ヤエヤマヤシ
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ヤエヤマヤシ
石垣島、米原の群落
保全状況評価[1]
DATA DEFICIENT
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
情報不足
分類APG III

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 angiosperms
階級なし:単子葉類 monocots
階級なし:ツユクサ類 commelinids
:ヤシ目 Arecales
:ヤシ科 Arecaceae
:ヤエヤマヤシ属 Satakentia
:ヤエヤマヤシ S. liukiuensis

学名
Satakentia liukiuensis H.E.Moore (1969)[2]
シノニム


Gulubia liukiuensis Hatus. (1964)[3]

和名
ヤエヤマヤシ

ヤエヤマヤシ(八重山椰子、学名: Satakentia liukiuensis)は、ヤシの一種。八重山列島固有種である。
概説

日本の八重山列島の固有種であり、この1種のみでヤエヤマヤシ属を立てる。大きな羽状複葉の葉をつけ、樹高は25メートルにも達する大型のヤシで、鑑賞価値が高い。石垣島及び西表島にある3ヶ所の自生地はいずれも国の天然記念物に指定されている。小笠原諸島のノヤシに似ており、当初は混同されていた。現在も分類上で近縁とされる。
特徴

大型の常緑性高木[4]は直立し、高さ15 - 20メートル (m) 、径20 - 30センチメートル (cm) に達し、基部はさらに肥大する。なお、最高樹高は25 mに達する[5]。茎は分枝せず、その表面(樹皮)は滑らかで、目立たないが葉の落ちた跡が環状斑として残る[6]。葉は大きな単羽状複葉で、長さ4 - 5 mに達する。葉柄は短く、葉身は革質で光沢があり、小葉は多いものでは90対を越える。小葉は線状剣形、長さ30 - 70 cm、幅3 - 4 cmで、先端は浅く2つに裂ける。裏面は緑色で中肋に沿って褐色の鱗片が付く。葉鞘は筒状になり、茎先端部を取り巻く筒を形成する。

花序は、茎先端に集まる葉の群より下から出て紡錘形のに包まれ、円錐状に2回分枝し、短い星状毛を密生している。花序は長さ1 mになり、その柄の基部は幅広くなって茎を抱く。雌雄同株で、花は単性で黄色く、花序の軸に対して十字対生をなして穂状に多数つく。花序の中央以下の部分では花は2個ずつまとまって付き、そのうち下側が雌花で上側が雄花、花序中央より先では雄花だけが2個ずつ着く[7]

雄花の片は3、互いに離れ、広卵形で先端が丸く、やや肉厚で長さ2ミリメートル (mm) 、幅2.5 mm。花弁も3、楕円形で先端は三角になっているが尖らず、長さ3.5 mm、幅2 mm。雄蕊は6、花弁より長く突き出す。花糸は4 mmで扁平、はTの字に付き、長さ2 - 2.5 mm。退化した子房があって長さmm、披針状楕円形。雌花も萼や花弁は雄花とほぼ同じで、多少大きめ。退化雄蕊が3、扁平な三角形で長さ1 mm。雌蕊は歪んだ卵形で長さ2 mm、花柱は3個。果実は卵状楕円形で長さ1.3 cm、幅7 mm、熟して赤くなる。先端の中央からずれた位置に花柱が残る。種子は長楕円形で長さ1 cm、多少曲がっており、側面に全長に及ぶ臍がある。
分布

八重山列島の石垣島西表島の固有種である。その中でも生育地は限られており、群落は、

石垣島

米原


西表島

仲間川中流部のウブンドル

星立天然保護区域内の干立御嶽周辺

の3ヶ所のみに存在する[8]。このうち、ウブンドルの群落については、環境省による2008年の調査で約1.5haの地域に1,769本のヤエヤマヤシが確認されている[9]。かつては他の地域にも生育していたともいい、生育地の減少は、若芽が食用になり、茎が材として利用されて他の生育地が消滅した結果であるという[10]
生育環境

低地から山地の自然林に生える。石垣島の米原ではほぼ純林をなし、外観としてもヤシ型森林として判然と区別できる。林下の植物相は低地の常緑広葉樹林の要素が多い[11]。西表ではその生育地が急斜面や氾濫原で、立地が不安定な、常緑樹林が成立しにくいところであり、そのような場でこの種が生き延びたのだろうとしている[5]
経緯

発見は1969年と比較的新しく、それまでは後述のノヤシと混同されていた。これを初島住彦が1963年に新種として記載し、この時は学名を Glubia liukiuensis とした。その後にハロルド・エメリー・ムーアが1969年に新属ヤエヤマヤシ属を立て、本種をそこへ移した[12]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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