モルダイバー
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出典検索?: "モルダイバー" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2014年7月)

『モルダイバー』は、1993年に製作されたOVA作品。内容はSFヒーローアクション。
概要

パイオニアLDCによって企画・販売されたOVA専用アニメーションシリーズの第一期作品。同OVAレーベルの同期発売作品には『天地無用!魎皇鬼(第一期シリーズ)』『幽幻怪社』『グリーンレジェンド乱』『機神兵団』などが存在する。

また、これを原作にコミカライズされた伊藤伸平漫画作品のタイトルでもある。同時期に『月刊少年キャプテン』(徳間書店)に連載された。ストーリーはOVAの設定のみを下地にしたオリジナル。

同様に早見裕司によってノベライズされた小説版も存在する。こちらは徳間書店・アニメージュ文庫より発売。ストーリーはオリジナルのものだが、よりOVAの内容をなぞるものになっている。オープニングは第3巻から変更され、モルダイバー2号が活躍するバージョンとなっている。
ストーリー

時は2040年代。東京は開発に次ぐ開発により超高層建造物「複合体(コンプレックス)」が立ち並ぶ超都会へと変貌を遂げていた。人々は複合体に住み、複合体で働き、複合体に死す。それが当たり前の時代になっていた。

大宇宙 寛(おおぞら ひろし)は、総合企業複合体ZICの鉱物研究員。彼は大学時代、複合体理論開発者、ZIC科学顧問にして恩師でもある天城教授の下で超次元装甲の研究を行っていた。それは特殊波長粒子体である擬似分子を身体に定着させ、これの操作をもってあらゆる物理的限界を制御・虚無化する、究極の装甲技術。だが、その開発は他ならぬ天城の手によって封印されていた。なぜなら擬似分子を定着させる理論値を示しうる触媒物質が、この地球上に存在し得なかったためだ。

しかし寛はあきらめなかった。彼はZICに入社した後、鉱物研究員となり擬似分子定着のための触媒物質を探し続けていたのだ。ZICには宇宙開発によって採取された鉱物が数多く入ってくる。寛はその中で「試掘666番」と呼ばれる予備調査において「利用価値なし」と判断され廃棄処分寸前となっていた擬似分子装甲用触媒物質として最適な理論値をはじき出す鉱物サンプルを手に入れる。

同時期。マシンガル教授を名乗る謎の怪人が、テロメカを引き連れて複合体に現れるようになっていた。どこからとも無く現れては去っていくマシンガル教授。それは超次元装甲と基礎理論を同じくする物質転送システムIntrude Dimension Area 転送システム(IDA転)によるもの。彼は右往左往する人々をよそに、自らの趣味であるハイテク・レトロ(この時代において骨董価値があるとされる各種電気工学技術を用いた電化製品。たとえばVHDひまわり初号機、新幹線のぞみ号など『モルダイバー』OVA発売当時においては最先端であった工業技術製品)をあちこちから盗んでいく。

鉱物サンプルを手に入れた寛は喜び勇んで、それに「モル鉱石」と名づける。さらには天城教授に知らせることも無く独自に超次元装甲の開発に乗り出す。実は彼の夢は秘密のスーパーヒーローになる事だった。寛は苦難の末に装甲開発に成功。研究途中ゆえに666秒と言う時間制限付きながら、人知れず人命救助など正義の行動に乗り出す。人々は擬似分子装甲で変身した寛を敬愛をこめてキャプテン東京と呼ぶようになった。

ところが、あることがきっかけで寛の行動は妹の未来(みらい)の知るところとなる。未来は周囲の知らぬところとはいえ、自分の身内が「キャプテン東京」などというセンスの無い名前で呼ばれる事に腹を立てた。未来が立腹したのはそれだけでなく「キャプテン東京」の外観も。擬似分子装甲は装甲安定装置「モルユニット」へのプログラミングにより、自由に外形を変えられる。寛が選んだ外形は、ひ弱な自分への劣等感から、アメコミもかくやと言うほどのマッチョマンだったのだ。この寛と周囲の壊滅的とも言えるセンスの悪さがどうにも気に入らない未来はある計画を実行する。

なんと未来は寛の部屋に忍び込み、モルユニットのプログラムを勝手に変えてしまったのだ。だが、未来は元来メカに弱い。未来の迂闊でデタラメな操作はモルユニットを「競合しない二つのプログラムを無理矢理押し込めた不安定な欠陥品」に変えてしまったのである。かくて、ここに従来のモルダイバーである「キャプテン東京(モルダイバー1号)」と未来のボディーデータを基礎とした美少女型の「モルダイバー2号」が誕生した。

一方でマシンガル教授一味は複合体を所狭しと暴れまわる。その正体は寛の恩師・天城教授と彼の秘書・イザベラ、そして彼女の妹たち。天城は天才であるが故の孤独と退屈から、ついに犯罪に手を染めてしまったのだ。そしてイザベラとその妹たちは他ならぬ天城の手によって作られたアンドロイド、マシンガル・ドールズだったのだ。モルダイバー兄妹とマシンガル教授たちは互いの正体も知らず、ある時は恩師と弟子(と、その家族)として。またある時は宿敵同士として事件現場で出会うことになる。

こうしたドタバタの中、兄と姉の秘密行動に不審を抱く大宇宙家末弟、スーパーハッカー・望夢(のぞむ)。未来の初恋の人にしてZIC外宇宙開発プロジェクト飛行士候補であり寛の無二の親友・岬薫(みさき かおる)。そして岬を軸にした未来の恋敵にして同級生の白瀬真織(しらせ まお)などの面々を巻き込み、モルダイバーの冒険は始まるのである。
登場人物・声の出演
大宇宙未来(おおぞら みらい)
- 野上ゆかな(現・ゆかな)主人公。大宇宙家の次女。中期専門課程(高校生)の少女。行動的で快活だが、一方で自己主張が強く独善的なワガママ娘でもある。「モルユニット」の存在を知りモルダイバーとなるが、エネルギーなどの無駄遣いをするため、寛に迷惑をかけては叱られる。性格はほぼ体育会系に近く、祖母から中国拳法を仕込まれている。寛の友人の岬薫に片思いしているが、それが実るかどうかは微妙。ただし自身は絶対にその思いをかなえると決めており、そのため(いずれ外宇宙へと旅立つ岬についていくべきスキルを得るため)に宇宙飛行士の専門養成のための特別単位を取得しようとしている(しかし前述の通りコンピュータを始めとした理系科目は不得意)。なお強烈なまでの味オンチのため料理が非常に苦手。小説版ではそのために熱海温泉の専門施設での(味覚改善を兼ねた)補習まで受けさせられるほど。そのため寛も望夢も未来の料理をこの世の何よりも恐れている。本人曰く「普通の料理には味に個性が無い」としており様々な調味料を適量以上に、また本来ならその料理には合わない調味料をそれと知りながら無視して利用するなどの愚行を行っており、それが壊滅的なまでの味の原因でもある(本人も理解はしているが前述の主張から直すつもりは始めから無く、改善を求めるとキレる事すらある)。漫画版では早口言葉を苦手としており(当時、新人だった野上ゆかなの緊張に起因する定番ギャグ)短絡的で直情的な面が強調されていて、その部分を寛に突かれモルダイバーへの変身の主導権を奪われる場面もある。まめカラ事件(後述)では野上ゆかなの『恋人たちのモニュメント』をモルダイバー2号として熱唱している。モルダイバーの変身は1号と2号の任意選択がほぼ不可能で、「1号になりたくない」と念じても1号に変身することがある。未来を「モルダイバー2号に変身するヒロイン」とする紹介は不正確。誕生日は野上ゆかなに合わせて1月6日に設定された。
大宇宙寛(おおぞら ひろし)
声 - 森川智之大宇宙家の長男。ZIC社に勤務する素材研究者。モルダイバーに変身するための特殊装置「モルユニット」の開発者。問答無用の「理系の男」であり、感性オンリーで体育会系な未来の行動に心底迷惑している。ただし未来の事を嫌っているわけではなく、家族として心配する「よき兄」でもある。なお業務そっちのけでモル鉱石を探し続ける姿から、職場では変人扱いされ窓際扱い目前とも言われている。大学時代でもロマンチストに過ぎて論理構成や試算が甘くなる事から落ちこぼれ学生だった。しかし、その分だけ自分の夢に対して正直な男であり、そのコケの一念で師・天城すらも完成を諦め研究を放棄した擬似分子装甲(モルダイバー)を完成へとこぎつけ師を越えてみせた。しかし漫画版では学生時代の落ちこぼれ(ロマンチスト)っぷりが災いし、マシンガル教授からは擬似分子装甲研究の第一人者にもかかわらずモルダイバーの正体候補から真っ先に外されるという、幸運なのかどうなのか解らない認識をされてしまっている。頭は良いが体は弱く、自らの虚弱にコンプレックスを持ち、強いヒーロー願望を抱いている。擬似分子装甲研究は、ひとえにその夢を叶えるためのものであり、天城が開発放棄した廃棄データを全て譲り受けてたった一人で研究を続けたというエピソードにおいてもその夢の大きさや意志の強さを物語っている。親友・岬薫と共に天城教授の教え子であり、師に対する尊敬の念は、もはや崇拝と言ってもいいレベルだが、漫画版で天城の犯罪歴が明らかになった際にはその行いを全否定している。
大宇宙望夢(おおぞら のぞむ)
声 - 松本梨香大宇宙家の末っ子。初等過程(小学生)ながらもスゴ腕のハッカーであり、ハードおよびソフトの両面で兄である寛以上の才覚を持つ。寛が「人の夢のための技術」を求めるのに対し、望夢が求めるのは「完璧な技術のための人」であり、その感性において「人」と「技術」の主客が逆転する危険思想を抱いており、兄や岬、ひいては天城博士の技術に対しても「人の甘さが出ている」と断ずる科学技術至上主義者でもある[1]。それゆえに「完璧な技術」を求め、「完璧でない技術」いわゆる「ハイテク・レトロ」のような過去の技術[2]や「モルダイバー」のように不完全なシステムゆえに時間制限を持つ技術、外宇宙航行船「魁」のように人命を度外視した技術に対しては異常なまでに子どもっぽい憎悪を燃やし、これらを抹殺・廃棄しようとする。「魁」に関わる騒動では未来の諦めの悪さが引き出した想定外の力に驚いた隙に自身のモルユニットを奪われるが、事件後、新たに製作したユニットに「バーニング熱血回路」なるシステムを搭載している(同様に寛も鉱石の変換効率100%を達成した新型ユニットを完成させている)。
白瀬真織(しらせ まお)
声 - 平松晶子未来の同級生であり、岬薫をめぐっての恋敵。未来とどっこいどっこいのワガママさや幼さや積極性を持ち、未来と同レベルで争っているライバル


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