ヤマハ・CPシリーズ
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CPシリーズ(シーピーシリーズ)は、ヤマハステージピアノの型番・商品名である。
概要CP-70Bを演奏するキーンのティム・ライス=オクスリー

CPシリーズを音源方式で分類すると、CP-70などの打弦式エレクトリックピアノ(電気ピアノ)の系統、CP-30などのアナログ音源エレクトロニックピアノ(電子ピアノ)の系統、そして現行機種であるCP300などのデジタル音源電子ピアノ(デジタルピアノ)の系統に大別される。それぞれの機種はステージ上での演奏および、運搬・設置のしやすさを考慮した仕様となっている[1]

CP-70とCP-80(B,D,Mも含めて)は「エレクトリック・グランド」と呼ばれ、CPシリーズを代表する機種となっている[2]グランドピアノと同様の打弦機構を備えているCP-70/CP-80(B,D,Mも含めて)の音色は、ローズ・ピアノ、ウーリッツァー・ピアノなどの電気ピアノと比べてグランドピアノに近い[3]。グランドピアノでは打弦時の振動が響板によって増幅されるのに対し、CP-70/CP-80(B,D,Mも含めて)では打弦時の振動をピックアップで検出して外部アンプで増幅するため、独特の個性が加わった音色になっている。その音色はポップスロックジャズフュージョンなどになじみやすく、80年代の音楽シーンを象徴する音色の一つとなっている[4][5]

このように、CP-70/CP-80(B,D,Mも含めて)は他方式の電気ピアノや電子発振式の電子ピアノと比較してグランドピアノの代用品としての高い完成度を持ち、かつ、単なるグランドピアノの代用品にとどまらない存在感を示した[4]DX7をはじめとするFM音源方式のシンセサイザーがステージ演奏で多用されていた1980年代中盤以降においても、CP-70/CP-80(B,D,Mも含めて)はステージ演奏で使用され続けた。しかし、90年代以降は軽量で取り扱いに便利なPCM音源方式の電子ピアノやシンセサイザーが普及したこともあり、CPシリーズはステージピアノの主流から外れ、生産終了となった[1]

現在、CP-70/CP-80(B,D,Mも含めて)の音色はサンプリングされて多くのPCM音源方式の電子楽器に搭載されている[4]。また、ヤマハによる生産・サポートが終了した現在においても、本物のCP-70/CP-80(B,D,Mも含めて)が持つ質感にこだわりを持つアーティストによってCP-70/CP-80(B,D,Mも含めて)がステージ演奏で使用されることがある。2009年現在、ステージ演奏でCP-70/CP-80(B,D,Mも含めて)を使用している代表的なアーティストとして、小林武史[6]やティム・ライス=オクスリー(キーン[7]が挙げられる。

CPシリーズには、CP-70/CP-80(B,D,Mも含めて)以外の系統としてCP-30などのアナログ音源方式の電子ピアノの系統が存在する。これらの機種は電子発振式の音源を備えているが、現在主流のPCM音源方式ではなくアナログシンセサイザーに近い音源方式である[4][1]。この系統は1982年に発売されたCP-7を最後に、後継機種はFM音源を採用したPFシリーズへ移行した。

1985年に発売されたCP-80M/CP-70M/CP-60M以降、CPの名を冠する機種は長らく発売されていなかったが、2006年にAWM音源(PCM音源)を採用したCP300とCP33が発売された[4]。2009年12月には新たなフラッグシップモデルとしてCP1が発売。翌2010年にはその廉価版であるCP5・CP50が発売。2013年10月にはその後継機種であるCP4 STAGE・CP40 STAGEが発売。

2015年にCPシリーズの新しいモデルとしてreface CPが発表された。2019年1月16日に次世代ステージピアノCP88・CP73が発表された(詳細は後述)。
シリーズ一覧
打弦式電気ピアノCP-70
CP-70
1976年発売。CPシリーズの最初の機種。鍵数はピアノより若干少ない73鍵である。重量は100kgを上回るが、運搬時は胴体部分と鍵盤部分に2分割することが可能であり、堅牢な外装そのものが運搬時のケースの役割も果たしている。そのため、200kgを軽く上回り運搬時に大掛かりな作業が発生するグランドピアノに比べて非常に運搬しやすい構造となっている[3][1]
CP-70B
1978年発売。CP-70の電源を内蔵電源方式からACアダプタ方式に改めた機種。
CP-80
1978年発売。CP-70Bの鍵数をピアノと同様の88鍵に拡張した機種。弦長もやや長くなり、よりグランドピアノに近い音色となっている。八神純子はライブやTV番組などで特注の白いCP-70を使用していた[8]
CP-70D/CP-80D
1985年発売。CP-70B/CP-80に7バンドのグラフィックイコライザーを搭載した機種。
CP-70M/CP-80M
1985年発売。CP-70D/CP-80DにMIDI出力機能を搭載し、シンセサイザーとの連携を可能にした機種。ちなみにCP-80MはCPシリーズ(打弦式電気ピアノ)の最高機種である。
CP-60M
1985年発売。CP-70M/CP-80Mのアップライト版で、鍵数は76鍵である。分割機構は備えていないが、運搬時に鍵盤部分を楽器の胴体部分に収納することができる。
アナログ音源電子ピアノCP-30ケースの蓋を2分割してスタンドにした状態のCP-30


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