ラビリンチュラ
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ラビリンチュラ綱
アプラノキトリウム属 (ラビリンチュラ目)
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
階級なし:ディアフォレティケス Diaphoretickes
階級なし:SARスーパーグループ SAR supergroup
階級なし:ストラメノパイル Stramenopiles
:ラビリンチュラ綱 Labyrinthulea

学名
Labyrinthulea Cavalier-Smith, 1986

(Labyrinthulomycetes Arx, 1970)
和名
ラビリンツラ綱、ラビリンチュラ菌綱、ラビリンツラ菌綱、
ラビリンチュラ類 (広義)
英名
labyrinthulomycetes,
labyrinthulids (s. l.)
下位分類
本文参照

ラビリンチュラ綱、ラビリンツラ綱 (学名: Labyrinthulea[注 1])、ラビリンチュラ菌綱、ラビリンツラ菌綱 (学名: Labyrinthulomycetes[注 2]) は、ストラメノパイル (不等毛類) に属する菌類様の原生生物の1群である。栄養体は基本的に単細胞性であるが、ラビリンチュラ属 (ラビリンツラ属[1]、ラビリンスラ属[2]) は特異な網状の群体を形成する。ふつう細胞は薄い鱗片が重なった外被で覆われ、また外質ネットとよばれる仮根または糸状仮足様の構造を伸ばしている (右図)。ラビリンチュラ綱の中で、細胞の1または数箇所から仮根状の外質ネットを伸ばしている種は、しばしばヤブレツボカビ類 (: thraustochytrids) とよばれる[3][4]。海産種が多く知られるが、淡水や陸上に生育する種もいる。基本的に吸収栄養性であり、植物遺骸などを細胞外消化・吸収する腐生性、または生きた生物から栄養を吸収する共生性 (寄生性を含む) である。多価不飽和脂肪酸 (DHAなど) や炭化水素 (スクアレンなど) を多く産生する種が知られており、応用研究が盛んで一部は実用化されている。

一般名としてはラビリンチュラ類、ラビリンツラ類 (: labyrinthulids) とよばれるが[3][4]、この名はラビリンチュラ属のみを意味することもある[5] (以下ではラビリンチュラ綱全体に対する一般名として「ラビリンチュラ類」を用いている)。またラビリンチュラ類は光合成能を欠き、藻類に分類されたことはないが、不等毛藻 (オクロ植物門;珪藻褐藻を含む) に比較的近縁であるため、藻類とよばれることがある[5]
特徴
形態

栄養体 (通常時の体) は基本的に単細胞性であるが (下図1)、ラビリンチュラ属 (Labyrinthula) は特異な網状の変形体様群体を形成する[1][5][6][7] (下図2; 下記参照)。ソロディプロフリス属 (Sorodiplophrys) の栄養体は単細胞性であるが、胞子形成時に細胞が集合して細胞性粘菌累積子実体によく似た子実体を形成する[8][9]。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}1a. オーランチオキトリウム属 (ヤブレツボカビ目)1b. アプラノキトリウム属 (ラビリンチュラ目) の走査型電子顕微鏡像: 細胞表面は鱗片で覆われている。1c. アンフィトレマ属 (アンフィトレマ目) の殻: 両端に開口部をもち、生細胞はここから外質ネットを伸ばす。

細胞はふつう薄い (厚さ 2?3 nm) 盤状の鱗片が重なり合った外被構造で囲まれている[1][4][5][7][10] (上図1b)。この鱗片は硫酸化多糖 (ガラクトースキシロースフコースなどに富み、系統群によって組成が異なる[10][11]) からなり、ゴルジ体で形成される[5][7][12]。一部の種は、生活環の一時期に鱗片を欠くアメーバ状細胞 (amoeboid cell) を形成する[5]。例外的に、アンフィトレマ科の種は両端に開口部をもつ厚くゆるい殻 (ロリカ) を形成する[13][14] (上図1c)。またラビリンチュラ類の中には、細胞外多糖 (exopolysaccharide) を多く分泌するものもいる[5]。細胞外多糖はグルコースやガラクトースを多く含む[15]

細胞の一端または複数箇所から、外質ネット[3][4][16] (外質網[17]、網状構造[1]; ectoplasmic net, ? network, ? thread, ? filament) とよばれる構造が生じている[5][7][18]。外質ネットはしばしば分枝する仮根または糸状仮足様の構造であり、細胞外被を欠き、生体膜に包まれているがリボソーム細胞小器官をほとんど含まない[3][6][7][19]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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