株式会社モリサワ
Morisawa Inc.
本社
種類株式会社
本社所在地 日本
〒556-0012
大阪府大阪市浪速区敷津東二丁目6番25号
設立1948年12月
業種情報・通信業
法人番号7120001040217
株式会社モリサワ(英: Morisawa Inc.)は、大阪市に本社を置き、DTP用フォントや、組版ソフトウェア、オンデマンド印刷機などを開発・販売している企業。はじめて日本語PostScriptフォントを開発した会社であり、日本国内のフォント市場でトップシェアを誇る[2]。手動写植機のメーカーとして創業し、電算写植機も手掛けた。 創業者は森澤信夫。石井茂吉と共に「写真植字機研究所(のちの写研)」を設立、エンジニアとして初期の写研機の開発を支えた。のちに森澤は同社を退社(意見の違いが原因といわれる)、1948年、独自に「写真植字機製作株式会社」として創業したのが、現在のモリサワ(1971年に社名変更)である。本社は大阪市浪速区(創業時の本社は大阪市西成区)、最高経営責任者(CEO)兼代表取締役会長は森澤嘉昭
歴史
創業から電算写植時代
手動写植機の時代には「書体の写研・機械のモリサワ」と呼ばれ、市場において第2位の位置を占め、時代が電算写植に移ってもその地位を保った。写研よりも独自開発の書体の種類は少なかった。
電算写植では、完全に独自仕様に基づいたシステムを開発した写研に対し、モリサワはライノタイプと提携してその技術をベースとしたシステムを開発し、これが後の書体オープン化の布石となった。
1984年からは、3年に1回「国際タイプフェイスコンテスト モリサワ賞」を開催するなど、日本の書体設計を牽引する存在である。一時期モリサワによるコンテストは休止していたが、2012年には「タイプデザインコンペティション 2012」が実施された。これらのコンテストで入賞した書体の一部は、後にモリサワからリリースされている。 MacintoshによるDTPの波がやって来た時、写研は方針により書体をオープンにせずに独自路線を歩んだが、ここでモリサワはアドビと提携し、Macintosh用フォントとして自社の書体を販売する道を選んだ。当初は社内外から懐疑的な声も多く、またフォントのスタンダードの地位をめぐってはさまざまな戦いがあったが、1990年代を通じて同社の書体は、DTPにおけるデファクトスタンダードとして盤石の基盤を築くとともに、手動写植時代には年商ベースで業界トップであった写研を抜き去り、業界首位となっている[注 1][3]。 2002年からOpenTypeフォントをリリースし、いわゆる次世代DTPへの布石を打っている。これにより、Windows環境でも同社の人気ある書体が使用できるようになった。Windows上で同社の書体を使いたいという需要も多く、ViewフォントというWindows用ATMフォントも販売していた。これはプリンタのCIDフォントを指定する専用のスクリーンフォントであったが、意図的に輪郭線のサンプリング品質を落としたため、非PSプリンタで出力すると粗い密度の印字物しか得られなかった。また、MacintoshのPSフォントとの文字セットの違いや欧文数字のグリフの違いなど互換性が高いとは言えなかった。現在はそういった欠点などすべてがOpenTypeフォントで包括できることから、同社ではViewフォントの販売は終了、OpenTypeに移行している。 電子書籍市場の拡大、スマートデバイスの普及に鑑み、電子書籍へのオーサリングツールや印刷用データの電子配信、多言語フォントを用いた多言語配信といった分野にも参入している。 日本語PostScriptフォントは、当初OCF形式のものが販売されていた。これは1バイトの欧文PostScriptフォントを多数積み重ねた構造をしていたため、処理が重いなどの問題があり、のちに構造を簡素化するなどの対処でこれを改善したCID形式のフォントが販売された。しかし同社のCIDフォントは、OCFフォントとPostScript名が同一だった。そのため新旧のフォントを混在させるとさまざまな問題が生じた。同社としては、ユーザーがインストールしているOCFフォントをすべてCIDフォントに置き換えれば問題ないとして有料アップグレードを推奨していたが、買い替えは進まなかった。 そういった問題点を解消するため、モリサワは仕様を一部改訂した「New-CIDフォント」をリリースした。これはフォント名の先頭にA-CIDと付けることでOCFフォントと区別し共存できるようにしたほか、アウトライン抽出も可能とするなど改善が加えられている。そのため、同社のPostScriptフォントには「OCF」「CID (旧CID)」「New-CID」の3種類が存在する(ただし、Illustratorのバージョンによっては各フォントを同時に使用していると区別がつかない場合もある)。また、それぞれの商品を販売する段階で、アウトラインデータのバグ補修/同一文字コードにおける字形の変形(字体変更のほか、エレメントの微調整も含む)を行っており、互換性が完全同一とは言い難い側面もある。 2021年1月18日、写研とOpenTypeフォントの共同開発で合意に至った。石井茂吉と森澤信夫が邦文写真植字機の特許の共同申請をした100周年にあたる2024年から順次リリース予定である[広報 4][広報 5]。
DTP化を積極的推進
PostScriptフォントの変遷
M&Aと協業を子会社化(2017年9月1日に吸収合併)[広報 1]、2011年10月にはリョービイマジクスよりフォント事業譲渡を受ける[広報 2]、2013年9月30日にリムコーポレーションを子会社化[広報 3]、2019年3月に字游工房を子会社化するなど、同業企業のM&Aにも積極的になっている。
現行のフォント製品とライセンス
パッケージ
MORISAWA Font Select Pack (1 / 3 / 5) / PLUS[4]
1 / 3 / 5はライセンス数を表し、その分だけモリサワフォント和文総合書体[5]を選んでインストールできる。PLUSは、かな書体・欧文書体・数字書体・記号書体専用のパッケージで5ライセンス。
MORISAWA Font OpenType 基本7書体パック[6]
リュウミン L-KL、太ミンA101
上記以外にも多種多様なパッケージフォントがラインアップされていたが、いずれも終売・サポート終了済みである。
年間ライセンス
MORISAWA PASSPORT / MORISAWA PASSPORT ONE / MORISAWA PASSPORT アカデミック版(学生・教職員向け)[7]
2005年に開始した年間契約フォントライセンスサービス[8]。2020年11月時点では、モリサワフォントのほか、タイプバンクフォントの一部書体、字游工房の現行全書体、ヒラギノフォント、昭和書体5書体が提供される。
モリサワの主な日本語書体
リュウミン
黎ミン
太ミンA101
見出ミンMA1
見出ミンMA31