『ライジング!』は、氷室冴子が原作を藤田和子が作画を担当。週刊少女コミックにて、1981年第10号より連載。
少女歌劇の劇団である「宮苑歌劇団」およびその音楽学校を舞台に、主人公:仁科祐紀の音楽学校入学からスターへの成長を描いたステージドラマ。 アメリカ育ちでダンスが好きな祐紀は、芸能専門学校と勘違いして日本の宮苑音楽学校を受験。ところがそこは、声楽や演技力も要求される歌劇学校だった。 挫折を味わいながらも成長し、男役として薫とトップを争うほどになるが、高師の真の狙いは娘役でのトップスターにすることであった。 男役では常に薫の背中を見ることになると言われて娘役に転向した祐紀は、高師の演出するデビュー作で成功を収める。しかしその後の歌劇団での本公演で自分の実力が本物でないことに気づき、高師に利用されたと思い込み宮苑を飛び出してしまう。 外部のオーディションを受けてみて自分が宮苑でいかに恵まれていたかを痛感する祐紀は、倉田悟郎の作品に出演後、一度宮苑に戻り、新たなスタートを切る決意をする。 作品中に登場する演劇作品は、氷室冴子が「ライジング!」のために書き下ろしたオリジナル脚本である(「ジョイス・ジョー」を除く)。
目次
1 あらすじ
2 設定
3 登場人物
4 劇中劇
5 裏話
あらすじ
設定
音楽学校
入学資格:中学卒業以上、15歳?18歳までの女子。
二年制。1年目(初級生)はダンスや声楽などの基礎レッスン。2年目(上級生)では男役と娘役に分かれる。
宮苑歌劇団
音楽学校卒業者から成り、他からの入団を認めない。総数約230名。
組に分かれておらず、公演ごとにメンバーが組まれる。大劇場で年8回、小劇場で6回の公演を打つ。
登場人物
仁科祐紀(にしな ゆき)
主人公。2歳の時に母親と死別、父と二人家族。アメリカに滞在していたが、日本の高校進学のため伯父の家に住む。
高師謙司
宮苑の演出家。
石原花緯
男役の実力者。(元雪組トップスターの麻実れいがモデル)
淤見一也
祐紀の初恋の相手。劇団「アルゴ」の研究生。
仁科好蔵
祐紀の伯父。小説家。
松原修
劇団「アルゴ」の主宰者。途中からベタ(黒髪)に。
倉田悟郎
演出家。高師のライバル。
樋口鞠子
TV出身の人気女優。高師の学生時代の恋人、登場時からは倉田悟郎の恋人。
一ノ瀬了
高師の同僚。ダンス・振り付け担当。
彩輝(さい ひかる)
宮苑歌劇団のトップスター。
岡崎小夜子
祐紀の音楽学校での同期生。祐紀の親友であり、娘役転向後のライバル。
芦辺邦子
祐紀の音楽学校での同期生。元モデル。娘役ではスターになれないシステムに不満を抱き、退学。
古村若子
祐紀の音楽学校での同期生。気が強く、祐紀の入学を認めていない。最終試験に落ちて退学。
藤尾薫
祐紀の音楽学校での同期生。男役を目指す祐紀のライバル。腕の故障で一度休学し、再度受験して特進により祐紀の同期生となる。
劇中劇
「ジョイス・ジョー」:祐紀が音楽学校の最終試験に選んだ演目。藤田和子の短編作品である「さよなら わたしの貴詩」(フラワーコミック6巻収録)をアレンジ。
「恋の追跡者」:ミュージカル・ラブ・コメディー。音楽学校研究発表会の為の書き下ろし作品。祐紀は準主役のビリー役。
「アラビアの熱い砂」:歌劇団の演目。祐紀が音楽学校生ながら、ライラ役の代役で出演。娘役転向のきっかけとなる。ライラは東京公演時に祐紀の本役となる。
「レディ・アンをさがして」:高師の書き下ろしの演目。祐紀の娘役デビュー作にして主役。音楽学校生として特別出演の形を取る。実際にOSK日本歌劇団により上演された。
「鹿鳴館円舞曲」:仁科好蔵作品。「レディ・アンをさがして」で成功を収めた祐紀の初の本公演。主役は彩輝。
「メリィ・ティナ」:シアター・ベガのこけら落しの演目で、祐紀の外部出演作。脚本・演出:倉田悟郎。主演:樋口鞠子。
「黒い瞳にミモザを捧げ」:脚本・演出:高師謙司。宮苑に戻った祐紀の最後の舞台となる。この舞台の開幕シーンがラスト。
裏話
原作者、氷室冴子はベタ髪コンプレックス。主役クラスの人物はベタ髪。白い髪のキャラクターは途中で消えていく。
高師は23歳で登場したが、シブいキャラクター設定の為、30歳を過ぎているような老け顔。次第に若くなっていく。
宮苑歌劇団は作品中では神戸大学の位置にある。
氷室冴子は当時、宝塚歌劇団の大ファンであり、追っかけをやっていたり関西へ突然引っ越したこと等のエピソードを「冴子の東京物語」「ガール・フレンズ」などのエッセイで告白している。
更新日時:2018年2月12日(月)01:41
取得日時:2019/07/20 00:52