ユニセックストイレ
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アメリカのミネソタ州にあるメトロポリタン州立大学のユニセックストイレのピクトグラム。「このトイレは性自認性表現に関わらず、誰もが利用することができます」と書かれている。

ユニセックストイレとは、子連れ・被介護者と介護者の性別が異なる・トランスジェンダー・クィアなどの事情を持つ者に配慮した性別を問わない公衆トイレのこと。オールジェンダートイレ[1][2][3][4][5]、ジェンダーレストイレ[6]、ジェンダーフリートイレ[7]、男女共用トイレ、ジェンダーニュートラルトイレ[3]とも言う[8][5]
概要.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}AIGA標準トイレ標識男性用女性用ユニセックススペースが限られる列車内ではユニセックストイレが設置されやすい(左が新幹線E7系・W7系電車、右が東武鉄道リバティ)。
種類

ユニセックストイレを作るときは、いくつかのパターンがある[9]
全トイレをユニセックス化タイプ

ひとり用もしくは複数利用可能な完全に個室のトイレについて、それ(ら)全てをユニセックストイレとして用いる。
一部トイレをユニセックストイレ化タイプ

複数の個室トイレがある場合に、そのいくつかをユニセックストイレとして用いて、手洗い場を共有する。
ユニセックストイレ追加タイプ

男女別のトイレを残したまま、新たにユニセックストイレを追加する。
詳細

あらゆるジェンダーに対応するため、トイレの広さは大きくなることが多い[10]小便器を設置するかどうかは場合による[10]

一般的にユニセックストイレでは男女別トイレと比べて女性の待ち時間が短縮されることが期待される[11]。また、メンテナンスやクリーニングに費やす費用と時間が減る[12]

たいていのユニセックストイレにはそれを示す標識が目立つ位置に設置される[9]。ユニセックストイレの標識はさまざまなものが使用されている[9]
歴史
古代から中世まで

人類の歴史で公衆トイレが初めて誕生した頃は男女別ではなかった。古代ローマの衛生面で設計された公衆トイレは男女別ではなく、プライバシーを確保する仕組みもなかった[13][14]。中世には公衆トイレそのものが珍しくなり、人々は好きな場所で好きなように排泄をする慣習を送っていた[15][2]

公衆トイレの文化の復活は19世紀になってからと言われている[13]
男女別トイレの出現

男女別の公衆トイレが世間に登場した事例として挙げられるのは、1739年でのパリで開催された舞踏会である。ただし、この当時はあくまで「奇抜なもの」という扱いにすぎなかった[16][17]

ヴィクトリア朝時代では公衆トイレは男性専用のものであり、外出した女性は道端で排尿や排便をしなければならず、自身の着ている長いスカートでかろうじてプライバシーを確保していた[17][18]。この背景には「女性は家にいるべきだ」という考えがあり、それゆえに女性が公衆トイレを使うこと自体が考慮されないという事情があった[17]。当時は、女性専用の駅の待合室や図書館の部屋などがあり、公共スペースで女性は男性と対等に扱われないという女性差別が常態化していたが、トイレは最後まで女性に与えられないもののひとつだった[17]。排泄は女性らしくないものとみなされ、特に男性からトイレをしている事実を隠すように当時の女性はプレッシャーに晒されてもいた[17]

男女別トイレが社会に根付き始めたのは1800年代後半からだったとされる。当時はコレラの流行により、公衆衛生に対する懸念が高まっていた[4]。1887年、アメリカのマサチューセッツ州において、男性用と女性用に別々のトイレ施設を要求する最初の規制が可決された[19][20]。その後の30年間で、ほぼすべての州が同様の独自の法律を可決した[19]

一方でこうした女性専用の公衆トイレの実現は、男女の平等のためというよりは、「女性はか弱く保護が必要な存在である」という女性蔑視な認識が根底にあったとされる[21][22]。失神したときに使う椅子を備えた女性公衆トイレもあり[23]、列車においても女性用のものが設置されて衝突の際に女性を保護するために女性を後ろに座らせるなどしており、当時は女性をそのように分離して扱っていたのが当たり前だった[19]

1900年代に入って、フェミニズムなどの運動もあって女性に対する社会の見方は大きく変化したが、男女別トイレは依然として習慣が定着し続けた。
トランスジェンダーなどに関する視点の浮上

1900年代には、公衆トイレの平等の問題は、アフリカ系アメリカ人への人種差別公民権運動)、障害者差別などで常に注目されてきたが、そこにトランスジェンダーの視点が新たに加わるようになった[24][25]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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