ヨルムンガンド
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この項目では、北欧神話の幻獣について説明しています。その他の用法については「ヨルムンガンド (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ヨハン・ハインリヒ・フュースリーによって描かれた、釣り上げたヨルムンガンドをミョルニルで斃そうとするトールスウェーデンストックホルム、セーデルマルム(Sodermalm)にある、ヨルムンガンドとトールの像。

ヨルムンガンド[1]古ノルド語: Jormungandr)は、北欧神話に登場する毒を持つ大蛇の幻獣。その名は「大いなるガンド(精霊)」[2]を意味する。ロキが巨人アングルボザとの間にもうけた[3]、またはその心臓を食べて産んだ3体(フェンリル・ヨルムンガンド・ヘル)のうちの1体。日本語訳では、ユルムンガンド、イオルムンガンドル[4]などがみられる。他の呼称としては、ミドガルズオルム(古ノルド語: Midgardsormur。綴りは他にMidgardsormrも)、ミズガルズの大蛇[5]、ミッドガルド大蛇[6]、ミッドガルド蛇[7]、世界蛇[8]などがある。
解説

スノッリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』第34章によると、ヨルムンガンドら子供達がいずれ神々の脅威となることを予見した主神オーディンが、ヨトゥンヘイムで育てられていたヨルムンガンドを連れてこさせ、海に捨てた。しかしヨルムンガンドは海の底に横たわったまま、ミズガルズを取り巻き、さらに自分の尾をくわえるほど巨大な姿に成長した[9]

古エッダ』の『ヒュミルの歌』第22-24節[10]および『ギュルヴィたぶらかし』第48章[11]の伝えるところでは、雷神トール巨人ヒュミルとともに船で釣りに出た際にヨルムンガンドを釣り上げ、ミョルニルで殺そうとした。しかし『ギュルヴィたぶらかし』では船が沈むことを恐れたヒュミルが釣り糸を切ってしまったため、海中に逃がしてしまった。『ヒュミルの歌』においても、ヨルムンガンドは頭部に一撃を受けながらも海中に逃れている。

また、『ギュルヴィたぶらかし』第46章で語られる、トールが巨人の王ウートガルザ・ロキの宮殿を訪れた際のエピソードでは、「を持ち上げて床から脚を離してみせよ」と言われたトールが猫の胴を高々と持ち上げたものの、床から離すことができなかった。猫とは実は、ウートガルザ・ロキの幻術によって猫の姿に見えていたヨルムンガンドであった[12]

『ギュルヴィたぶらかし』第51章[13]では、ラグナロクが到来するとき、ヨルムンガンドが海から陸に上がり、その際に大量の海水が陸を洗う様子が語られる。また同章[14]および『古エッダ』の『巫女の予言[15]ではヨルムンガンドとトールの戦いが語られる。トールはミョルニルを3度投げつけ、ヨルムンガンドを殺害するが、最期に吹きかけられたでトールは死亡し、決着は相討ちという形で終わることになる。
脚注17世紀の写本『AM 738 4to』に描かれたヨルムンガンド。[脚注の使い方]^ 『エッダ 古代北欧歌謡集』248頁などでみられる表記。
^ Tolley 1995, p. 68.


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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