ヨーグルト
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ヨーグルト(薔薇を浮かべたもの。2005年愛知万博のブルガリア館のヨーグルト)2005年愛知万博のコーカサス共同館のヨーグルト

ヨーグルト 全脂無糖[1]100 gあたりの栄養価
エネルギー259 kJ (62 kcal)

炭水化物4.9 g

脂肪3.0 g
飽和脂肪酸1.83 g
一価不飽和0.71 g
多価不飽和0.10 g

タンパク質3.6 g

ビタミン
ビタミンA相当量β-カロテン(4%) 33 μg(0%)3 μg
チアミン (B1)(3%) 0.04 mg
リボフラビン (B2)(12%) 0.14 mg
ナイアシン (B3)(1%) 0.1 mg
パントテン酸 (B5)(10%) 0.49 mg
ビタミンB6(3%) 0.04 mg
葉酸 (B9)(3%) 11 μg
ビタミンB12(4%) 0.1 μg
ビタミンC(1%) 1 mg
ビタミンE(1%) 0.1 mg
ビタミンK(1%) 1 μg

ミネラル
ナトリウム(3%) 48 mg
カリウム(4%) 170 mg
カルシウム(12%) 120 mg
マグネシウム(3%) 12 mg
リン(14%) 100 mg
亜鉛(4%) 0.4 mg
(1%) 0.01 mg
セレン(4%) 3 μg

他の成分
水分87.7 g
コレステロール12 mg
ビオチン(B7)2.5 μg
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[2]。別名:プレーンヨーグルト


単位

μg = マイクログラム (英語版) • mg = ミリグラム

IU = 国際単位

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。

ヨーグルト(トルコ語: yo?urt、ブルガリア語: Кисело мляко、ドイツ語: Joghurt、英語: yoghurt,yogurt)は、乳酸菌酵母を混ぜて発酵させて作る発酵食品のひとつ。乳原料を搾乳し利用する動物は専用のウシ(乳牛)だけでなく、水牛山羊ラクダなどの乳分泌量が比較的多く、搾乳が行いやすい温和な草食動物が利用される。ヨーグルトに溜まる上澄み液は乳清(英語ではwhey〈ホエイ〉)という。
ヨーグルトの定義

FAOWHOによって定められたヨーグルトの厳密な定義[3]によると、「ヨーグルトとは乳及び乳酸菌を原料とし、ブルガリア株(Lactobacillus bulgaricus)とサーモフィルス株(Streptococcus thermophilus)が大量に存在し、その発酵作用で作られた物」と定められている。

日本において乳等省令では「発酵乳」(乳等省令2条39項)のことである。
歴史

ヨーグルトの起源はヨーロッパ、アジア、中近東にかけての様々な説があり、およそ7000年前とされる[4]。生乳の入った容器に環境常在菌である乳酸菌が偶然入り込んだのがはじまりと考えられている。

気温の高い地方では、生乳のままだと腐りやすいが、乳酸菌で乳を発酵させると保存性がよくなる。イランなどでは乳を醗酵させた後で乳脂肪分を分離し、バターを得ることも行われていた。ワルシャワの発酵乳の工場を描いた版画
発酵中の乳を攪拌する様子が描かれている

ヨーグルトに相当する食品は世界各国に存在し、それぞれの国でさまざまな名称を持つ。欧米日本において用いられる「ヨーグルト」という言葉は、トルコ語でヨーグルトを意味する「ヨウルト(yoğurt)」に由来する。ヨウルトは「攪拌すること」を意味する動詞yo?urmakの派生語で、トルコにおけるヨーグルトの製法を反映している。

イリヤ・メチニコフ(微生物学者:ノーベル生理学・医学賞 1908年受賞)がブルガリア(当時はロシア領だが直前までオスマン帝国領)を訪れた際に、ブルガリア人が長寿で有ることを発見し、その原因を現地の伝統食品であるヨーグルトであるとし、『ヨーグルト不老長寿説』[5]を発表した事によって広まった[4]。なお、日本語のヨーグルトという呼称は直接にはドイツ語のJoghurtを由来とする[6][7][8]
人体への効果

乳酸菌は通常、腸内細菌として棲息しているが、ヨーグルトの乳酸菌は、内定着することはできない。ただし、その代謝物などが腸内のウェルシュ菌(Clostridium)などを減少させ、Bifidobactoriumなどの在来乳酸菌を増殖させるという整腸作用をもつ。結果として、腸内細菌叢中のウェルシュ菌などの比率の低下と産生される物質を減少させ、腸管免疫系を活性化させるとされている[9]。乳酸菌の耐酸性には差違がありヨーグルトでよく利用されている「ブルガリア株」は胃酸で不活化(死滅)する。また、生存し胃を通過したとしても小腸内で胆汁酸により不活化(死滅)するため大腸内に定着はしない[10]が、その菌体や代謝産物が腸内で有効に働くとされる。一方、ビフィズス菌もヨーグルトで利用されるが、胃酸、胆汁酸で不活化(死滅)せず、大腸内で定着する性質を有する[11]。定常的に摂食することで乳清由来乳酸による腸内環境が弱酸性(pH5.3から)化し、糞便菌叢の胆汁酸(弱アルカリ:pH8.2から)に耐性があるクロストリジウム属(Clostridium)株の生育を減少させ、腐敗産物(アンモニア、フェノール、p-クレゾール、インドール、スカトールなど)生成量を低減させると報告されている[12]が、詳細メカニズムは解明されていない[12]

「免疫力を高める」「アレルギーが治る」などの宣伝文句が使われるが、ヒトを対象にした臨床試験では支持する結果が得られていない[13]とする指摘もある。

乳中の水溶性ビタミンは乳源動物の血中濃度にほぼ依存し変化する[14]が、牛乳にビタミンCがほとんど含まれていないのは、ウシなどの動物は自らビタミンCを合成できるので摂取する必要がないためである。乳酸菌は発酵の際にビタミンCも生成し、発酵前の生乳等のビタミンCよりも濃度が高くなる[15]。このため、ヨーグルトには若干のビタミンCが含まれている。

ヨーグルトが形成される過程で、乳酸菌の働きによりラクトースの一部がグルコースガラクトースに分解されるため、乳糖不耐症の牛乳を飲むと下痢をしてしまう人がヨーグルトと共に牛乳を飲んだ場合、牛乳だけよりも症状が軽減される[16]との研究がある。
発酵

発酵行程において乳酸菌のL.bulgaricusとS.thermophilusは共生関係にあると報告されている。これは、それぞれの菌単独で発酵させた場合よりも数分の1の短時間で発酵が進むことで分かる。この菌は長期間の共生により、代謝物を相互に利用しあたかも1つの菌のように振る舞う。その結果、ゲノムサイズが縮小するという進化を起こしている[17]
基本的な作り方

単体で種菌を入手し牛乳と混ぜることで作ることもできるが、市販されているプレーン・ヨーグルトに含まれる乳酸菌を使って作ることもできる。したがって、出来の良いヨーグルトを種として取っておき、それを使うこともできる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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