ヨーロッパ熱波(ヨーロッパねっぱ)は、2003年7月から8月にかけて西ヨーロッパ地域の大半が影響を受けた熱波の名称である。この熱波による高温は7月から8月に顕著に現れ、1540年以来の記録的な暑さとなった[1]。
この熱波は特にフランスで被害が大きかった。また、数カ国で健康危機をもたらし、南ヨーロッパの一部地域では干ばつの影響もあり農作物不足となった。この熱波による死者は7万人を超えるという推定がある[2]。 2003年7月20日-8月20日の気温と平均気温(2000年-2002年、2004年)の差[3]目次
1 被害・影響
1.1 フランス
1.2 ポルトガル
1.3 オランダ
1.4 スペイン
1.5 イタリア
1.6 ドイツ
1.7 スイス
1.8 イギリス
1.9 ベルギー
1.10 ラトビア
1.11 アイルランド
1.12 スウェーデン
2 農作物の影響
2.1 小麦
2.2 ブドウ
3 海洋の影響
4 脚注
5 関連項目
6 外部リンク
被害・影響
フランス パリの公共標識。「熱波によるパリ人の犠牲者情報については次の番号で電話してください」と書いてある。
この熱波の影響で、フランス国内では元々夏に比較的暑くなる地域として知られていたヨンヌ県では、2003年8月初旬に8日連続で40℃以上の気温が観測された[4]。
フランスでは75歳以上の高齢者を中心に14,800人以上が熱波により死亡している[5][6]。
フランスは、特に北部地域において、夏でも基本的にはそれほど暑くならない[7]。このことが人的被害が大きくなった原因と考えられている。と言うのも、突然の熱波に襲われたため、ほとんどの人が脱水症状に陥った場合の対応ができなかったこと、多くの住宅や施設に空調が備えられていないこと、自然災害や人災による緊急マニュアルが策定されていても高温は対象外であったことが挙げられる。
この熱波をきっかけに、フランス政府は全国熱中症警戒情報システム(SACS)の開発が決定された[5]。 2003年8月1日には夜間でも30℃以上の気温となり、ここ数世紀では記録的な暑さであった。同日には森林火災が発生し、シロッコもあり延焼を招いた[8]。この火災では18人が死亡した[9]。 ヨーロッパで暑い都市に数えられるアマレレジャ
ポルトガル
オランダでは1,200[6] - 2,200人が熱波により死亡した(関連性の可能性があるもの含む)[10]。
8月7日にリンブルフ州のアルセン
(英語版)で37.8℃の気温を観測した(オランダ一の最高気温は38.6℃である)。翌日も37.7℃、8月12日にも37.2℃の気温が観測された[11]。スペインは2003年に3回の熱波が押し寄せており、夏全体で見ると4万人以上の死者が出ている[12]。ある報道では死者は約4200人としているが[13]、国連国際防災戦略では死者は141人となっている[6]。