ヤギ
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この項目では、哺乳類の動物について説明しています。その他の用法については「ヤギ (曖昧さ回避)」をご覧ください。

ヤギ
生息年代: 新石器時代-現世, .01?0 Ma Pre??OSDCPTJKPgN

分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:哺乳綱 Mammalia
:鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
:ウシ科 Bovidae
亜科:ヤギ亜科 Caprinae
:ヤギ族 Caprini
:ヤギ属 Capra

学名
Capra Linnaeus1758
和名
ヤギ
英名
Goat
山羊。ヤギの鳴き声

ヤギ(山羊、野羊、: Goat)は、ウシ科ヤギ属(Capra)の動物の総称である[1]

狭義には家畜種 Capra hircus(分類によっては C. aegagrus亜種 Capra aegagrus hircus)を指す[1]
特徴「ヤギ属」を参照アルガンノキに登る山羊。

家畜としてのヤギは大人しくてあまり動かない草食動物というイメージがあるが、本来は非常に俊敏で行動的である。全体的に高くて狭い場所、特に山岳地帯の岩場などを好む種が多く、人間が登れないような急な崖においても、ヤギは素早く登ることができる。

古くから人類に親しまれている家畜ではあるが、人馴れしていない個体は見知らぬ者を見ると攻撃してくることがあり、その際の突進の力は強力なものであるため、不用意に近づくと怪我をするので要注意である。

ヤギは、幸せな人の写真と怒っている人の写真を区別できることから、ヤギが人間の感情状態を認知することができると示唆されている[2]

ヤギ(やぎ)は大和言葉であるが、漢字では中国語と同じ「山羊」を使う。

肉食獣への警戒で広い水平視野角を必要とすることから、瞳孔は水平に長く、頭を50度以上傾けても水平を保つようになっている[3][4]

基本的に歪曲した2本の角を持つ。まれに突然変異で多角(英語版)になる場合(polycerate goat)もある。角は、防衛、縄張りの維持、群れの序列[5]、体温調整[6]に使われる。
ヒゲ

雄は優性遺伝、雌は劣性遺伝でヒゲが生えるが、雌も出産などでホルモンバランスが崩れるとヒゲが生え、雄は去勢されるとヒゲが比較的薄くなる場合がある[7]。ヒゲがある方が雌の好感度が高く、発情期になると雄はヒゲまわりに自分の尿をつけて雌へのアピールとする[8]
繁殖

季節繁殖で秋に繁殖し、妊娠期間は約5か月(約150日)である[9][10]

乳首は基本的に2個[11]であるが、ヤギの品種によってばらつきがありボア種ヤギ(英語版)になると8個持つ[12][13]

ヤギは2倍体で、染色体数は2n=60である[14]
寿命

平均10‐15歳とされる[15]
紙食について

一般的にヤギは紙を食べるというイメージが強いが、ヤギが食べても問題のない紙はコウゾミツマタを原料にした伝統和紙である。現代の日本文化にこのような和紙が登場することは極めて稀で、製造工程において有害な薬品が添加される洋紙はヤギの胃では消化できず、食べると腸閉塞を起こして死に至るため、決して与えてはならない。
ギャラリー

ヤギの目

ヤギの骨格

首にある肉垂

序列を決める戦い。

家畜としてのヤギ

ヤギは家畜として大昔から飼育され、用途により乳用種、毛用種、肉用種、乳肉兼用種などに分化し、その品種は数百種類に及ぶ。ヤギは粗食によく耐え、険しい地形も苦としない。そのような強靭な性質から、山岳部乾燥地帯で生活する人々にとって貴重な家畜となっている。

ユーラシア内陸部の遊牧民にとっては、ヒツジウシウマラクダとともに5種の家畜(五畜)のひとつであり、特にヒツジと比べると乾燥に強いため、西アジア乾燥地帯では重要な家畜であり、その毛がテントの布地などに使われる。

ヤギの乳質はウシに近く、乳量はヒツジよりも多い。明治以降、日本でも数多くのヤギが飼われ、「貧農の乳牛」とも呼ばれたが、高度経済成長期を境として減少傾向にある。しかし、近年ではヤギの愛らしさ、粗放的飼育に耐えうる点等が再評価されつつある。これを受けて、ヤギ愛好者・生産者・研究者が一堂に会する「全国山羊サミット」[16]が年に1回、日本国内で毎年開催場所を変えて開催されており、年々盛況になっている。
家畜化の歴史

ヤギは新石器時代の紀元前7千年ごろの西アジアの遺跡から遺骨が出土しており、家畜利用が始まったのはその頃と考えられている。したがって、ヤギの家畜化はイヌに次いで古いと考えられる。しかしながら、野生種と家畜種の区別が難しく、その起源については確定的ではない。またパサン(ベゾアール)が家畜化されたと考えられているが、ヤギ属他種との種間雑種に由来する説もある。

したがって、初めて搾乳が行われた動物はヤギと考えられ、チーズバターなどの乳製品も、ヤギの乳から発明された。乳用のほか、肉用としても利用され、や毛も利用される。群れを作って移動するヤギは、遊牧民の生活にも都合が良く、肉や毛皮、乳を得ることを目的として、家畜化された結果、分布域を広げていったと考えられる。一方、農耕文明においては飼育されていたものの遊牧民ほどは重宝しなくなった。ヤギは農耕そのものには役に立たず、ヒツジの方が毛皮が良質であり、また、新たに家畜化されたウシの方がが多く農作業に適していたからである。ただし、現在でも多くの品種のヤギが飼育されている。

宗教上ウシやブタを利用しない文化においても、重要な家畜とされる。子ヤギ(キッド)の革は脂肪分が少なく、現代でも靴や手袋を作るのに用いられるが、西洋では12世紀以降、4-6週の子ヤギの革が、羊皮紙の原料としてヒツジ革と競合した。

日本の在来種については、15世紀頃に東南アジアから持ち込まれた小型山羊が起源とされる。また、ヤギは粗食に耐えることから、18 - 19世紀の遠洋航海者が重宝して船に乗せ、ニュージーランドオーストラリアハワイなどに持ち込んだ経緯がある。ペリー艦隊も小笠原諸島などにヤギを持ち込んでいる。日本ザーネン種については明治以降に欧米より輸入された。


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