考えられている。彼らは野蛮なケンタウロス族の敵対者で、武勇にすぐれ、「槍をふるうラピタイ族」などとうたわれている[2]。
ラピテース族はイクシーオーン、プレギュアース、ペイリトオス、カイネウス、ポリュペーモスといった英雄を輩出しているが、彼らはしばしば向う見ずで、敬神に篤いとは言えないところがあり、特にイクシーオーンとプレギュアースは神に対する冒涜的行為のために冥府で罰を受けているとされる。
ラピテース族の最も有名なエピソードはペイリトオスの結婚式の際に起きたケンタウロス族との戦いである。このエピソードは古来より芸術のモチーフとしても好まれ、中でもアテーナイのパルテノン神殿メトープの彫刻群は有名であり、ルネサンス期以降もしばしば西洋絵画の画題となっている。
ラピテース族はテッサリアー地方のイオールコスが発端となったアルゴー船の冒険や、トロイア戦争にも参加している。 神話によると、河神ペーネイオスとクレウーサとの間にヒュプセウスとスティルベーが生まれ、スティルベーとアポローンの間に2子ラピテースとケンタウロスが生まれた[3]。このうちラピテースがペーネイオス河畔に住み着いて王となった。この地の住人をラピテース族と呼ぶのはラピテースに由来する。 ラピテースの2子ポルバースとペリパースはともにラピテース族の王となったが、ポルバースは招かれてエーリス地方に行き[4]、彼に伝説的なエーリス王アウゲイアースとアクトールが生まれた[注 2]。一方、テッサリアー地方に残ったペリパースには8子が生まれ、さらに長男のアンティオーンはペリメーレー(アミュターオーンの娘)との間にイクシーオーンをもうけた。このイクシーオーンにペイリトオスと[5]ケンタウロス族が生まれた[6]。 ガイア
系譜伝承
ペーネイオス クレウーサ
ヒュプセウス クリダノペー ダプネー スティルベー アポローン