ラピスラズリ
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「ラピスラズリ」のその他の用法については「ラピスラズリ (曖昧さ回避)」をご覧ください。

ラピスラズリ
ラピス・ラズリの原石
分類変成岩
化学式青金石(ラズライト)を主成分とするミネラル固溶体
結晶系ラピスは岩石ではない。主成分であるラズライトは12面体の結晶としてしばしば発生する。
晶癖コンパクトで重い
断口不規則な貝殻状
モース硬度5?5.5
光沢dull
青、白い方解石と真鍮の黄鉄鉱の斑
条痕ライトブルー
比重2.7?2.9
屈折率1.5
その他の特性組成の違いは、上記の値に大きなばらつきを引き起こす。
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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ラピスラズリ (lapis lazuli) は、方ソーダ石グループの鉱物である青金石(ラズライト)を主成分とし、同グループの方ソーダ石藍方石・.mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}黝方石(ゆうほうせき)など複数の鉱物が加わった類質同像の固溶体半貴石である。和名では瑠璃(るり)といい、サンスクリット語のヴァイドゥーリャないしパーリ語のヴェルーリヤの音訳とされる。深い青色から藍色を持ち、しばしば黄鉄鉱の粒を含んで夜空のような輝きを持つ。
概要

人類に認知され、利用された鉱物として最古のものとされている[1]エジプトシュメールバビロニアなどの古代から、宝石として、また、顔料ウルトラマリンの原料として珍重されてきた。日本ではトルコ石と共に12月のほかに9月誕生石とされる。主成分にもラピスラズリとは異なる日付が誕生石として設定されている。石言葉は「尊厳・崇高」など。

ラピスラズリ (lapis lazuli) は、ラテン語で「lazhwardの石 (lapis)」を意味する。ラピスはラテン語で「石」 (Lapis)、ラズリはトルキスタンにあるペルシア語地名 "lazhward"(ペルシア語: ??????‎、現在のアフガニスタン・イスラム共和国バダフシャーン州en:Kuran wa Munjan DistrictにあるSar-i Sang鉱山の古名)が起源。

それがアラビア語圏でペルシア語由来の外来語として取り入れられ ??????????(l?zaward, ラーザワルド, 「瑠璃(石)」の意[2][3])となり、アラブ世界を経由しヨーロッパへと伝わりアジュールの語源となった。

古代ギリシャでサプフィールといったのは、今のサファイアではなく、ラピスラズリであったという説もある。(古代ローマの大プリニウスが著した博物誌には、サッフィール(サッピルス)の名でラピスラズリが記載されており、「金が点になって光っている」、「最良のものはペルシャで発見される」等と記述されている[4]。)

旧約聖書出エジプト記』の、祭司の装飾品のひとつである胸当てにはめ込む石として青い石(sappir)は、ラピスラズリだといわれている。また新約聖書ヨハネ黙示録』では、世界が終末を迎えた後現れるとされる新エルサレムの都の神殿の東西南北12の礎にはそれぞれ12種類の石で飾られ、そのうちの2番目がサファイア、11番目が青玉と記述されているが、青玉は現在ではサファイアのことを指すので、もしそうであれば2番目のサファイアはラピスラズリのことを指している可能性がある。この他にも旧約聖書でモーセシナイ山にて、神より授かったとされるモーゼの十戒が刻まれた石版はサファイアとされていたが、これもラピスラズリであったといわれている。(1927年、1964年出版の邦訳では「第二は瑠璃」とされている[5][6]。)

日本では、ラピスラズリは瑠璃と呼ばれ、仏教の七宝のひとつとされ、仏典『無量寿経』や『法華経』に瑠璃の記述がある。奈良正倉院の宝物庫には、紺玉帯と呼ばれるラピスラズリで飾られた黒漆塗の牛革製ベルトが収められている[7]
性質・特徴

方ソーダ石グループの数種類の鉱物間の固溶体である。青金石・方ソーダ石・藍方石・黝方石の4つに限っては、同じ方ソーダ石鉱物グループであり、類質同像の多結晶体をなしうる。方解石黄鉄鉱は「混合」または「混入」するのみである。

時折ラピスラズリが、複数の鉱物の混合物(岩石)であるとの説明を見かけることがあるが、あくまでラピスラズリは固溶体(solid solution)であって混合物/集合体(mixture)ではない。もしラピスラズリが混合物(岩石)であれば結晶が出来るはずはないが、ラピスラズリは十二面体の結晶でしばしば産出する。

固溶体(solid solution)は結晶構造を持つが、混合物/集合体(mixture)は化学的結合をせずに混じりあっているだけなので構造を持たない。従って結晶をなさない。

市場で流通しているラピスラズリの大部分は塊状のものであるが、最近では母岩付きの結晶体のものもかなり見られるようになった。

モース硬度: 5 - 5.5。

比重: 2.38 - 2.45。

屈折率: 1.50。

透明度: 半透明 - 不透明。

: 群青色瑠璃色、時に白色、金斑色。

条痕色: 青色

光沢: 硝子状 - 脂肪状光沢。

晶系: 主成分は等軸晶系

劈開: 不明瞭。

断口: 粗面、不規則。

塊状。

傷つきやすく、薬品にも弱い

塩酸と反応して硫化水素を出し、ゼラチン化する。

成分

主成分の4種類の鉱物に他のいくつかの微量鉱物が入り混じって固溶体をなしている。主成分となる4種類の鉱物はいずれも等軸晶系のテクト珪酸塩・準長石である方ソーダ石グループの鉱物である。化学組成は珪酸アルミ、ソーダで、さらに硫黄塩素を含む。そのため、ハンマーで叩くと硫化水素臭を発する。
主成分
青金石(lazurite、ラズライト)
Na8-10Al6Si6O24S2
方ソーダ石(方曹達石、sodalite、ソーダライト)
Na8Al6Si6O24Cl2
藍方石(hauyne、アウイン)
(Na,Ca)6-8Al6Si6O24(SO4)1-2
黝方石(nosean、ノゼアン、ノーゼライト)
Na8Al6Si6O24SO4
副成分

微量、含まれない場合もある。
方解石(カルサイト)
白い筋。
黄鉄鉱(パイライト)
金色の斑点状に入る場合もある。多く含まれる硫黄の内、過剰に余ったものが鉄と合わさって黄鉄鉱を形成する[1]。ただし、バイカルで産出されるラピスラズリは黄鉄鉱を伴わない[1]


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