ヤマハ・EOSシリーズ
[Wikipedia|▼Menu]

EOS(イオス)は、ヤマハシンセサイザーの型番、製品名。1988年に初代機「YS200」が発表されて以降、2007年までシリーズの展開が行われた。名称の「EOS」はEntertainment Operating Systemの略称。
概要

イメージキャラクターとして小室哲哉を据えた初心者向けのシンセサイザーであり、YS200?B500およびBXの音色作成を浅倉大介が担当した(BXのイメージキャラクターも担当)。開発者として、守尾崇も携わっていた[1]。製品のコンセプトとしては「女の子も使えるシンセサイザー」だったと言われ、マニア向けでなく小室や浅倉を起用することで女性にも門戸を広げる狙いがあったという。ヤマハ主催の「EOS CONTEST」が毎年開催され、こちらの審査委員長にも小室や浅倉が参加していたなど販促にも力を入れており、EOS B2000発売時までの10年でシリーズ累計10万台を出荷したベストセラー機種である。

B500からB2000Wまでの内蔵音源とYS100,YS200,B200,TQ5用VOICE CARDには、TM NETWORK(TMN)やtrfglobe小室がプロデュースを行ったアーティストで使われている音をシミュレートしたものが内蔵されていた。ちなみに、実際のTM NETWORKやTMNのライブではEOSは「MIDI接続のリモートキーボード」という位置付けがなされていたため、「T-MUE-NEED STARCAMP TOKYO」「CAROL Tour」「RHYTHM RED TMN TOUR」や「Tour TMN EXPO」ではローランド・JD-800やS-550、ENSONIQ・VFX-SD、ヤマハ・TG77TX816、コルグ・01/W、シンクラヴィアといったあくまでも音源のリモート用にすぎなかった[2]。ただしEOS DAYのために制作されたビデオでは、「CAROL "A DAY IN A GIRL'S LIFE 1991"」で使用するB200のうち1台(映像では舞台上手側上段)は実際に内部音源が使用される旨の発言が小室氏本人よりあった。なお、1988年のYS200 / YS100の新商品発表会では森高千里がEOSを弾きながら歌っていた[3]。その後、小室哲哉がDX7II等を使っていたというヤマハとのつながりがあったところで、小室がイメージキャラクターになった[3]
歴史

YS200やB200発売当時のFM音源のシンセサイザーは音色の調整に労を要したが、この2機種は同じFM音源のシンセサイザーでも、音色の編集が簡単にできるというのが売りであり、DXシリーズに比べて収録されたプリセット音も多かった。その後発売されたB500とB700はPCM音源とFM音源をミックス出力できるようになり、当時としてはリアルな生楽器音も手軽に楽しめるようになった。特にB500にはTMN、またB700にはtrfそれぞれの楽曲のコーラスフレーズが収録され、サンプラー無しでも現存している楽曲の再現が楽しめた。B900以降の機種からは、音源部はFM音源が廃止されてGM音源に準拠したDTM寄りのPCM音源オンリーになる。GM音源特有のフィルターを使うことで簡単に音色の明るさ等を調整できるためカットオフやレゾナンスの鳴動、リアルタイムコントロールエディットが可能となり、それまでの旧シリーズとは性格が大きく変化した。88年から91年にかけてリリースされたTM NETWORK(TMN)、小室ソロワークのバンドスコアにはEOSの音色番号が記載され、EOSを用いた楽曲のコピーが簡単に出来るような配慮がなされていた。しかし92年と93年頃となるとPCM音源が全盛期を迎えてローランドのGS音源を始めとするDTMの普及が始まり、それらのDTM音源を使う事でより一層簡単なコピーを行えるようになった。それに平行するようにEOSはヤマハが推奨する音源規格XGに対応した(B900以降の機種から)ため、EOSはDTMに接近し始めた。そしてBXにおいてはシーケンサーは内蔵でなくパソコンで行い、鍵盤演奏と音源をBX本体が行うというDTMそのものになってしまった。EOSのコンテストが開催されていたことや小室が所属していたTM NETWORKの人気という面から、B500の発売当時から直後がEOSの全盛期と考えられている。2005年に最新機種であったBXが生産完了となったが、前機種のB2000はその後も継続販売されており、2007年1月にB2000が生産完了し、EOSシリーズは幕を閉じることとなったが、EOSはシンセサイザーの垣根を初心者に広げた機種であり、パネルを日本語表記にしたSDXシリーズは教育機関においても多く使用された。2012年6月11日から8月31日まで実施された、MOTIF XFの購入キャンペーン「ヤマハシンセ サマーキャンペーン2012」でにおいて、EOSシリーズなどの音色が収録された「ヤマハビンテージサウンドコレクション」というデータ入りUSBメモリとフラッシュメモリが配布された[4]。MOTIF XFでEOSシリーズそれぞれの音色の一部が楽しめる[5]。また、MOTIF XFの小室哲哉カスタマイズモデル「MOTIF QUIT30 EDITION」が2014年に申し込み受付が開始され、EOSシリーズはMOTIFシリーズに収斂されていった[6]。また、2019年3月27日にmu-mo限定で発売された「TETSUYA KOMURO ARCHIVES PROFESSIONAL PRODUCTS + Mobile Mini Keyboard reface DX TK Special Edition」には小室哲哉直筆サイン入りで、TK音色がプリセットされている[7]。MOTIFシリーズがMONTAGEに移行するのに合わせて、TK音色がプリセットされた、世界に1台しかないというシルバーカラーのMONTAGEも作られた[8]
EOSロゴについて

中?後期モデルの背面にプリントされている“YAMAHA EOS”ロゴに関して、その中で“EOS”ロゴはB200まで無く、それまでのモデルは同社V2と同様に“YAMAHA”とだけプリントされている。小室哲哉が弾いていたYS200やB200についていた“YAMAHA EOS”ロゴは、塗装もしくはプリントされたものではなく、ヤマハがステッカーを製作して“YAMAHA”ロゴ部分を隠すかたちで、TM NETWORKに供給されて貼り付けたものである。当時はB200向けの同様品のシールが販促品として入手することができた(但し、このステッカーが貼り付けられていないEOSを小室が演奏することもあり、その状況は過去のプロモーションビデオやライブビデオで確認できる)。また“EOS”ロゴの書体も、YS200?B200?B500の世代ごとに変化していた。
シリーズのモデル

YS200 1988年7月1日発売[9]。EOSシリーズの第1弾。但し海外ではEOSシリーズとしてリリースされておらず、単にYS200として販売されている(後述のB200も同様)FM音源オンリーの機種。4オペレータ8アルゴリズム、最大同時発音数8音。FMシンセサイザーとしては、珍しくエフェクターとシーケンサーを搭載したミュージック・ワークステーション


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:50 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef