ユニコーン_(ポーの一族)
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「ユニコーン」は、前作「春の夢」で40年ぶりに再開された、吸血鬼一族の物語を描いた萩尾望都ファンタジー漫画作品『ポーの一族』新シリーズの一作である。『月刊フラワーズ』(小学館2018年7月号から9月号および2019年5月号から6月号にかけて掲載された。

『ポーの一族』のシリーズ17作目[注 1]の作品である。旧シリーズ最終作の「エディス」で行方知れずとなっていたエドガー・ポーツネルが、再び姿を現すところから始まる作品で、旧シリーズや「春の夢」でも明らかにされていなかったポーの一族の秘密の一端やポーの村の成り立ちに言及されている。本作は、年代と舞台が異なる4つの章から構成されるという、従来の作品にはなかった展開が見られる。

なお、「Vol.1 わたしに触れるな」は、エドガーがほとんどと化した塊のアラン・トワイライトを元に戻すためにバリー・ツイストについていくところで終わっており、Vol.2以降にはその続きは描かれていない。作者は「「ユニコーン」の続きは2020年に入ってから」と述べている[1]
あらすじ
Vol.1 わたしに触れるな

2016年ミュンヘンで、ファルカエドガーと再会を果たす。しかし、エドガーは触れた瞬間に相手の“気”を吸いつくしてしまう危険な状態にあった。エドガーは、1976年エヴァンズ家の火災から“目”の力で、老ハンナに拾われてメリーベルと共に育てられた“グールの丘”と呼ばれる場所[注 2]の地下の墓地の崩れた洞窟に移動していた。ひどく衰弱したエドガーは“グール”のような怪物の姿に変化してしまい、前年の暮れにアーサー・トマス・クエントン卿を訪れ、彼のもとでようやく、やせて少し小さくなってしまってはいたものの、元の姿に回復できたのであった。しかし、指はまだ回復していないため黒い手袋をはめていた。そして、エドガーはほとんどと化した塊のアランを元に戻して欲しいとファルカに頼む。

そこへファルカに怪物の“ダイモン”と呼ばれる男(バリー・ツイスト)が現れ、アランを蘇らせる方法を知っているという。さらに、そこへ現れたシルバーは、男を疫病神の“バリー”と呼び、エドガーと同じく大老ポーの直系の血を受けたが、のちに大老ポーにポーの村から追放されたのだという。バリーは大老ポーのことを“天敵”と呼び、「ヤツをつかまえ殺すのがオレの生きがいだ」という。ファルカはバリーに“気”の貯金箱代わりに使われ、時々現れては絞り取られて何度も殺されかけた過去を話してエドガーを引き止めるが、エドガーはアランを取り戻すために悪魔とだって契約すると言い放ち、バリーについてゆく。
Vol.2 ホフマンの舟歌(バルカロール).mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}.mw-parser-output .listen .side-box-text{line-height:1.1em}.mw-parser-output .listen-plain{border:none;background:transparent}.mw-parser-output .listen-embedded{width:100%;margin:0;border-width:1px 0 0 0;background:transparent}.mw-parser-output .listen-header{padding:2px}.mw-parser-output .listen-embedded .listen-header{padding:2px 0}.mw-parser-output .listen-file-header{padding:4px 0}.mw-parser-output .listen .description{padding-top:2px}.mw-parser-output .listen .mw-tmh-player{max-width:100%}@media(max-width:719px){.mw-parser-output .listen{clear:both}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .listen:not(.listen-noimage){width:320px}.mw-parser-output .listen-left{overflow:visible;float:left}.mw-parser-output .listen-center{float:none;margin-left:auto;margin-right:auto}}美しい夜、おお、恋の夜よ(舟歌)コンピューター演奏(インストゥルメンタル)この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

1958年2月、ベネチアでサンタルチア協会のサルヴァトーレ主催のコンサートに招かれて、エドガーとアラン、ファルカとブランカが集いダン・オットマーと再会する。そこへバリーが“ミューズ”と名乗って現れる。バリーはコンサートの常連であった。大老ポーも1890年のコンサートを聞きにきたことがあり、そのときに「世界で1番美しい舟歌」と評した「ホフマンの舟歌」(バルカロール)は、その後コンサートの定番となっていた。そして、“ミューズ”と名乗るバリーと、かつてサルヴァトーレが恋したエステルの娘、ジュリエッタが「ホフマンの舟歌」をコンサートの最後の曲として歌う中、エドガーは「ルチオ一族」の始祖、シスター・ベルナドットと面会する。

エドガーは、シスター・ベルナドットが大老ポーと共にかつてはギリシャの巫女と神官で「シビュラ預言者」と呼ばれていたこと、ギリシャ滅亡後、ローマに逃れて神殿の神職についたが、ローマが国教キリスト教に変えたため異教徒、悪魔と見なされて追われ、北方へ逃れた大老ポーら「ポーの一族」に対し、「ルチオ一族」はベネチアに留まり貴重な古代の予言書などの管理を行っている、またバチカンとも連絡を取りあっているなどの話を聞く。そして、彼女はエドガーに、おまえのような子供が生きていくのは大変だろうと、ルチオの方で引き取ることを申し出るが、エドガーは礼を述べはするものの「古書の整理はやらない」と断る。

その間にコンサートは終わり、アランが「こんな美しい歌を聞いたのは……生まれて初めてだよ」とバリーとジュリエッタの歌を絶賛すると、バリーはその礼にと自分の秘密の名前をアランに教え、すぐに忘れるよう暗示をかける。


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