ラジオ
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この項目では、通信について説明しています。

アメリカの元野球選手については「ブレイディー・ラジオ」をご覧ください。

接頭辞については「RADIO」をご覧ください。

2013年のNHKのテレビドラマについては「ラジオ (テレビドラマ)」をご覧ください。

ラジオのしくみ。音響→マイクロフォン電気信号送信機変調)→送信アンテナ→電磁波による無線方式の伝送→受信アンテナ→受信機復調)→電気信号→スピーカー→音響。ラジオ放送局スタジオラジオ放送局の送信機ラジオ放送の送信アンテナ(AM、米国)ラジオ放送受信機

ラジオ(: radio)
電磁波による信号の、無線方式による送信や受信[1]

電磁波を、音響を信号に変換して無線で伝えるのに使うこと[1]

(上で説明した)電磁波による信号を受信するための装置[1]

概要

もともとの意味は冒頭で示した定義文のように「電磁波による無線方式の送受信」全般を意味する言葉である[2]。しかし、日本において一般的には、電波による音声放送(ラジオ放送)とその受信機(ラジオ放送受信機)を指して使っていることが多い[2]

当記事ではいずれも扱う。つまり、音響音声音楽など)を電磁波の信号に変換し無線でつまり送信側と受信側を電線で繋いだりせずに信号を送信・受信する技術、その技術を用いた放送、その放送を受信するための装置、いずれも扱う。
電磁波による無線方式の送受信技術
#無線電話の始まり」および「無線」も参照
ラジオ放送
ラジオ放送」も参照

いくつかの方式があり、最も歴史の長いのは振幅変調による中波放送(AM放送)で、基本的な方式は100年間ほど変わらなかったが、同じく振幅変調方式であるが波長の短い短波放送(SW放送)も(国境を越えるような放送で)使われ、さらに1937年には周波数変調方式のFM放送も登場し、地域放送などで活用されるようになった。→#ラジオ放送の種類
ラジオ放送受信機

ラジオ放送の種類に応じて、AMラジオ(- 受信機)、SWラジオ(短波ラジオ受信機)、FMラジオ(- 受信機)などがあり、複数の方式を受信できるマルチバンド受信機もある。→#ラジオ放送受信機の種類
語源や表記

無線電信の英語表記であるradiotelegraphyの短縮語を語源とする[3]

カタカナでは「レディオ」「レイディオ」と表記される場合もあり、戦前はラヂオなどと表記した[注 1]

1950年(昭和25年)施行の日本の電波法では、当記事で扱っていること(無線音声を送・受信すること)は「無線電話」と呼んでいる。古くは、現在のラジオ放送の前身にあたるものを「放送無線電話」などとも呼んだ[4]
ラジオ放送の種類
アナログ変調


AM放送 - 振幅変調方式で、中波で放送されている。

短波ラジオ - 振幅変調を用いて、短波で放送されている。

FM放送 - 周波数変調方式で、超短波[注 2]で放送されている。遠くまでは伝わりにくいが、雑音の影響を受けにくいという特徴がある[5]

長波ラジオ - 振幅変調を用いて、長波で放送されている。日本では、放送されていないが、外国では放送されている[6]

デジタル変調
衛星デジタル放送や地上デジタル放送ではテレビジョン放送のみでなく、ラジオ放送にも用いられる。

アナログ音声放送

BSアナログ放送(独立音声放送)


デジタル音声放送

衛星デジタル音声放送

BSデジタル音声放送


CSデジタル音声放送

CS-PCM音声放送


地上デジタル音声放送 - アメリカなどでは本放送が開始された。日本でも2003年10月10日東京大阪試験放送を開始したが2011年3月末廃止。

極超短波以上を用いる地上波放送は、電波の性質上不適当であるために過去に実施されていたものも含めてどの国でも行われていない。
ラジオ放送と日本の法規
日本の電波法では「電話」という用語で変調方式なども含めて指している→電話 (電波型式)
ラジオ放送受信機の種類真空管ラジオ東京通信工業(現・ソニー)のTR-52(1952年発売)。
日本製トランジスタラジオの1号機。「受信機」も参照
分類史

1950年代までは基本的に次のように分類していた。鉱石ラジオ / 真空管ラジオ

鉱石ラジオは受信したものを増幅せず鉱石検波器ゲルマニウムダイオード等で直接検波し、クリスタル・イヤホン等で聴取するもの。それに対して真空管ラジオは真空管で増幅回路を組み増幅を行うものだった。真空管ラジオは、使う真空管の数で(1球/2球/3球/4球/5球...と)分類された。

トランジスタを用いたトランジスタラジオが登場した1950年代なかごろ以降は基本的に次のように分類された 鉱石ラジオ / 真空管ラジオ / トランジスタラジオ 

そしてトランジスタラジオはやはり、用いるトランジスタの数で(1石/2石/3石/4石/5石/6石...などと)分類されることになった。
回路の方式による分類

真空管やトランジスタなどを用いるラジオ受信機は、主に増幅回路の方式により次のように分類できる(鉱石ラジオも、異質な回路ながら併せて列挙することがある)。
ストレート
受信した周波数のまま検波し増幅・復調を行う。戦前は殆んどがこのタイプが主流だった。戦後電子回路を理解するための電子工作で製作する程度の利用のみ。正帰還を用いた再生検波も広く用いられた。
レフレックス
ラジオ搬送波と復調後の音声の周波数帯域が異なるのを利用し、検波前の高周波増幅と検波後の音声増幅を一つの増幅素子で兼ねる方式。増幅素子には真空管トランジスタ等を用いる。昔は高価だった増幅素子を節約するために考案された。原理的にはストレート、スーパーヘテロダイン共にレフレックス方式とする事が可能ではある。
スーパーヘテロダイン
受信した周波数を一定の周波数(中間周波数)に変換した上で増幅・復調を行う。太平洋戦中は規制されており、戦後に主流となる。
ダイレクトコンバージョン
受信した周波数に近い高周波を発生させ、直接、音声信号を取り出す。近年、技術革新により安定して高周波を作り出すことが容易となり、中間周波数に変換する部品が省け小型化できるメリットから携帯電話などに盛んに用いられるようになった。
デジタル信号処理(DSP)
受信した周波数を一定の周波数(中間周波数)に変換し増幅・復調をデジタル信号処理して再びアナログ信号に変換してから音声信号を取り出す。近年、ソフトウェアラジオなどに用いられている。
チューニング方式による分類

チューニング(tuning、同調、選局)方式による分類は以下の通りである。
アナログ
アナログラジオ回路の例可変容量コンデンサ(バリコン)や可変インダクタンス(μ同調器)やバリキャップと可変抵抗、などで選局するもの。大まかに振られた目盛りを頼りに(「コリンズ」のように精密なものもあるが)選局する。昔からあるタイプ。
デジタル表示式アナログ
同調回路はアナログと同様であるが、デジタル表示の周波数カウンタが内蔵されたもの。デジタルのように周波数を数字で確認しながらの直感的な選局が可能だが、テンキーやメモリによる選局は出来ない。また、中間周波の周波数をカウントし定数を足して(または引いて)受信周波数として表示するものであるから、調整がズレていると正確ではない。PLLシンセサイザが安価になる以前に、高級機やBCLラジオなどで採用が見られたが、次に述べるデジタル式の普及により1980年代末期にはほとんど見られなくなった。しかしPLLシンセサイザは消費電力が多くコスト高になるため、この方式を選択した商品が近年に入り再度見られるようになってきている。2018年から発売された中国製マルチオーディオプレイヤーの複数の機種(Bearmax、とうしょう など)は、これで表示されている。
アナログ表示式デジタル
2021年、東芝エルイートレーディングはデジタル表示の周波数カウンタは備わっていないが、手回しで選局するタイプのデジタルチューナーラジオを発表した[7]。FMのみならずAMにも同調表示が出現する。
デジタル(PLLシンセサイザ
基準周波数を元に、一定ステップの周波数を合成して同調回路を構成するもの。高級機や、近年は薄型機にも多く使われる。民生機では1970年代後半頃から登場している。オート選局機能が備わったラジオもある。
形態による分類

厳密な線引きは必ずしもないが、形態によりおおよそ以下に分類できる。
大型
部屋などに置いて使う大型のもの。
真空管時代は殆どこれに属する。コンポーネントオーディオとして製品化されたチューナーの一例。AM放送とFM放送に対応している。周波数を選択するためのダイヤルや、信号強度、同調の具合を示す計器などが付属している(SANSUI製 TU-307)。
チューナー
コンポーネントオーディオのコンポーネントのひとつ。ラジオの受信機能のみ。アンプを通してスピーカーを鳴らす。
ポータブル
VHSカセット - タバコの箱位の大きさ。乾電池で動作可能。真空管時代にも電池管という電池で動作するミニチュア管やサブミニチュア管を使い、数十ボルト程度の積層乾電池を用いたものがあったが、消費電力の少ないトランジスタの登場により電池管ラジオは急速に衰退し、代わってトランジスタラジオが急速に普及していった。
薄型
シャツの胸ポケットに入る程度のもの。スピーカーを内蔵していないイヤホン専用のものもある。
受信周波数による分類
1バンド
多くは中波(530 - 1605kHz)AMのみ、またはFMのみの製品で、安価な
携帯ラジオやライトバン・トラックなどの商用車のカーラジオに多い。その他、ラジオNIKKEI受信専用の短波ラジオも市販されていて(受信周波数が固定されておりスイッチ切り替えだけで済む代わり、周辺の局を聴くことは出来ない)、数は少ないが、製造は続いている。近年はチップセットに実装されたFM放送受信音声出力機能を使用可能にした携帯電話機(特にスマートフォン)がある。
2バンド
中波+FMが多い。アナログチューニングの機器のFM受信周波数範囲は76 - 108MHzまでのものが主流である。FM放送の周波数範囲は76 - 90MHzだったが、隣接する周波数帯を利用するアナログテレビ放送1チャンネルから3チャンネルまでの音声を受信することを想定して108MHzまで受信できるように設計されていた。しかし、アナログテレビ放送の終了した2011年7月以降は90MHzまでのラジオが増えてきた。その後、2015年頃からFM補完中継局用にFM放送の周波数割り当てが拡大されたことにより108MHzまで、あるいはFM補完中継局の当初の割り当てである95MHzまで受信できるものが再び出始めている。FMステレオが受信できるものや、わずかではあるがFM・AMともにステレオで受信できるものがある。デジタルチューニングのうち、一部の携帯ラジオやラジカセなど90MHz以降が「テレビ(TV)1ch - 3ch」のようにチャンネル(音声周波数)が決まっているものは海外では受信できない。なお、FM放送開始以前の1960年代前半[注 3]までは中波+短波(3.9 - 12MHz)が多かった。現在でも、中波+短波(ラジオNIKKEI受信用)のラジオは市販されている。中波+FMのホームラジオ、ポケットラジオ、クロックラジオは2019年以降も新製品がどこかのメーカーから投入され、需要に衰えがない。
3バンド
3バンドラジオかつては中波+FM+テレビの1 - 12chの音声が受信できるもの、または中波+FM+短波の3バンドを搭載したホームラジオが多く市販された。中波+FM+複数の周波数域の短波(3.9 - 12MHzが主であるが、メーカーによってはBCL向け短波ラジオとして、それよりも上の22MHz、あるいは30MHzまでの後述「4バンド以上」に準じたものもある)が、現在OEMの形態で市販されている。現在は中波+FM+短波(ラジオNIKKEI受信用)のラジオが市販されているほか、2012年に入ってからは中波+FM+テレビUHF(ワンセグ)の音声が受信できるラジオも、少数市販されている。短波を搭載した3バンドラジカセ、という商品もかつてはあったが、現在では希少な存在になっている。
4バンド
4バンドラジオ中波+FM+短波放送のバンド75 - 13Mの各バンド、あるいは長波・中波・短波の150 - 530 - 30000kHzを連続受信可能な、「ゼネラルカバレッジ」と呼ばれるもの。2019年現在の日本ではAIWAほか。他にはソニーのICF-890V(生産終了)や、一部のラジカセなどで中波+FM+テレビVHF(1 - 12ch)+テレビUHF(13 - 62ch)というタイプもあったが、1 - 3chを除く(ハワイ及びアメリカ本土では88 - 108MHzまでが放送バンドである。超短波放送参照)VHFバンドとUHFバンドは2011年7月24日(岩手・宮城・福島の各県は2012年3月31日)に地上デジタルテレビ放送への完全移行による地上アナログテレビ放送の終了で受信できなくなるため生産が打ち切られ、中波+FM+テレビVHFの - 12chの音声が受信できる3バンドラジオや中波+FM+短波(ラジオNIKKEI受信用)+テレビVHFの4バンドラジオも同様の理由で生産が打ち切られた。


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