ライチ☆光クラブ
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『ライチ☆光クラブ』(ライチひかりクラブ)は、古屋兎丸による日本漫画作品。本項では、『ぼくらの☆ひかりクラブ』についても記述する。
概要

マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)33号から39号に掲載。原作は東京グランギニョルの演劇『ライチ光クラブ』(1985年、1986年)[1]。ただし、作者によるとストーリーや人物設定の一部が原作とは異なるとのこと。最終回を迎えた後、外伝として四コマ漫画『ライチ☆光クラブ特別編 常川君の日常』『ライチ☆光クラブ番外編その2 螢光小の常川くん』が掲載された[注釈 1]

2011年には特設サイトが公開され、オリジナルグッズの販売やミュージシャンとのコラボ楽曲の公開などが行われている。また、このサイトで演劇『ライチ☆光クラブ』が舞台化され(漫画の舞台化版であり、オリジナルの演劇のリメイクではない)上演されることが発表された。後に本作の前日譚にあたる新作漫画『ぼくらの☆ひかりクラブ』がウェブ連載空間「ぽこぽこ」において連載が開始。『ライチ☆光クラブ』の前日譚に当たる物語で、タミヤが設立した「ひかりクラブ」がどのようにして現在のような状態へ変貌したのかが描かれる。

2012年10月より、テレビアニメが放送[2]。また同年の12月に本作をリメイクした舞台版の上映が公開されることになった。

かつて存在した、学生による闇金融業者「光クラブ」とは無関係。

2021年に本作の刊行15周年を記念し、和山やまとのコラボレーションが決定[3]。『ライチ☆光クラブ コラボレーション』の発売が発表されている[3]。2021年12月16日から2022年1月25日まで、東京都のヴァニラ画廊にて、発売を記念した展覧会「古屋兎丸×和山やま ライチ☆光クラブ コラボレーション展」を開催[3]
あらすじ

少年達の幼さ故の狂気と愚かしさ、彼等に作られた機械(マシン)と少女に芽生える恋を描いた物語。本編と外伝と共通して、独裁者になることを望んでいた少年と彼を取り巻く仲間達のグランギニョルである。
ライチ☆光クラブ
螢光町の片隅にある少年達の秘密基地「光クラブ」。そこには帝王として君臨するゼラを筆頭とする9人の少年が集い、ある崇高な目的のために「機械」を作っていた。やがて完成した「機械」は「ライチ」と名付けられ、「美しいもの」を連れて来るよう命令されるが、ライチは「美しいもの」が何なのか理解できず、違うものばかりを集めてくる。そんなある日、特殊な設定を施されたライチはようやく「美しいもの」が何なのか理解できるようになり、1人の美しい少女「カノン」と数人の少女を光クラブに連れて来た。光クラブの面々はカノンを玉座に据えて女神として崇め、次の目的へ進もうとする。しかしある時、メンバーのタミヤとダフがカノン以外の少女達を密かに逃がそうとしていたことが発覚し、タミヤは粛清として自分の手でダフを処刑することになってしまう。更にゼラと親密な仲にあった少年・ジャイボが仕掛けた罠によってゼラは疑心暗鬼に陥り、光クラブの少年達の結束は徐々に崩壊し始める。
ぼくらの☆ひかりクラブ
『ライチ☆光クラブ』の物語が始まる数年前。小学生のタミヤ、カネダ、ダフの三人は町の片隅の廃工場に「ひかりクラブ」という秘密基地を作り、楽しく過ごしていた。ある日、いつものように秘密基地に集っていたタミヤ達の前に転校生の少年が現れる。常川というその少年は、「最強のロボットを作って世界を征服する」という願望を持っていた。その後、「ひかりクラブ」にはタミヤ達の同級生であるニコ、雷蔵、デンタク達が集まり、彼らは常川の指示を受けて「最強のロボット」を作り始めた。しかし、それからしばらくして雨谷という少年が8人目のメンバーとして加入したことから、少年たちの楽しい遊び場だった「ひかりクラブ」は徐々に変貌し始める。
登場人物

ゼラを除く光クラブのメンバーには、1から8までの数字を意味するドイツ語の「称号」がついている。
ゼラ
「廃墟の帝王」主人公。本名「常川 寛之(つねかわ ひろゆき)」。光クラブの現リーダー。元は転校生でクラブには途中から参入したが、同級生達と共に「最強のロボット」を作り始めたことからクラブの中心になり、ある時ジャイボからタミヤ達が自分を快く思っていないことを聞かされ「リーダーより偉い人になってタミヤを抑えてしまえばいい」と唆されたのを機に、光クラブの帝王を名乗り、実質的なリーダーとなった。角眼鏡を着用している。チェスの天才であり、その才気とカリスマ性を以てクラブを統治する。合理性を重んじ、チェスに喩えた考え方をする。トレードマークは黒い星が描かれた手袋。小学生の頃、ある占い師に「ヒトラーにも無かった黒い星が付いている」また「30歳で世界を手に入れる、或いは14歳で死ぬ。その鍵は一人の少女が握っている」と予言されており、本人もその実現を信じ切っている。ライチを創造し、カノンを捕獲するが、それに嫉妬したジャイボの罠によって疑心暗鬼に陥ることとなる。最終的にライチの暴走によって光クラブのメンバー共々壊滅的被害を受け、最期はニコに背後から便器で体を貫かれて(映画版ではライチの腕を打ち込まれて)死亡した。奇しくもそれは14歳の誕生日であった。高いカリスマ性を持つが、「ぼくらの☆ひかりクラブ」ではクラスメイトより日常的にいじめを受けている様子も描かれている。「常川君の日常」では滑稽な部分が強調されており、未成年なのにライチ酒を作って母親から怒られたり、モテるタミヤに嫉妬したりしていた。自分と同じく眼鏡をかけた弟がいる。「螢光小の常川くん」と「ぼくらの☆ひかりクラブ」において、ジャイボとの関係を持ったのは転校後で、彼のアプローチを受け入れ現在に至る。ジャイボの愛情を認知しており、二人きりの廃工場で淫らな行為をしていたこともあった。「ゼラ」とはゼラチンペーパー[注釈 2]から取ったもの。名前は舞台版で彼を演じた常川博行から。
タミヤ
「真実の弾丸」 称号:ゼックス (6番)本名「田宮 博(たみや ひろし)」。光クラブの初期リーダーであり、光クラブを創設した少年。『光クラブ』の“光”はタミヤ自身の、そしてダフとカネダの名前の頭文字を取って命名した(ひろし・かつや・りく⇒「ひ」「か」「り」)。カネダ、ダフとは幼少期からの遊び仲間。タマコという名の幼い妹がいる。裕福とは言えない家庭だが、家族関係も良好で、両親のことも尊敬しているごく普通の明るい少年。ゼラに光クラブを乗っ取られ、実質的にリーダーの座を奪われた後も、カネダ、ダフとは固い絆で結ばれている。最初は普通の秘密基地だったにもかかわらず、クラブを陰惨な隠れ家に変えたゼラのやり方や現状を疑問視しており、やがて彼と対立する。制服の襟を閉めない事をゼラは嫌っていたが、タミヤはゼラの前でも襟を閉める事はなかった。当初は洗脳に近い状態で従っていたが、ゼラがカノンと共に捕獲した3人の少女に食事も与えずそのまま放置したことがきっかけとなり、ゼラにはっきりとした反抗心を持つようになる。その後彼女たちを起こし食事を与えたりしていた。後にダフと協力して少女たちを逃がそうとするが、ニコに計画を盗み聞きされ失敗。注意を受けたものの、後にカノンで自慰を行ったダフを自らの手で処刑させられるという結果となった。カネダが死んだ後はジャイボの罠に嵌り、焼死は免れたもののライチ畑に火をつけた犯人としてニコ共々処刑されかける(実際に火をつけたのはジャイボであり、タミヤはジャイボに呼び出されて犯人に仕立て上げられた)。しかしライチが心を持ち始めた事で、すんでの所で命は助かった。大火傷を負ったまま捕縛されていたが、カノンとライチに助けられ、ニコを含めた四人での脱出を決意したが、ニコが息を引き取り、カノンが脱出できないライチと共に残ることを選んだ為結局無事に脱出できたのはタミヤのみだった。この時タミヤは逃げ出す途中でライチ畑に残った最後のライチをカノンに渡す。ライチの暴走が止まった後はゼラに復讐すべく光クラブに再び現れ、ゼラを追い詰め真の裏切り者の存在を示唆するが、直後ジャイボにパチンコで頭を打ち抜かれて死亡。ダフとカネダに誓った「光クラブ奪還」は果たせなかった。根は硬派な性格でモテるタイプらしく「常川君の日常」では女学生から黄色い声を浴びせられる描写がある。グランギニョル版では生存している。
ジャイボ
「漆黒の薔薇」 称号:アハト (8番)本名「雨谷 典瑞(あめや のりみず)」。女性のような容姿を持った美少年。実家は町医者で、家から麻酔を持ち出しては同級生に注射し昏睡状態にして淫らな行為をしていたことがあるなど、ゼラとは別方向で奇矯な言動が目立ち、デンタクにも「奇人で変人」と称されていた。「きゃはっ」が口癖。男性であるが、女性的な印象を与え、一部言動にヤンデレとしての要素が見受けられる。同じ男であるゼラに対して友情とは別次元ともいえる愛情を抱いていた[注釈 3]。常川に“ゼラ”の渾名を付けた人物で、「ライチ ラライチ ララライチ」というフレーズを最初に言い出したのもジャイボである。ロボット製造に必要な資金は、彼が父親のヘソクリをおろすことで賄われていた。光クラブを崩壊へ追い込んだ張本人。全てはカノンの出現によってゼラの心が自分に向かなくなった(と思った)事が発端であり、カノンをはじめとする「ゼラの心が向くもの」全てへの嫉妬に狂い暴走する。本気でゼラを愛していたが、ゼラからすれば最初から「玩具」に過ぎない存在だった。ゼラに真実と愛を告白した直後、タミヤがカノンに渡した「最後の一粒」で再起動したライチによってぺしゃんこに潰される。形の歪んだ愛は最後まで報われなかった。その美貌と残忍且つ背徳的な行い故か、古屋兎丸が誌上で行った古屋キャラの人気投票では主役のゼラやタミヤを抑えて、23票で一位を獲得した。名前は舞台版で彼を演じた飴屋法水から。グランギニョル版では生存している。
ニコ
「忠誠の騎士」 称号:アインツ (1番)本名「石川 成敏(いしかわ なるとし)」。クラスで孤立していた経験からゼラに対し狂気に近い忠誠心を持ち、その心は自分の右目を潰して彼に捧げることすら厭わせなかった。ただし、ジャイボとは違い彼の感情はあくまで尊敬・忠誠の域を出ていない様子。家が貧乏で盗癖もあり、学校で給食費がなくなった事件が起きれば真っ先に疑われ、浜里達にいじめられていた。最初は浜里達のいじめから庇われた縁で知り合ったタミヤと交流があったが、ダフやカネダには疎ましく思われていた。「ニコ」というあだ名は、「もっとニコニコ笑っていれば友達ができる」とタミヤに言われたことがきっかけで付いたもの[4]。後にクラブでライチを製造する段階になって、優秀な働きぶりをゼラが評価したことでゼラに心酔するようになる。アインツの称号を得ていることも含め、自分がゼラにとっては一番の存在であると思っていた。彼が右目を自ら抉り取った理由は、ライチの右目は人間の目が良いとゼラが希望した為。しかしカネダ死亡後、ジャイボの謀によってゼラとジャイボが情事に耽る現場を目撃し、「自らの忠誠心が足りない」「命をも賭す必要がある」と考えるようになる。カネダが死んだ後、二人を失ったタミヤが何かしらの復讐をすると予想し、彼を監視する。しかしジャイボの罠に巻き込まれてタミヤの共犯とされ、火炎で喉が潰れた為、弁解も出来ぬまま疑心暗鬼に陥っていたゼラに処刑を宣言される。その後タミヤと共にカノンとライチに救われ、脱出を図るが、火傷が酷く死亡。だが、死を上回るほどのゼラへの怒りによって最後の力を振り絞り、便器でゼラの体を貫き殺害した後に事切れたのだった。(映画版ではゼラの死因が異なっているため、カットされている)名前は舞台版で彼を演じた石川成俊から。
雷蔵(らいぞう)
「暗闇の乙女」 称号:ツヴァイ (2番)本名「市橋 雷蔵(いちはし らいぞう)」。れっきとした男性(少年)でありながら仕草や立ち居振る舞いは女びており[注釈 4]、話す際も女言葉(オカマ口調)を使う。下着は褌を愛用。メンバー内において、よくデンタクやヤコブとつるんでいた。ただゼラの命令に逆らうことなく支持していたが、カノンの「薔薇の処刑」[注釈 5]後に暴走したライチに殺される。最後まで顔だけは守ろうとしたが、ライチにその顔面を引きちぎられ死ぬこととなった。


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