ヤーセン型原子力潜水艦
[Wikipedia|▼Menu]

ヤーセン型原子力潜水艦

基本情報
運用者 ロシア海軍
建造期間1993年 - 現在
就役期間2014年 - 現在
前級アクラ型 (971型)
次級ハスキー級
要目
排水量基準: 9,500トン
水中: 13,800トン
全長119?139 m
最大幅12?15 m
原子炉OK-650V加圧水型原子炉
主機蒸気タービン×1基
推進器スクリュープロペラ×1軸
速力水中: 31ノット
水上: 16ノット
乗員85?90名
兵装・533mm魚雷発射管×10門[注 1]
 (魚雷/ミサイル×30発)
ミサイルVLS×8セル
テンプレートを表示

885型原子力潜水艦(885がたげんしりょくせんすいかん)は、ロシア海軍原子力潜水艦の艦級。攻撃型潜水艦(SSN)と巡航ミサイル潜水艦(SSGN)の機能を兼ね備えており、ロシア語では多用途魚雷・有翼ロケット原潜(MPLATRK)と称される[1]。計画名は「ヤーセン」(: ≪Ясень≫、トネリコの意)であった[2]
来歴

ソ連海軍では、魚雷を主兵装とする魚雷原潜(PLAT)と有翼ロケット(巡航ミサイル)を主兵装とする有翼ロケット原潜(PLARK)を並行して整備してきた。第3世代原潜においては、PLATとしては945型(シエラ型)および971型(アクラ型)、PLARKとしては949型(オスカー型)が建造されており、また971型ではRK-55「グラナート」(SS-N-21)巡航ミサイルの運用能力を獲得したことから、多用途魚雷・有翼ロケット原潜(MPLATRK)と称された[1]

1970年代半ばより、国防省第1中央科学研究所(TsNII-1)において第4世代の攻撃原潜の検討が着手された。当初は「多目的」「対潜」「対空母」の3タイプが検討されたが、海軍総司令部や政府、造船省、設計局の議論を経て、これらの機能を兼ね備えることとなった[2]。1980年3月26日のソ連閣僚会議決定によって開発が認可された。開発担当としてはラズリート設計局(第112設計局)とマラヒート設計局(第143設計局)が選ばれた[注 2]。このうち、マラヒート設計局によって設計されたのが本型である[1]

1990年には設計が完了し、当初計画では1991年より1番艦の建造が開始されることになっていた。しかしソビエト連邦の崩壊の影響で起工は1993年にずれ込んだ上に、ロシア財政危機などによって予算不足が常態化し、建造は全体に遅延し、1996年には中断に追い込まれた。プーチン政権成立後の2000年11月には建造が再開されたものの、その後も建造ペースは遅く、進水は2010年、就役は2014年となった[1]
設計

885型は「静粛性に極めて優れた戦術巡航ミサイル大型多目的攻撃原潜」として設計された[1][2]
船体

全体的な船体設計は同設計局が手がけた971型(アクラ型)の発展型となっており、涙滴型船体に流線型のセイル、艦首部に引込式の潜舵、艦尾には十字型の縦横舵を備えるというレイアウトも同様である[1]。セイルには、乗員全員を収容可能なレスキュー・チェンバーが設置されている[2]

構造様式は部分複殻式とされている。艦内は10区画に区分されており、第2?4および8セクションのみが単殻構造となっている。船体構造材としては、アクラ型と同様、降伏耐力は100 kgf/mm2高張力鋼(最大厚48ミリ)が採用された。これにより、通常潜航深度520メートル、最大潜航深度600メートルを実現した[1]
機関

当初計画では、本型では静粛性と信頼性を向上させた新型の原子炉蒸気タービンを搭載する予定とされていたが、開発ペースが合わず、1番艦では、VM-11原子炉(熱出力190メガワット)を中心とするOK-650V蒸気発生装置が搭載された。これは685型(マイク型)以来のOK-650シリーズの最終発展型にあたり、OK-9VM「サプフィール-VM」蒸気タービン(PTU)と組み合わせて、4万3000馬力の出力を発揮できた[1]

その後、2番艦以降では、当初予定どおり、KTP-6-185SP原子炉(熱出力200メガワット)が搭載された。これは原子炉と冷却系を一体化させることで信頼性を向上するとともに、25?30年と寿命の長い核燃料を採用することで、就役期間中の燃料交換は最大でも1回で済むようになった。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:58 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef