ラグランジュ補間
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四点((−9, 5), (−4, 2), (−1, −2), (7, 9)) に対する三次補間多項式 L(x) (黒破線) は基底多項式 y0?0(x), y1?1(x), y2?2(x), y3?3(x) のスケールを変えたものの和である。この補間多項式は与えられた四つの制御点を通り、各スケールされた基底多項式は対応する制御点を通り、それ以外の三つの制御点に対応する x のところでは 0 になっている。

数値解析におけるラグランジュ補間(ラグランジュほかん、: Lagrange interpolation)は、多項式補間に用いられる。相異なる点の集合 xj および数値 yj に対し、そのラグランジュ補間多項式は、各 xj において対応する値として yj をとるような次数最小の多項式である。このように次数最小の多項式は一意に決まるが、決定する方法は複数存在するため、「ラグランジュ補間多項式」という名称をその一意な多項式の「ラグランジュ形」というふうに言及するのは正確でない。

名称はジョゼフ=ルイ・ラグランジュに因んだものだが、ラグランジュの発表する1795年よりも以前に、この方法を初めて発見したのは1779年のエドワード・ワーリングである。ラグランジュの結果はレオンハルト・オイラーが1783年に発表したより複雑な形の公式の簡単な帰結となるものであった[1]

ラグランジュ補間多項式は数値積分法の一種ニュートン–コーツ法でも用いられ、また有限体上で計算されたラグランジュ補間多項式は暗号理論におけるシャミアの秘密分散法(英語版)でも用いられる。

ラグランジュ補間は巨大振幅に関するルンゲ現象の影響を受けやすい。また評価点 xj の変更に関して補間の計算を全くやり直す必要があるから、そのような目的では変更が容易にできるニュートン補間がしばしば用いられる。
定義

k + 1 個のデータ点集合 ( x 0 , y 0 ) , … , ( x j , y j ) , … , ( x k , y k ) {\textstyle (x_{0},y_{0}),\ldots ,(x_{j},y_{j}),\ldots ,(x_{k},y_{k})} はどの二つの xj も同じでないとする。これらのデータのラグランジュ型の補間多項式とは、ラグランジュ基底多項式 ℓ j ( x ) := ∏ 0 ≤ m ≤ k m ≠ j x − x m x j − x m = ( x − x 0 ) ( x j − x 0 ) ⋯ ( x − x j − 1 ) ( x j − x j − 1 ) ( x − x j + 1 ) ( x j − x j + 1 ) ⋯ ( x − x k ) ( x j − x k ) {\displaystyle \ell _{j}(x):=\prod _{0\leq m\leq k \atop m\neq j}{\frac {x-x_{m}}{x_{j}-x_{m}}}={\frac {(x-x_{0})}{(x_{j}-x_{0})}}\cdots {\frac {(x-x_{j-1})}{(x_{j}-x_{j-1})}}{\frac {(x-x_{j+1})}{(x_{j}-x_{j+1})}}\cdots {\frac {(x-x_{k})}{(x_{j}-x_{k})}}} の線型結合 L ( x ) := ∑ j = 0 k y j ℓ j ( x ) {\displaystyle L(x):=\sum _{j=0}^{k}y_{j}\ell _{j}(x)} を言う。

まず最初の仮定により x j − x m ≠ 0 {\textstyle x_{j}-x_{m}\neq 0} であるから、この式は常に矛盾なく定まる。 x i = x j {\textstyle x_{i}=x_{j}} かつ y i ≠ y j {\displaystyle y_{i}\neq y_{j}} となるような対を許さない理由は、必要な補間多項式 L ( y i = L ( x i ) {\textstyle y_{i}=L(x_{i})} ) が存在しないからである(各引数 xi に対する値は一つでなければならない)。他方、 y i = y j y_{i}=y_{j} もそれら二点が実際には単一の点となる。

任意の i ≠ j に対して、基底多項式 ?j(x) は分子に (x − xi) を因子として持つから、x = xi のとき積全体も零となる。他方、i = j のときは明らかに ?i(xi) = 1 が成り立つ。すなわち、 ℓ j ( x i ) = δ i j {\textstyle \ell _{j}(x_{i})=\delta _{ij}} である。ここに右辺はクロネッカーのデルタ。したがって各点 xi において L ( x i ) = y i + 0 + 0 + ⋯ + 0 = y i {\textstyle L(x_{i})=y_{i}+0+0+\dotsb +0=y_{i}} となり L は所期の函数の補間を与えるものとなる。
注意ラグランジュ多項式の集合に対する補間の発散の例


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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