ラパ・ヌイ語
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ラパ・ヌイ語

Vananga Rapa nui
話される国 
チリ
地域イースター島
話者数4,650 (ethnic Rapa Nui, 2002)
言語系統オーストロネシア語族

マレー・ポリネシア語派

中東部マレー・ポリネシア語群

東マレー・ポリネシア諸語

大洋州諸語

大洋州中部・東部諸語

遠隔地大洋州諸語

中部大洋州諸語

フィジー東ポリネシア諸語

ポリネシア諸語

中核ポリネシア諸語

東ポリネシア諸語

ラパ・ヌイ語












言語コード
ISO 639-2rap
ISO 639-3rap
消滅危険度評価
Severely endangered (Moseley 2010)
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ラパ・ヌイ語(ラパ・ヌイご、単にラパ・ヌイとも)は、イースター島の住民であるラパ・ヌイ[1]が話す東ポリネシアの言語である。
古代ラパ・ヌイ語

ヨーロッパ人によって島の運命が大きく変えられる以前の、今や絶滅した古代ラパ・ヌイ語についてわかっていることはほとんどない。1770年に島を訪れたスペイン人の覚え書きによると、94の記録されている単語と表現の多くはポリネシア語だったが、いくつかは認識できない言語だったようである。そのスペイン人はいかなる既知の言語とも関係がないように思える1から10までの数詞も記録した (現代のラパ・ヌイの単語を括弧書きで示す):
cojana (katahi)

corena (karua)

cogoju (katoru)

quirote (kaha)

majana (karima)

teuto (kaono)

tejea (kahitu)

moroqui (kavau)

vijoviri (kaiva)

queromata-paupaca quacaxixiva (kaangaahuru)

この一覧は誤解を招くものであり、これらの単語は数字とは全く関係ないとする研究もある。スペイン人は西欧の数字を島民に示し、島民はその真の意味を理解しなかったが何らかの他の抽象概念になぞらえたと推測される。たとえば、数字の8に対するmoroquiは、実際には釣り餌に使われる小さな魚morokiであったと思われる。なぜならば8は魚の単純な描画に見えるからである[2]。この筆記との初期接触がロンゴロンゴ文字の発明につながった可能性がある[3]

4年後にイギリス人がタヒチ語の通訳を連れて島を訪れた。この通訳はいくつかのポリネシア語の単語を理解した (17個まで書き下された) が、島民と一般的な会話はできなかった。しかしながら、このイギリス人も数詞を記録しており、今回それらはポリネシア語だった。ノルウェーの探検家トール・ヘイエルダールは2つの異なる言語が島で話され、ゆっくりと融合していると推測した[4]

古代ラパ・ヌイ語は19世紀後半にペルーで黒人奴隷が解放され、労働力不足に悩むペルー政府の要請を受けたアイルランド人のジョゼフ・バーンによって、太平洋諸島で新たに奴隷狩りが行われた結果、ほとんど破壊された。ペルー人の鉱山や農園で奴隷として働かされていた人々の大多数は1860年代に病気と悪い待遇で死んだ。残りの島民は1870年代から1880年代に、使用人や労働者として働くためフランス人に強制連行された。タヒチのマンガレヴァ島に残された何百人ものイースター島民は、局地的な形態のタヒチ語ピジンを採用した。マンガレヴァ島移民の生き残りがほとんど見捨てられた故郷の島に帰ってきたとき、このタヒチ語ピジンが現代ラパ・ヌイ語の基となった[5]

1935年-1969年の間イースター島で暮らしたドイツ人の宣教師Sebastian Englert[6]は1948年、彼のLa Tierra de Hotu Matu’aの中で部分的なラパ・ヌイ語-スペイン語辞典を出版し、古い言語から残されたものを保存しようと試みた。多くの誤植にもかかわらず、この辞書は貴重である。なぜならば本物のコーパス、一部は口伝、一部は実際の会話からひかれたと思われる豊富な例を提供しているからである[7]


ロンゴロンゴと呼ばれる独自の (今まで解読されていない) イースター島文字は、古代ラパ・ヌイ語で書かれていると推測されている[8]
現代ラパ・ヌイ語

現代ラパ・ヌイ語は、分類中でそれ自身の下位グループを形成している: これはラパ・ヌイが一方で中東ポリネシア語 (マルキーズの言語、ラパ語およびタヒチの言語) 他方では東ポリネシア語全体を構成していることを意味する。

東ポリネシア語の中では、形態論的にマルキーズ語に最も近いが、他のポリネシアの言語から失われた子音を比較的残しているという点だけを比べるなら、音韻論的にはニュージーランド・マオリとの共通部分がより多い。

すべてのポリネシアの言語と同様、ラパ・ヌイ語は比較的子音が少ない。東ポリネシア語独自の特徴として、ラパ・ヌイ語はポリネシア祖語が当初持っていた声門破裂音を保存していた。ラパ・ヌイ語はVSO型言語である。

ラパ・ヌイの言語について書かれた最近の著書のうちもっとも重要なものはVeronica du FeuのRapanui (Descriptive Grammar) (ISBN 0-415-00011-4)である。
脚注^ Rapa nuiには「広大な土地」という意味がある。なお、土地を意味するrapaは、同じオーストロネシア語族のタガログ語のlupaとほぼ同じ意味である。
^ Revista Espanola del Pacifico. Asociacion Espanola de Estudios del Pacifico (A.E.E.P.). N.o3. Ano III. Enero-Diciembre 1993を参照。 ⇒オンライン版も参照。
^ Fischerを参照。
^ Heyerdahl, Thor. Easter Island - The Mystery Solved. Random House New York 1989.
^ Fischer, Steven Riger. Island at the end of the World - The Turbulent History of Easter Island. Reaktion Books Ltd. 2005. ISBN 1-86189-282-9. 114ページを参照。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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