ヨーロッパグリ
ヨーロッパグリの果実
分類
ヨーロッパグリ、生[2]100 gあたりの栄養価
エネルギー821 kJ (196 kcal)
炭水化物36.6 g
糖類7.0g
食物繊維8.1 g
脂肪2.7 g
飽和脂肪酸0.5g
タンパク質2.0 g
ミネラル
ナトリウム(0%) 0.01 mg
単位
μg = マイクログラム (英語版) • mg = ミリグラム
IU = 国際単位
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。
ヨーロッパグリ (Castanea sativa) は、ブナ科の顕花植物である。マロンと呼ばれる実が食用になることで有名である。当初は南東ヨーロッパと小アジアに自生していたが、現在ではヨーロッパ中に広く分布している。本種の樹は耐寒性で長寿である。セイヨウグリとも言う。 ブナ属やシイ属などの幅広い種類が含まれるブナ科の中のクリ属の木である。1768年にフィリップ・ミラーによって初めて記載された[1][3]。 ヨーロッパグリは、中型から大型の落葉性の樹木で、高さは20 - 35m、幹の直径は2mに達する。葉は楕円形から皮針形で、鋸歯が発達し、長さは16 - 28cm、幅は5 - 9cmである。 どちらの性の花も10 - 20cmの直立した尾状花序で、雄花は上に、雌花は下につく。北半球では6月下旬から7月に咲き、雌花は秋には3 - 7個の茶色い実が入ったとげのある殻になり、10月頃になると落ちる。殻についたとげは、捕食者から種子を守るのに役立つ[4]。栽培種の中には、殻の中に1つだけの実をつけるものも存在するが、食用になるサイズの実を2つから4つつけるのが平均的である。樹皮にはしばしばらせん状に深い溝を持った網状の模様がある。 良好な成長と果実の収穫のためには、温暖な気候と適切な湿度が必要である。年度成長は晩春や早秋の霜に敏感に影響を受ける[5]。森林では、日陰には比較的耐性がある。 葉は、リンゴピストルミノガ
概要
この種は南ヨーロッパのおそらくバルカン半島が原産である。食糧や観賞用として西ヨーロッパに導入され、その後他の大陸にも持ち込まれた[3]。
利用コルシカ島にある樹齢1000年の樹
この種は、食用の果実を得る目的で広く栽培されている。古代ローマの時代に北方まで移入され、後に修道院の庭でも育てられた。今日では、樹齢100年以上の樹がイギリスや中央、西、南ヨーロッパで見られる。トルコ、ポルトガル、フランス、ハンガリー、イタリア、スロベニア、クロアチア、スロバキア、ボスニア、そして特にコルシカ島では盛んに育てられている。
果実の周りには堅い皮があり、渋い。この皮は、熱湯にくぐらせて裂け目を入れることで比較的容易に剥くことができる[6]。ローストすると、サツマイモとは異なった甘い香りと粉状の食感になり、美味である。調理されたクリは、菓子、プリン、デザート、ケーキ等に用いられる他、そのままでも食べられる。パン、シリアル、コーヒー、スープ等に用いられることもある。また、砂糖を抽出することもある[5]。コルシカ島のポレンタは、クリの粉から作られる。コルシカ島の牛肉料理にも材料としてクリが用いられる。バニラ、マロンクリーム、クリのピューレ、マロングラッセを混ぜた甘いペーストも販売されている[7]。ローマの兵士は、戦闘に行く前にクリの粥を支給された[4]。
クリの葉の茶は呼吸器疾患の際に、特に百日咳の治療薬として用いられた[5]。