ラテ兼営
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ラテ兼営(ラテけんえい)とは、同一の者がラジオ放送を行う放送局テレビジョン放送を行う放送局の両者を開設することである。またはその事業者、すなわち放送事業者をいう。

ラジオ放送とテレビ放送の双方を行うことをラテ兼営、ラジオ放送のみであればラジオ単営、テレビ放送のみであればテレビ単営という[1]。ラジオ放送とテレビ放送の双方を行う放送局をラテ兼営局という[2]。「ラテ兼営」の語は、放送行政を管轄する総務省の資料にも用いられている語である[3]
概要

日本では民間地上基幹放送事業者、すなわち、NHKと放送大学学園以外の地上基幹放送事業者[注釈 1]は、マスメディア集中排除原則により原則として複数の地上基幹放送局の開設が認められていない。1つの放送局がラジオ放送局テレビジョン放送局を兼ねる「ラテ兼営」はその例外である[4]。具体的には、マスメディア集中排除原則の例外(放送法第93条第1項第4号の「放送対象地域その他の事項に照らして基幹放送による表現の自由ができるだけ多くの者によつて享有されることが妨げられないと認められる場合として総務省令で定める場合」)を規定していた基幹放送の業務に係る表現の自由享有基準に関する省令(平成23年6月29日総務省令第82号)第3条第1項第2号において

コミュニティ放送を除くラジオ4局

コミュニティ放送を除くラジオ4局とテレビ1局

コミュニティ放送1局とテレビ1局

の範囲で兼営(放送持株会社傘下の子会社による運営を含む)が可能と規定されているものである[5]。この取り扱いは、後継の省令である基幹放送の業務に係る特定役員及び支配関係の定義並びに表現の自由享有基準の特例に関する省令(平成27年総務省令第26号)にも引き継がれている(第8条第1項第2号?第5号)。

これは、テレビジョン放送(以下、「TV」と略す)の開始当時、既に放送を行っていた中波放送(以下、「AM」と略す)事業者の参入や支援によりテレビ放送の普及発展を図ろうとしたという歴史的経緯に起因するものであり、一方で1969年に超短波放送ラジオ(以下、「FM」と略す)が開始されたときは、その普及に当たって配慮が不要だったため、元々はFMとTVとの兼営は認められていなかった[6]。実際、テレビ単営局のFM放送免許を取ろうとした例が幾つか存在したが、何れも郵政省に取り下げられている[注釈 2]。このような経緯もあり、ラテ兼営は「AMとTV」の組み合わせがほとんどであり、加えて民放AMラジオでは単営事業者よりTVとの兼営事業者の割合が高く、2019年3月時点で全国の民間AMラジオ事業者47社のうち、約3分の2に当たる31社がTVとの兼営事業者である[3][注釈 3]
事業者一覧

特記事項のある社の放送対象地域はテレビ。
同一法人により運営されるもの

狭義の「ラテ兼営」であり、2021年4月1日現在の31社[注釈 3]。全てAM局とTV局の兼営。

放送対象地域名称放送系列備考
ラジオテレビ
北海道北海道放送(HBC)JRNNRNJNN
青森県青森放送(RAB)NNN/NNS
岩手県IBC岩手放送JNN
秋田県秋田放送(ABS)NNN/NNS
山形県山形放送(YBC)
宮城県東北放送(TBC)JNN
山梨県山梨放送(YBS)NNN/NNS
静岡県静岡放送(SBS)JNN
長野県信越放送(SBC)
新潟県新潟放送(BSN)
富山県北日本放送(KNB)NNN/NNS
石川県北陸放送(MRO)JNN
福井県福井放送(FBC)NNN/NNS・ANN
岐阜県岐阜放送(GBS)独立AM局独立協
京都府京都放送(KBS)NRNラジオ放送は放送対象地域に滋賀県を含む(KBS滋賀)。
徳島県四国放送(JRT)JRN・NRNNNN/NNS
高知県高知放送(RKC)
愛媛県南海放送(RNB)
香川県岡山県西日本放送(RNC)ラジオ放送の放送対象地域は香川県のみ。
RSK山陽放送JNNラジオ放送の放送対象地域は岡山県のみ。
鳥取県島根県山陰放送(BSS)ラジオ放送の親局は米子、テレビ放送の親局は松江。
広島県中国放送(RCC)
山口県山口放送(KRY)NNN/NNS
福岡県RKB毎日放送JRNJNN
九州朝日放送(KBC)NRNANN
長崎県長崎放送(NBC)JRN・NRNJNNラジオ放送は放送対象地域に佐賀県を含む(NBCラジオ佐賀)。
熊本県熊本放送(RKK)
大分県大分放送(OBS)
宮崎県宮崎放送(MRT)
鹿児島県南日本放送(MBC)
沖縄県琉球放送(RBC)JRNラジオ放送は社内カンパニー制(RBCiラジオ)。

同一の認定放送持株会社傘下で運営されているもの

放送対象地域放送持株会社テレビ放送
(放送系列)ラジオ放送
(放送系列)備考
関東広域圏日本テレビホールディングス日本テレビ放送網
(NNN/NNS)アール・エフ・ラジオ日本
(独立AM局)1994年に旧・日本テレビ放送網がアール・エフ・ラジオ日本を連結子会社化し、さらに2012年10月1日にテレビ部門を分社化(分割準備会社への事業譲渡)して放送持株会社に移行し「日本テレビホールディングス」に商号変更。
ラジオの放送対象地域は神奈川県のみ。
TBSホールディングスTBSテレビ
(JNN)TBSラジオ
(JRN)旧・東京放送が2001年10月1日にラジオ部門を分社化(番組製作会社への事業譲渡)し、さらに2009年4月1日にテレビ部門を分社化(番組製作会社への事業譲渡)して放送持株会社に移行し「東京放送ホールディングス」に商号変更(2020年10月1日「TBSホールディングス」に商号変更)。
フジ・メディア・ホールディングスフジテレビジョン


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