この項目では、偶蹄類について説明しています。その他の用法については「やく」をご覧ください。
ヤク
上 : ノヤク Bos mutus
下 : ヤク Bos grunniens
保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
(Bos mutusとして[1])
ワシントン条約附属書I[2]
(Bos grunniensを除く[2])
分類
ヤク(?牛[3]、英: yak、家畜化された種としての学名はBos grunniens、野生種はBos mutus)は、偶蹄目ウシ科ウシ属に分類される偶蹄類。野生種はノヤクと呼ばれる[4]。漢名は旄牛(ボウギュウ。?牛、?牛とも)、?牛(リギュウ)。
ヤクはチベット語では雄のヤクを意味する。 インド北西部、モンゴル、中華人民共和国(甘粛省、チベット自治区)、パキスタン北東部に自然分布[5][6]、ロシアでは17世紀前後に絶滅したとされる。ネパールでは絶滅していたとされていたが2014年に再発見され、それを記念してノヤクが紙幣の絵柄に採用された[7]。 野生種(ノヤク)はバイソン属やガウルに匹敵する大型種であり、体長380cm、体高205cm、尾長100cm、体重1,200kgに達する[8]。 家畜種は、体長がオスで280-325cm、メスで200-220cm[6]。尾長がオでス80-100cm、メスで60-75cm[6]。肩高がオスで170-200cm、メスで150-160cm[6]。体重はオスが800-1,000kg、メスが325-360kg[6]。 高地に適応しており、体表は蹄の辺りまで達する黒く長い毛に覆われている。家畜種には、黒だけでなく様々な毛色のパターンが存在する。 換毛はしないため、暑さには弱い。肩は瘤状に隆起する[5]。鳴き声はウシのような「モー」ではなく、低いうなり声である。 基部から外側上方、前方に向かい、先端が内側上方へ向かう角がある[6]。最大角長92センチメートル[6]。四肢は短く頑丈[5]。 野生種(ノヤク)には、黄金(金白)の毛並みを持つ個体や群れ(金?野?牛)が存在しているが、その個体数は数百頭と少ない[9][10]。通常のノヤクとは遺伝的な差異が見られ、亜種レベルの差があるとされる場合もある[11]。 家畜種(ヤク)は、1766年にリンネによりBos grunniensとして記載され、野生種(ノヤク)は1883年にプルジェバリスキーによってPoephagus mutusとして記載された[10]。種小名はgrunniensがラテン語で「唸るように鳴く」、mutusが「沈黙」の意だが、実際には野生種も鳴き声を出す[10]。家畜種と野生種を同種とみなす場合、野生種に用いられるBos mutusが有効名となる[10]。 標高4,000-6,000メートルにある草原、ツンドラ、岩場などに生息する[5][6]。8-9月は万年雪がある場所に移動し、冬季になると標高の低い場所にある水場へ移動する[6]。高地に生息するため、同じサイズの牛と比較すると心臓は約1.4倍、肺は約2倍の大きさを有している。食性は植物食で、草、地衣類などを食べる[6]。 繁殖形態は胎生。妊娠期間は約258日[5][6]。6月に1回に1頭の幼獣を産む[6]。生後6-8年で性成熟し、寿命は25年と考えられている[6]。 野生個体は食用の乱獲、家畜との競合や交配などにより生息数は激減している[6]。中華人民共和国では法的に保護の対象とされている[6](中国国家一級重点保護野生動物を参照)。1964年における生息数は3,000-8,000頭と推定されている[6]。 2,000年前から家畜化したとされる[6]。1993年における家畜個体数は13,700,000頭と推定されている[6]。 ほとんどのヤクが家畜として、荷役用、乗用(特に渡河に有用)、毛皮用、乳用、食肉用に使われている。中華人民共和国ではチベット自治区のほか、青海省、四川省、雲南省でも多数飼育されている。 「ヤク」の語はチベット語 「????」 (g-yag) に由来するが、チベット語では雄のヤクだけを指す言葉で、メスはディという。 チベットやブータンでは、ヤクの乳から取ったギー[12]であるヤクバターを灯明に用いたり、塩とともに黒茶を固めた磚茶(団茶)[13]を削って煮出し入れ、チベット語ではジャ、ブータンではスージャと呼ばれるバター茶として飲まれている。また、チーズも作られている。 食肉用としても重要な動物であり、脂肪が少ないうえに赤身が多く味も良いため、中国では比較的高値で取引されている。糞は乾かし、燃料として用いられる。 体毛は衣類などの編み物や、テントやロープなどに利用される[14]。
分布
形態家畜種の毛色の一例
黄金のノヤク
分類
生態
人間との関係
利用
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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