ヨーロッパ言語共通参照枠（ヨーロッパげんごきょうつうさんしょうわく、英語: Common European Framework of Reference for Languages：CEFR（セファール[1]）あるいはCEF、フランス語: Cadre europeen commun de reference pour les langues：CECRL）とは、ヨーロッパ全体で外国語の学習者の習得状況を示す際に用いられるガイドライン。1989年から1996年にかけて欧州評議会が「ヨーロッパ市民のための言語学習」プロジェクトを推進した際に、ヨーロッパ言語共通参照枠がその中心的な役割となった。ヨーロッパ言語共通参照枠の目的は、ヨーロッパのすべての言語に適用できるような学習状況の評価や指導といったものの方法を提供することである。
目次

1 共通参照レベル

2 各言語の資格との比較

3 大学入試英語成績提供システム

4 脚注・出典

5 関連項目

6 外部リンク

共通参照レベル

レベル群レベル群名レベルレベル名説明
A基礎段階の言語使用者A1学習を始めたばかりの者・初学者

具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることもできる[2]。

自分や他人を紹介することができ、どこに住んでいるか、誰と知り合いか、持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりできる[2]。

もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助け船を出してくれるなら簡単なやり取りをすることができる[2]。

A2学習を継続中の者・初級者

ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関する、よく使われる文や表現が理解できる[2]。

簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができる[2]。

自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる[2]。

B自立した言語使用者B1習得しつつある者・中級者

仕事、学校、娯楽で普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば主要点を理解できる[2]。

その言葉が話されている地域を旅行しているときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる[2]。

身近で個人的にも関心のある話題について、単純な方法で結びつけられた、脈絡のある文を作ることができる[2]。

経験、出来事、夢、希望、野心を説明し、意見や計画の理由、説明を短く述べることができる[2]。

B2実務に対応できる者・準上級者

自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的かつ具体的な話題の複雑な文の主要な内容を理解できる[2]。

お互いに緊張しないで母語話者とやり取りができるくらい流暢かつ自然である[2]。

かなり広汎な範囲の話題について、明確で詳細な文を作ることができ、さまざまな選択肢について長所や短所を示しながら自己の視点を説明できる[2]。

C熟達した言語使用者C1優れた言語運用能力を有する者・上級者

いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文を理解することができ、含意を把握できる[2]。

言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる[2]。

社会的、学問的、職業上の目的に応じた、柔軟な、しかも効果的な言葉遣いができる[2]。

複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細な文を作ることができる[2]。

その際、文を構成する字句や接続表現、結束表現の用法をマスターしていることがうかがえる[2]。

C2母語話者と遜色のない熟練者

聞いたり、読んだりしたほぼ全てのものを容易に理解することができる[2]。

いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した方法で再構成できる[2]。

自然に、流暢かつ正確に自己表現ができ、非常に複雑な状況でも細かい意味の違い、区別を表現できる[2]。


各言語の資格との比較

この表は、CEFRのレベルを、各言語の語学検定と比較したものである。

言語検定試験A1A2B1B2C1C2
英語国際コミュニケーション英語能力テスト（TOEIC）[3]

L; Listening, R; Reading, S; Speaking, W; Writing, BL; Bridge Listning, BR; Bridge Reading60?(L)(R), 50?(S), 30?(W), 46?(BL)(BR）110?(L), 115?(R), 90?(S), 70?(W), 64?(BL), 70?(BR)275?(L)(R), 120?(S)(W), 84?(BL), 86?(BR)400?(L), 385?(R), 160?(S), 150?(W)490?(L), 455?(R), 180?(S)(W)判定不能
英語TOEFL（iBT）[4]判定不能判定不能42 - 7172 - 9495 - 120判定不能
英語実用英語技能検定（英検）[5]5級-3級準2級2級準1級1級判定不能
英語IELTS [6][7]判定不能判定不能4.0 - 5.05.5 - 6.57.0 - 8.08.5 - 9.0
英語ケンブリッジ大学ESOL試験[8]キー (KET)（英語版）キー (KET)（英語版）プレリミナリー (PET)（英語版）ファースト (FCE)（英語版）アドバンスド (CAE)（英語版）プロフィシエンシー (CPE)（英語版）
フランス語フランス語学力資格試験（英語版）（DELF）・フランス語上級学力資格試験（英語版、フランス語版）（DALF）[9]DELF A1DELF A2DELF B1DELF B2DALF C1DALF C2
フランス語フランス語能力テスト（TCF）[10]A1A2B1B2C1C2
フランス語実用フランス語技能検定試験（仏検）[11][12]3級準2級2級準1級1級
ドイツ語ゲーテドイツ語検定試験[13]A1: スタート・ドイツ語1A2: スタート・ドイツ語2B1（英語版、ドイツ語版）（ZD）B2（英語版、ドイツ語版）（ZDfB）C1C2
ドイツ語オーストリア政府公認ドイツ語能力検定試験[14]OSD Zertifikat A1OSD Zertifikat A2OSD Zertifikat B1OSD Zertifikat B2OSD Zertifikat C1OSD Zertifikat C2 / Wirtschaftssprache Deutsch
ドイツ語TestDaF[15][16][17]TDN 3 - TDN 4TDN 4 - TDN 5
ドイツ語telc (The European Language Certificates)A1A2B1B2C1C2
ドイツ語ドイツ語技能検定試験（独検）[18][19][20]5級-4級3級2級準1級1級
スペイン語外国語としてのスペイン語検定試験（英語版、スペイン語版）[21]DELE A1DELE A2DELE B1DELE B2DELE C1DELE C2
スペイン語スペイン語技能検定（西検）[20][22]5級4級3級2級1級判定不能
イベリアポルトガル語国際ポルトガル語検定試験[23]判定不能CIPLE（入門）DEPLE（初級）DIPLE（中級）DAPLE（上級）DUPLE（大学）
ブラジルポルトガル語外国人のためのポルトガル語検定試験（英語版、ポルトガル語版）[23][24][25]判定不能判定不能Intermediario（中級）Intermediario Superior（中上級）Avancado（上級）Avancado Superior（最上級）
イタリア語ダンテ・アリギエーリ協会イタリア語検定（PLIDA）[26]PLIDA A1PLIDA A2PLIDA B1PLIDA B2PLIDA C1PLIDA C2
イタリア語外国語としてのイタリア語検定試験（英語版、イタリア語版）（CILS）[27][28]A1（基礎）A2（初級）Uno（中級）Due（中上級）Tre（上級）Quattro（最上級）
イタリア語イタリア語検定試験 (CELI) [29] [30]CELI Impatto (A1)CELI 1 (A2)CELI 2 (B1)CELI 3 (B2)CELI 4 (C1)CELI 5 (C2)
イタリア語実用イタリア語検定（伊検）[31]4級3級準2級2級1級判定不能
ポーランド語ポーランド語能力国家検定（英語版）[32]A1（未実施）A2（未実施）B1B2C1（未実施）C2
オランダ語オランダ語公式検定試験（英語版）[33]判定不能PTITPMTPTHO
PPTPAT判定不能
スウェーデン語スウェーデン語大学入学能力検定（英語版、スウェーデン語版）----合格-
スウェーデン語スウェーデン語検定（英語版、スウェーデン語版）[34]-A2B1B2--
フィンランド語フィンランド語能力国家検定（英語版、フィンランド語版）[35]123456
カタルーニャ語カタルーニャ語検定（カタルーニャ語版）[22]判定不能BasicElementalIntermediSuficienciaSuperior
ロシア語ロシア語検定試験（ТРКИ）[36][37]入門レベル基礎レベルレベル1レベル2レベル3レベル4
ロシア語ロシア語能力検定試験（露検）[36]4級3級2級2級1級判定不能
ギリシア語ギリシャ語能力検定試験[38][39]Α1Α2Β1Β2Γ1Γ2
アラビア語アラビア語検定（アラ検）[40]5級4級3級2級（未実施）1級（未実施）判定不能