ラストイニング
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ラストイニング―私立彩珠学院高校野球部の逆襲
ジャンル野球漫画
漫画
原作・原案など
神尾龍
作画中原裕
出版社小学館
掲載誌ビッグコミックスピリッツ
発表号2004年6・7合併号 - 2014年19号
発表期間2004年1月5日 - 2014年4月7日
巻数全44巻
その他監修:加藤潔
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『ラストイニング―私立彩珠学院高校野球部の逆襲』(ラストイニング しりつさいたまがくいんこうこうやきゅうぶのぎゃくしゅう)は、原作:神尾龍、監修:加藤潔、作画:中原裕による日本野球漫画。『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて2004年から2014年にかけて連載された[1]2010年、第1回サムライジャパン野球文学賞ベストナイン受賞作品。
概要

主人公を監督にすることにより、試合だけでない高校野球の裏側を描いた作品[2]。練習方法等も多く描画されかつ練り込まれているのが特徴で、実力の土台固めなどを軽視せず野球に対して理論的な姿勢で挑んでいる[2][3]

作画の中原裕は、努力と根性があれば何とかなるというありがちなスポ根にはしたくなかった、格上のチームに勝つには土台となるだけの実力と、相手を分析しての作戦が不可欠だと思うと語っている[4]
あらすじ

インチキセールスマンとして生計を立てていた鳩ヶ谷圭輔。だが勤めていた会社が薬事法違反及び詐欺容疑で取り調べられ、その際に上司に責任を被せられて一人、留置所で勾留される。その頃、夏の甲子園予選で彩珠学院高校が初戦敗退という結果で短い夏を終える。同校は36年前の甲子園で初出場初優勝し、過去には名門と呼ばれていたが、その野球部も今では弱小と化し、学校経営も悪化の一途を辿っていた。

彩珠学院の経営監査を任せられている美里ゆり子は、広大な野球専用グラウンドなどその原因となった野球部を不良債権として取り潰すことを主張する。だが校長であり、かつての全国制覇チームの主将でもあった狭山滋明は理事長に掛け合い「来年の夏までに甲子園に出場」できれば野球部の存続を認める約束を取り付ける。そしてそのために狭山が目を付けたのが、13年前彩学のキャプテンだった鳩ヶ谷だった。鳩ヶ谷は13年前の甲子園県大会予選準々決勝にて、「大切なのは勝ち負けよりも高校生らしいひたむきさ」を持論とする審判・鶴ヶ島の押し出しの判定に激高して全力で殴りつけてしまった過去があった。

その鳩ヶ谷に対し狭山は野球部の監督を依頼する。職を失い、恋人にも有り金全てを持ち逃げされ、すべてを失った鳩ヶ谷は監督を引き受ける。さっそく鳩ヶ谷は彩学ナインをD・C・M(イヌ・ネコ・サル)の3タイプに分類し、独特の指導を始める。Dは「ドッグ」、従順で良く云う事を聴くが集団性を重んじる。Cは「キャット」、気紛れで個人主義だが能力は高い。Mは「モンキー」、思慮深く表も裏も思考が回る、といった具合である。

鳩ヶ谷は偶然見かけた草野球で特大のホームランを打った元高校球児の大宮剛士(旧姓・児島)を養子縁組・転入させて野球部に加え、なおかつ留学生枠を利用してスティーブ・ストローターを控え投手として育てることを決める。鳩ヶ谷の指導によって生まれ変わった彩学野球部は、春の県大会でベスト16入りして夏のシード権を獲得する。そしていよいよ夏の大会が迫ったとき、エース・日高直哉が控え投手のスティーブと正捕手の八潮創太が練習している様子を見て嫉妬し、独自にフォークボールの練習をして右肘関節に炎症を起こし、初戦に間に合わなくなってしまう。そして初戦・2回戦のさいたま新都心高校戦は苦肉の策としてスティーブの先発となってしまうが、5回裏に打線が爆発しサヨナラコールド勝ちする。

3回戦の名門・春日野大栄高校戦では、エース日高が復帰し剛士がホームランを打つなどで3対1で快勝する。4回戦の瑞雲高校戦では剛士が大栄戦のホームランのイメージを引きずってしまい遅い球に合わずにスランプに陥り、予想外の苦戦となってしまうが2対1で勝利。5回戦埼玉栄冠高校戦では相手の得意戦略のスクイズを読んで完璧に防ぎ2対0で完封勝利。準々決勝の武蔵体育大学付属高校戦では速球に強い打線であること、エース日高を休ませる意図もあって軟投派スティーブを先発させるが、打撃戦となり辛くも10対9で勝利する。準決勝の安政大付属高校戦では相手エース・新谷を攻略し4対1で勝利する。そしていよいよ甲子園をかけた夏の埼玉地区予選決勝、相手は優勝候補筆頭・春の選抜甲子園ベスト8の聖母学苑。超高校級投手・明石慎之介に苦戦し延長戦に突入するも、日高が自己最速の148km/hを記録するなど延長10回の死闘を制し夏の甲子園出場を決める。甲子園出場を決め、野球部は救われたかと思われた矢先、学校の売却先が部活動を全て廃止していることが明らかとなる。祝勝会で甲子園で勝ち進んで学校の名が知れれば新たな経営母体が見つかると言われ、野球部だけでなく学校を救うため、彩学野球部は全国制覇を目指す。

甲子園初戦は地元・兵庫県代表・湊川商工。彩学は完全アウェーの雰囲気に飲まれることなく危なげなく勝利する。2回戦は大分県代表大豊高校。日高は自己最速の150km/hを記録し、剛士が左のエース・国東からホームランを打つなどで勝利する。3回戦は東東京代表・帝都大学第一高校。ここまでほとんどの試合1人で力投してきたエース日高が時限爆弾を抱えていることが明らかとなり、鳩ヶ谷は「チームの勝利か、日高の将来か」で頭を悩ませることになる。一方、帝大一高も優勝を見据えてエースを温存し、お互いに控え投手が先発となり打撃戦となるが彩学は辛くも勝利する。準々決勝は香川県代表の興洋学園。エース佐野の投球術に翻弄されるが、9回裏相手のエラーから得たチャンスに日高がサヨナラタイムリーを放って勝利する。準決勝・地元の大阪府代表優勝候補・難波南洋高校と対戦し善戦するが、ドラフト1位が有力視されているエース藤村の前に6対4で敗れ、ベスト4に終わる。

甲子園終了後、彩学ナインの活躍によって学校法人購入の申し入れが相次ぎ、経営責任者の美里ゆり子の決断によって帝都大学付属彩珠学院高等部となる。鳩ヶ谷は痛い箇所を探られたくないマスコミ対策によって、学校法人が購入したブラジルの野球指導施設「SBA(サイガク・ベースボール・アカデミー)」に最高責任者として転身する。ブラジルで高校野球ライターの蕨耕一から「実は鳩ヶ谷監督とお話がしたいと、今は落ちぶれた元名門校からの申し出が来ている」と言われ、鳩ヶ谷は空に向かって「ゴキゲンだわ…」とつぶやくところで話は終わる。
主な登場人物

登場人物は地名が元ネタの名字の人物が多い。
私立彩珠学院高校

36年前、甲子園大会に初出場で初優勝をしたという偉業を成し遂げた経歴のある学校。だが近年は毎回予選も初戦敗退という程落ちぶれてしまっていた。略称は「彩学(サイガク)」。名前の由来は、埼玉県のキャッチフレーズ『彩の国』。登場人物の名前は埼玉県にある市町村にちなんだものになっている[5]。後述の鳩ヶ谷圭輔が監督に着任してからの公式試合最高戦績は夏の甲子園本戦ベスト4で、惜しくも36年前の再来とまでは至らなかった。

甲子園終了後、彩学ナインの活躍によって学校法人購入の申し入れが相次ぎ、経営責任者の美里ゆり子の決断によって帝都大学付属彩珠学院高等部となる(経営母体として最良の大学を蹴ってまで帝都大学の付属校になったが、美里ゆり子は「どうせなら1部リーグに所属している学校の方が良い」とあえて帝都大学を選択した。ただ、これも後述となるが甲子園本戦ベスト16戦でサイガクは同じく帝都大学の帝大一高と対戦しており、この折に帝大一高の選手は帝都大学を「関東リーグ2部の弱小校」と称している)。


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