ヤク
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、偶蹄類について説明しています。その他の用法については「やく」をご覧ください。

ヤク
上 : ノヤク Bos mutus
下 : ヤク Bos grunniens
保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
(Bos mutusとして[1]
ワシントン条約附属書I[2]
(Bos grunniensを除く[2]
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:哺乳綱 Mammalia
:偶蹄目 Artiodactyla
:ウシ科 Bovidae
亜科:ウシ亜科 Bovidae
:ウシ属 Bos
:ヤク B. grunniens
ノヤク B. mutus

学名
Bos grunniens Linnaeus1766(家畜種)
Bos mutus (Przewalski1883)(野生種)
和名
ヤク(家畜種)
ノヤク(野生種)
英名
Yak
Domestic yak(家畜種)
Wild yak(野生種)

ヤク(?牛[3]: yak、家畜化された種としての学名はBos grunniens、野生種はBos mutus)は、偶蹄目ウシ科ウシ属に分類される偶蹄類。野生種はノヤクと呼ばれる[4]漢名は旄牛(ボウギュウ。?牛、?牛とも)、?牛(リギュウ)。

ヤクはチベット語では雄のヤクを意味する。
分布

インド北西部、モンゴル中華人民共和国甘粛省チベット自治区)、パキスタン北東部に自然分布[5][6]ロシアでは17世紀前後に絶滅したとされる。ネパールでは絶滅していたとされていたが2014年に再発見され、それを記念してノヤクが紙幣の絵柄に採用された[7]
形態家畜種の毛色の一例

野生種(ノヤク)はバイソン属ガウルに匹敵する大型種であり、体長380cm、体高205cm、尾長100cm、体重1,200kgに達する[8]

家畜種は、体長がオスで280-325cm、メスで200-220cm[6]。尾長がオでス80-100cm、メスで60-75cm[6]。肩高がオスで170-200cm、メスで150-160cm[6]。体重はオスが800-1,000kg、メスが325-360kg[6]

高地に適応しており、体表は蹄の辺りまで達する黒く長い毛に覆われている。家畜種には、黒だけでなく様々な毛色のパターンが存在する。

換毛はしないため、暑さには弱い。肩は瘤状に隆起する[5]。鳴き声はウシのような「モー」ではなく、低いうなり声である。

基部から外側上方、前方に向かい、先端が内側上方へ向かう角がある[6]。最大角長92センチメートル[6]。四肢は短く頑丈[5]
黄金のノヤク

野生種(ノヤク)には、黄金(金白)の毛並みを持つ個体や群れ(金?野?牛)が存在しているが、その個体数は数百頭と少ない[9][10]。通常のノヤクとは遺伝的な差異が見られ、亜種レベルの差があるとされる場合もある[11]
分類

家畜種(ヤク)は、1766年にリンネによりBos grunniensとして記載され、野生種(ノヤク)は1883年にプルジェバリスキーによってPoephagus mutusとして記載された[10]。種小名はgrunniensがラテン語で「唸るように鳴く」、mutusが「沈黙」の意だが、実際には野生種も鳴き声を出す[10]。家畜種と野生種を同種とみなす場合、野生種に用いられるBos mutusが有効名となる[10]
生態

標高4,000-6,000メートルにある草原ツンドラ、岩場などに生息する[5][6]。8-9月は万年雪がある場所に移動し、冬季になると標高の低い場所にある水場へ移動する[6]。高地に生息するため、同じサイズの牛と比較すると心臓は約1.4倍、肺は約2倍の大きさを有している。食性は植物食で、地衣類などを食べる[6]

繁殖形態は胎生。妊娠期間は約258日[5][6]。6月に1回に1頭の幼獣を産む[6]。生後6-8年で性成熟し、寿命は25年と考えられている[6]
人間との関係

野生個体は食用の乱獲、家畜との競合や交配などにより生息数は激減している[6]。中華人民共和国では法的に保護の対象とされている[6]中国国家一級重点保護野生動物を参照)。1964年における生息数は3,000-8,000頭と推定されている[6]
利用

2,000年前から家畜化したとされる[6]1993年における家畜個体数は13,700,000頭と推定されている[6]

ほとんどのヤクが家畜として、荷役用、乗用(特に渡河に有用)、毛皮用、乳用、食肉用に使われている。中華人民共和国ではチベット自治区のほか、青海省四川省雲南省でも多数飼育されている。

「ヤク」の語はチベット語 「????」 (g-yag) に由来するが、チベット語では雄のヤクだけを指す言葉で、メスはディという。

チベットブータンでは、ヤクの乳から取ったギー[12]であるヤクバターを灯明に用いたり、とともに黒茶を固めた磚茶(団茶[13]を削って煮出し入れ、チベット語ではジャ、ブータンではスージャと呼ばれるバター茶として飲まれている。また、チーズも作られている。

食肉用としても重要な動物であり、脂肪が少ないうえに赤身が多く味も良いため、中国では比較的高値で取引されている。は乾かし、燃料として用いられる。

体毛衣類などの編み物や、テントロープなどに利用される[14]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:44 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef