ラジコン模型自動車
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ラジコン模型自動車によるレースタミヤサーキットのオンロードコース(静岡市駿河区

ラジコン模型自動車(ラジコンもけいじどうしゃ)またはラジコンカー、RCカー、R/Cカー(アールシーカー)とは、RC装置(ラジコン)によって遠隔操作する模型自動車である。

「ラジコン」は商標[注 1]のため、「ラジコンカー」ではなく「RCカー」または「R/Cカー」と表記されることが多い。1984年10月から放送された「タミヤRCカーグランプリ」から一般的に呼ばれるようになった。
概要

RCカーはトイ用とホビー用の2種類に大別される。

トイ用は主に玩具店で販売され、対象年齢は6歳から存在している[1]。スピード走行を目的としないディスプレイモデル用のラジコンもトイ用として販売されている。

一方、ホビー用は趣味のためのもので、大半は高価なものであり、操縦だけではなく、組み立てることや走行後のメンテナンスも目的(楽しみ)のひとつである。そのため技術や技能(電気的知識やはんだ付けなどの技術)もある程度必要であり、作業の繰り返しによる熟練が必要になる場合もある。かなりのスピードが出るモデルもあるので[2]、無線操縦に対する知識や、安全に対する配慮なども必須である。世界各国でレース競技が行われ、世界選手権も開催されている[3][4]。目的はスピード走行などと言ったパフォーマンスを楽しむことが主目的であり、耐久性や性能を重視しているためディスプレイモデルと比べると模型としての細部は作り込まれない傾向にある。
トイ用トイRCカーの例
(約1/15スケール ハマー H2)

トイ用またはトイ・グレードのRCカーとは、ほとんどの製品が、本体や操縦機(送信機)などがフルセットとなった一式が箱に収められた状態で販売されており、取り出して送信機と本体に電池を入れれば楽しめる(乾電池型の充電電池を入れ、本体に設置したジャックに充電器を差し込む製品もある)完成品となっている。玩具屋やデパートの玩具売り場、一部の家電量販店などで販売される、一般的にはあくまで子供用玩具である。「トイラジ」とも呼ばれる。
利点

安価であることが最大の利点である。走行速度はホビー用と比べると比較的低速で、操縦が容易である。小型モーターを乾電池で駆動させていることもあり、連続走行時間はかなり長い。走らせるまでの手間がかからず、ホビー級のうちで最も簡単なRTR車より容易である。必要なものは乾電池や充電用の家庭用電源のみということが多い。

実車のスケールモデルとしての意味合いを持たせたものの中には、ホビー用のスピード競技用モデルでは省かれる装置・装備が施される場合がある。例えばヘッドライトウインカーブレーキランプクラクションが作動したり、ドアボンネットトランクなどが開閉し、内装が再現されたもの、ラジオスピーカーなどの音響システムを搭載するもの、生活防水を持たせたもの[5]もある。

車種は幅広く、乗用車・レース用車(オンロード・オフロード)・オートバイなど、走らせることがメインのものから、作業用車(トラックブルドーザークレーン車パワーショベル車など)や、戦闘用車輌(戦車など)は実車同様のギミックによる操作を楽しむもの(作業車で物を持ち上げたり運んだり、戦車はBB弾などの発射装置により打ち合うことができたり)もある。ラジドリの流行やトラックモデルのように、ホビー級の車に実車と同じ付属装備を装着し楽しむ愛好家も存在する。
欠点

コストダウンのため、設計や構造が簡素で、大部分は小型モーターを乾電池で駆動しているため非力であり、走行性能はホビー級より低くなる。大半のモデルで、サスペンションは全く付いていないか、付いていても初歩的な形式で、そのため多くはオンロード用となっており、オフロード的な外見であっても実際には満足にオフロードを走れないモデルが少なくない。

RCシステムについても同様で、ホビー用のように標準化されておらず、比例制御ではないものも多い。ステアリング操作は「右いっぱい、中立、左いっぱい」の3つの舵角しか取れず、スロットルも、「停止」、「全速力」の2つだけなどの単純なものも多い[注 2]

補修部品やスペアパーツは、ほとんど市販はされていないため修理は難しく、最初の故障が発生した時が寿命とも言える(この点においても一般の玩具と変わらない)。車に付属している取替え部品は電池と充電器ぐらいで、主要取替え部品を揃えたメーカーは極めて少なく、注文に応じてくれるメーカーもあるが、納期は一般に長めである。
トイ用の例

対象年齢 6歳以上

京商:「1/16 リアルサウンドレーシング
KYOSHO EGG[6]

CCP:「1/24 リアルカーシリーズ」[1]、「1/32 リアルカーシリーズ」[7]


対象年齢 8歳以上

京商:「1/20 Exspeed Circuit レーシングカー KYOSHO EGG[8] 、「1/24 メタルドライブ KYOSHO EGG[9]

タカラトミー:「ドリフトパッケージナノ」[10] (約1/42スケール)[11]


ホビー用

基本的には、トイ用に比べると実車に近い構造を持ち、比例制御が可能なRCシステムが搭載でき、より実車に近い挙動や高い速度・出力を得ることができる。本格的な作りのシャーシではサスペンションホイール・アライメントを細かく調整することも可能[12][13]
様々な販売形態

必要な一式をまとめて購入できるものから、必要な範囲での購入、パーツ単位での購入とさまざまである。

シャーシキット
未組み立てのシャーシキットであり、他のパーツ類(RC装置(送信機、受信機、サーボ、スピードコントローラーなど)、ボディ、走行用バッテリー、モーター)などは一切付属していない。新型シャーシの販売時など。例1)「 ⇒
タミヤ TB EVO.6 ブラックバージョン シャーシキット」例2)「 ⇒京商 TF6 SP

組み立てキット
上記のキットに、対応したボディーと走行用モーターなどがセットされたキット。RC装置、走行用バッテリー、充電器などは付属しておらず、好みに応じて各グレードのものを選ぶのも楽しみである。下記フルセットやRTRなどが市場に出回る以前は、ほぼ全てのキットがこの形式であった。販売店によっては走行に必要な他のパーツ類をセットして販売する場合がある。例1)「 ⇒タミヤ XANAVI NISMO GT-R (R35) (TB-03シャーシ)」例2)「 ⇒京商 TF-5S カルソニック インパル GT-R

フルセット
組み立てキットに、RC装置(送信機、受信機、サーボ、スピードコントローラー)、走行用バッテリー、充電器のセット。キットの組み立てやボディーの塗装は行う必要があるため、本格的なホビーRCカーを比較的手軽に楽しめる。例)「 ⇒タミヤ アルファロメオ MiTo(M-05シャーシ)フルセット

RTR (Ready To Run:レディー・トゥー・ラン)
組立て&塗装済みのフルセット。シャーシにRC装置や走行用モーターを搭載・調整済みとなり、そのシャーシに対応したボディーも塗装済みで付いてくる。走行用バッテリー、充電器もセット。送信機の電池は基本的に別売。走行用バッテリーを充電してシャーシにセットすれば走行可能なため、購入してすぐに走れるという意味で、Ready To Runと呼ばれる[14]。様々な乗用車や競技用トラックがRTR車として販売されており、多くはローエンドキット車のシャーシを組み立てて販売されている。ただし、組立済みとはいえ中身はホビー用RCカーなので、走行後のメンテナンスを怠ってしまうと、あっという間に性能低下に繋がるので、長く楽しみたいならば組立済みとはいえ整備は欠かせない。RTR車の購買層の拡大に伴い、メーカーはそのファンを中・上級版のキット車に取り込む努力をしている。例1)「 ⇒タミヤ XBシリーズ」例2)「 ⇒京商 ミニッツレーサー レディセット

オプションパーツ
多くのオプションパーツが製造メーカー及びサードパーティーから用意されており、その種類・値段も多岐に渡る。RCカーのいわゆるカスタマイズチューンアップ用パーツで、性能向上や能力の追加が目的のほとんどである。主なものとしては、高性能なモーターやバッテリー、タイヤなどであるが、軽量化や強度アップのためのシャーシやサスペンションパーツ、ドライブシャフト、ギヤセット、ボルトやビスまでを軽量な金属のものに変えるためのセットなどもある。見た目重視の、いわゆるアクセサリパーツやドレスアップパーツもあり、アニメや特撮に登場する車を再現したり、デコレーションを追加するために用意されているパーツ(ボディやエアロパーツ、ステッカーやフィギュアのセット)である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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