ヨーロッパブドウ
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ヨーロッパブドウ

分類

:植物界 Plantae
:被子植物門 Magnoliophyta
:双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱:バラ亜綱 Rosidae
:クロウメモドキ目 Rhamnales
:ブドウ科 Vitaceae
:ブドウ属 Vitis
:V. vinifera

学名
Vitis vinifera
L. (1758)
和名
ヨーロッパブドウ
英名
Common Grape

ヨーロッパブドウ(ヴィニフェラ種)は、南西アジアから、地中海地域 、中央ヨーロッパモロッコポルトガルドイツ北部南部、イラン東北部を原産地とするブドウである[1]

つるは、35ヤード(約38.2 m)に生長し、樹皮は薄片状である。 葉は互生で、形は掌状であり、幅は5?20 cmである。 ブドウの果実はベリー(漿果)に分類され、野生種では直径6 mmの果実をつけ、表面にかすかな蝋状粉をつけて暗紫色に熟する。栽培種は最大3 cmまで肥大し、緑色、赤、紫色の果実をつける。一般的に湿気の多い森林や渓流で自生している。

野生種は、亜種であるVitis vinifera subsp. sylvestrisに分類され、Vitis vinifera subsp. vinifera は栽培種に限定して使われる。栽培種は両性花であるが、V. vinifera subsp. sylvestrisは雌雄異株である。

ブドウは生食されるほか、ワインの原料 、または乾燥させてレーズンに加工される。 世界で生産されているワインの原料であるブドウの大半の品種はヨーロッパブドウである。 ワインブドウとして栽培されている品種が、南極を除く全ての大陸の主要なワイン産地にて栽培されている。

2007年、この種のゲノム配列がネイチャー紙上で発表された[2]。この成果は、イタリアフランスの研究者による共同研究によるものである。 ブドウは完全にそのゲノム配列が決定された4番目の被子植物であり、この分析結果は、ワインのアロマの特性に関与する遺伝子と植物の進化を理解するに大きく貢献する。

2007年3月には、オーストラリア連邦科学産業研究機構 (CSIRO) のブドウ栽培共同研究センターの科学者は、赤ブドウのMYBファミリーに属する二つのトランス転写因子の遺伝子であるVvMYBA1とVvMYBA2 における極めて稀な独立した突然変異が白ブドウを生み出し、それが世界の白ブドウ品種のほぼすべての祖先となったと報告した。もし、どちらか一つの遺伝子しか変異しなかった場合、ほとんどのブドウは赤色のままであり、今日利用可能な3000種以上の白ブドウ品種は存在しなかったと推測される[3][4]
利用法

ブドウの利用は、新石器時代にまで遡ることが知られており、1996年に現在のイラン北部にて7000年前のワインの容器が発見された[5]。この発見は、メソポタミア人や古代エジプト人が、ブドウの栽培とワイン醸造の技術を持っていたさらなる証拠であると示している。古代ギリシア哲学者は、ブドウ自体とワインの両方に癒しの力があることを賞賛した。中国でのブドウの栽培とワイン造りは、2世紀の王朝が大宛からヴィニフェラ種を輸入してから始まった[6] 。しかし、それ以前から、中国の野生のブドウのエビヅルでワイン造りが行われていた[7]日本では、古来から山梨県で栽培されている甲州種が日本産ブドウでは唯一のヴィニフェラ種(東洋系)である[8]。だが、その由来については現在も不明な点が多い。

ヨーロッパの民間治療師(英語)はブドウの樹液で皮膚病や眼病を治すように努めた。 他の歴史的な用途として、の痛みや炎症の出血を止めるために葉が使用された。 熟す前のブドウは喉の痛みを治療するために使用され、レーズンは、結核便秘や喉の渇きの処置に使用された。 熟したブドウは皮膚や眼の感染症だけでなく、コレラ天然痘吐き気腎臓病や肝臓病の治療のために使用された。

食べやすい種なしブドウは、消費者へのアピールのために開発されたが、研究者は、ブドウに含まれる健康的な性質の多くは、植物性化合物が豊富に含まれている種子そのものから来ていると発見している[9][10]

未熟なブドウの果汁はヴェルジュと呼ばれ、ヨーロッパの中世料理では酸味料として多用された。イラン料理ではアーブグーレ(??????)と呼ばれ、主に煮込み料理の酸味づけに用いられる。

ブドウの種子からはグレープシードオイル(葡萄種油)が搾油され、食用油、化粧品アロマテラピーキャリアオイルとして利用される。

中東バルカン半島の伝統料理ドルマには、子羊牛肉などの挽肉タマネギをブドウの葉で包んだものがある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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