ライトノベル
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なるしまゆりの漫画については「ライトノベル (漫画)」をご覧ください。
マカオ書店翻訳されて販売されている(2014年

ライトノベルは、日本で生まれた言葉で、娯楽小説のジャンルの1つ[1]。英単語のlightとnovelを組み合わせた和製英語で、略語はラノベ[2]
定義
ライトノベルの定義

業界内でも明確な基準は確立されておらず、はっきりとした必要条件十分条件がない。このため「ライトノベルの定義」については様々な説がある。いずれも客観的な定義にはなっていないが「ライトノベルを発行しているレーベルから出ている」「出版社がその旨を宣言した作品である」「マンガ萌え絵イラストレーション、挿絵を多用し、登場人物のキャラクターイメージや世界観設定を予め固定化している」「キャラクター描写を中心に据え、漫画のノベライズのように作られている」「青少年、あるいは若年層を読者層に想定して執筆されている」「作者が自称している」などが挙げられる[3][4][信頼性要検証]。

2004年に刊行された『ライトノベル完全読本』(日経BP社)では「表紙や挿絵にアニメ調のイラストを多用している若年層向けの小説」とされていた[5]榎本秋は自著における定義として「中学生/高校生という主なターゲットにおいて読みやすく書かれた娯楽小説」と記している[6]。あるいは「青年期の読者を対象とし、作中人物を漫画やアニメーションを想起させる『キャラクター』として構築したうえで、それに合わせたイラストを添えて刊行される小説群」とするものもある[7]森博嗣は、著書『つぼねのカトリーヌ』(2014年)において「会話が多く読みやすく、絵があってわかりやすい小説」だとしている。又は「マンガ的あるいはアニメ的なイラストが添付された中高生を主要読者とするエンターテインメント小説」とするもの[8]、「アニメ風の表紙や挿絵。改行や会話が多い文章」とするものもある[9]

作家側も発行レーベルや対象読者層など、ライトノベルとそれ以外の小説を必ずしも区別して執筆しているわけではない。また、出版社側も明確にライトノベルと謳っているレーベル以外では、ライトノベルとそれ以外の小説の線引きを行い、出版しているわけではない。角川書店で毎年夏に展開されている「発見。角川文庫 夏の100冊」に於いても、一般小説に混じってライトノベルが紹介されており、2010年度版以降は『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』『海の底』など、角川文庫から再刊行された作品が収録されている。
ライトノベルと少女小説

少女小説は「少女向けライトノベル」として扱われることが多い。ただし、少女小説は地の文を中心とした小説としての書き方という点で、一般文芸に近いものを要求されてきたため、男性向けライトノベルとはかなりの違いがあるという意見もある[10]
ライトノベルと児童文学

10代を主なターゲットとしている文学ジャンルには他にも児童文学があるが、ライトノベルと異なるのは、大人向けに書かれた文学的価値観を持ち込んでいる点[11]、健全な世界観や倫理性のもとに構築される作品が多い点[12]、読み手の対象年齢を考慮した上での教育的な性格が色濃い点がある[13][14][12]
ライト文芸詳細は「ライト文芸」を参照

ライトノベルから派生して、より対象年齢を高く設定したライト文芸と呼ばれるジャンルがある。SUGOI JAPANのライトノベル部門投票作品に角川文庫のキャラクター小説やメディアワークス文庫の作品が選ばれたり[15]、早川書房『SFが読みたい!』のライトノベル紹介ページに講談社タイガ文庫の作品が載っていたりするなど[16]、そのままライトノベルとして扱われることも多い。名称が定着していない初期には、書店棚にていわゆる「なろう系」と呼ばれる小説投稿サイトで発表された作品の書籍が、ライト文芸と冠した棚に置かれることがあった[17]
新文芸

KADOKAWAは「ネット上で発表された作品を書籍・電子書籍化して出版する小説」を「新文芸」と名付けている[18]。いわゆる「ネット小説」の他、VOCALOID楽曲をもとにして書かれる「ボカロ小説」や「フリーゲームのノベライズ」なども新文芸に含まれるとしている。意味合いが異なる「ライト文芸」と名称を混同されることがある[19]
発祥

ライトノベルの発祥は複数の説があり、1975年ソノラマ文庫の創刊という説や、新井素子氷室冴子などの人気作家が登場した1977年という説などである[20]。また、77年刊の三島由紀夫『夜会服』(集英社文庫)の解説で篠田一士が「『夜会服』のような小説をライト・ノヴェルとよんでみたら、どうだろうか。ライト・ノヴェル、つまり、軽い小説ということだが、もちろん、軽小、軽薄のそれではなくて、軽快、軽捷の軽である」と書いている。ライトノベル作家の中里融司は、その源流は戦前の「少年倶楽部」に載っていた一流大衆作家の少年向け長編小説だとしている[21]
名称

井上伸一郎によれば1980年代後半には統一されたジャンル名はなく「ファンタジー小説」や「ヤングアダルト」に括られていたという[18]水野良安田均は「RPGの世界観やストーリー」を特徴とする小説として「ゲーム小説」を定義しています。その後、角川歴彦は「ゲーム小説」の概念をメディアミックスの可能性を持つ新しいジャンルに拡大しました[22]

「ライトノベル」の命名は、1990年初めにパソコン通信ニフティサーブの「SFファンタジー・フォーラム」において、それまでのSFやファンタジーから独立した会議室を、会議室のシスオペであった“神北恵太”[注釈 1]が「ソノラマ・コバルト」などのレーベルからの出版物に「ライトノベル」と名付けたことが始まりであるとされる[23][24]

従来、これらの分類に対して出版社がつけていた名称としては「ジュブナイル」「ヤングアダルト」または「ジュニア小説」などがある。しかし「ジュブナイル」は小学生向けの教育的かつ健全な物語というイメージがあり、欧米の図書館職員によるレイティングが由来の「ヤングアダルト」は日本では「ヤングのアダルト小説」とも解釈されて異なった印象を与えがちなことから、これらとは違う、気軽に扱うことの出来る名称として作られた。現在では、各種メディアでも「ジュブナイルノベル」や「ヤングアダルト小説」ではなく「ライトノベル」と呼ばれるようになり、定着している[25]。なお「ライトノベル」という呼称は、発祥してからすぐに定着したわけではなく、一般にも呼称されるようになったのはインターネットが広く普及しそれまで以上に読者同士が交流を行うようになった2000年頃だとされている[6]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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