ヨーロッパアカザエビ
[Wikipedia|▼Menu]

ヨーロッパアカザエビ
Cretaquariumで撮影
保全状況評価 [1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))

分類

:動物界 Animalia
:節足動物門 Arthropoda
亜門:甲殻亜門 Crustacea
:軟甲綱 Malacostraca
:十脚目 Decapoda
下目:ザリガニ下目 Astacidea
:アカザエビ科 Nephropidae
亜科:アカザエビ亜科 Nephropinae
:ヨーロッパアカザエビ属 Nephrops
Leach, 1814
:ヨーロッパアカザエビ N. norvegicus

学名
Nephrops norvegicus
(Linnaeus, 1758)
シノニム


Cancer norvegicus Linnaeus, 1758[2]

Astacus norvegicus Fabricius, 1775

Homarus norvegicus Weber, 1795

Astacus rugosus Rafinesque, 1814[3]

Nephropsis cornubiensis Bate & Rowe, 1880[4]

英名
Norway lobster
Dublin Bay prawn、
Langoustine、
Scampi

ヨーロッパアカザエビ (欧州藜海老、Nephrops norvegicus) は、アカザエビ科に属するエビの一種。体色は薄橙色で全長25 cm程度、ヨーロッパで最も重要な食用甲殻類である[5]アカザエビ等の近縁種がアカザエビ属(Metanephrops)に移動されたため、ヨーロッパアカザエビ属唯一の現生種となっている。大西洋北東部・地中海に生息するが、バルト海黒海では見られない。成体は巣穴の中で生活し、夜間に外に出て多毛類魚類などを食べる。

英語ではノーウェイ・ロブスター(Norway lobster)やダブリン・ベイ・プローン(Dublin Bay prawn)、フランス語ではラングスティーヌ(langoustine)、イタリア語ではスカンポ(Scampo)やスカンピなどと呼ばれる。
形態

ウミザリガニに比べると細身であるが、その形態は典型的なアカザエビ科のものである[5]。体色は淡い橙で、通常は全長18-20 cm、最大で25 cmになる[6]。第1-3脚は鋏脚となるが、特に第1脚には棘があり大きい。2対の触角の内、第2触角は細く、長い[6]額角は長く、棘がある。複眼は腎形で、ここからギリシャ語のνεφρ?? (nephros, "腎臓")・ops ("眼")に由来するNephropsという属名が付けられた[5]
分布

大西洋北東部や北海に生息し、北はアイスランドノルウェーから南はポルトガルに及ぶ。アドリア海北部を除き、地中海には少ない[7][8]黒海バルト海には分布しない[5]。非常に細かい堆積物上に生息することから、分布はまばらで、30以上の個体群に分けられる。成体が数百メートルを超えて移動することは少ない[5]
生態巣穴モナコ海洋博物館

生息深度は20-800 m[9]。成体はシルト粘土を40%以上含む泥底を好み[5]、巣穴を掘ってその中で生活する[10]。巣穴は通常深さ20-30 cm、長さ50-80 cmほどになり[5]、そこを離れるのは摂餌・繁殖の時だけである[5]

捕食者または腐肉食者であり[11]、夜間に巣穴から出て多毛類魚類などを捕食する[12][13][14]。捕食には鋏脚や歩脚が用いられ、顎脚によって口に運ばれる[5]
寄生生物

体表からは付着生物として、ハナフジツボ(Balanus crenatus)やCyclogyra属の有孔虫などが報告されているが、その数は他の十脚類に比べて少ない[15]。1995年12月、本種の口器から片利共生生物であるシンビオン属のパンドラムシ(Symbion pandora)が発見され、新しい門 (分類学)有輪動物門が立てられた[16]。これに関してサイモン・コンウェイ・モリス(英語版)は ここ10年で最大の動物学的発見と評している[17]。この生物は大西洋・地中海双方のヨーロッパアカザエビ個体群で見られ[18]、付着部位は大顎から第3顎脚に集中している[19]

最も影響の大きい寄生虫はヘマトジニウム属(Hematodinium)の渦鞭毛藻で、1980年代から本種の漁獲量に影響を与えている[15]。この渦鞭毛藻は様々な十脚類に寄生するが、その分類は遅れている[15]。これが寄生することで背甲に色がついて不透明となるほか、血液が乳白色となり、瀕死になる。これらの症状は脱皮後症候群(post-moult syndrome)として知られる[15]。他の寄生虫としては、グレガリナの一種 Porospora nephropis ・吸虫の Stichocotyle nephropis ・エビヤドリゴカイ科の一種 Histriobdella homariなどがある[15]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:39 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef