モリのアサガオ
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モリのアサガオ
ジャンル
ヒューマン漫画
漫画
原作・原案など郷田マモラ
作画同上
出版社双葉社
掲載誌漫画アクション
レーベルアクション・コミックス
発表期間2004年4月 - 2007年4月
巻数全8巻(本編7巻+番外編1巻)
話数全161話
テンプレート - ノート

『モリのアサガオ』は、郷田マモラによる日本の漫画作品。
概要

死刑制度をテーマに取り上げたヒューマン作品。刑務官死刑囚、被害者家族などの心の交流や葛藤が、綿密な取材に基づき描かれている。

平成19年文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞[1]

2010年テレビ東京にてドラマ化され、10月18日から12月20日まで放送された。さらに、生野慈朗監督、ギャガ・コミュニケーションズ配給による映画化が発表され、2010年公開予定とされていたが、その後の続報は無い[2][3]

2021年から、電子書籍で続編『モリのアサガオ2』が発表されている。
あらすじ

新人刑務官となった及川直樹は、なにわ拘置所のG棟に属する死刑囚舎房に配属される。深く反省している者やしていない者、自らの罪を罪とも思わない者、無気力な者など死刑囚の性質も様々であった。そんな彼らと接していく中で、直樹は死刑制度の是非について深く考えるようになる。それとともに、死刑囚・渡瀬満との心の交流を深めていく。ここでは、原作を主として執筆する。
登場人物
主要人物
及川直樹
看守
本作の主人公1981年8月10日生まれ。大阪市根古田区なにわ拘置所(ドラマ版では東京西拘置所)の死刑囚舎房の処遇部に配属された新人刑務官。山本憲人元死刑囚の息子として生まれ、及川正道元刑務官の養子になった。人一倍優しい性格のため、養母・佐和子は刑務官として務まるか心配している。少年時代は野球チームに所属していた。後述の渡瀬とは同年代で、優秀が故に他校にまで名が伝わる彼といつか同じマウンドに立ってみたいと憧れを抱いていたが、渡瀬とその家族に降りかかった不幸が原因で叶わぬ願いとなった。なお、渡瀬が現代の復讐鬼としてワイドショーなどに取り沙汰された際も、ぬるま湯につかって生きてきた自分とは違うとしてその生き様に憧れていた時期があった。共通項が多いが謎も多い渡瀬には強い思い入れを抱いており、親身になってその心を探ろうとする。その後渡瀬とはお互いの共通項である野球を通して心を通わせていくことになる。韓国旅行に誘われ(ドラマでは恋人の沢崎麻美が勤務先の新聞社にソウル転勤を勧められたため下見に誘った設定)、パスポート取得に必要な戸籍謄本を取得したところ、山本憲人元死刑囚と藤間貴子の息子、正道と佐和子の養子であることが判明した。復讐殺人については肯定はしていないが、同情的である。
沢崎麻美
及川の恋人。東陽新聞社会部記者。原作では、及川と途中で絶縁してしまう。芯の強い性格。事件被害者や遺族への対応がなっていないことを日頃から憤慨している一方で、復讐殺人については、「どんな理由があっても許されない」としている。
吉岡小春
満の妹。旧姓は渡瀬。児童養護施設「竹の花園」職員。心優しい性格。幼い頃に両親を目の前で殺害されて以来、事件の後遺症として失声症を患っている。
なにわ拘置所
処遇部
谷崎俊幸
副看守長。マイホームパパ。「刑務官は死刑囚の身の回りの世話をしたり話相手になったりするサービス業」と考えている。死刑囚に対しサディスティックな里中とは死刑囚の処遇に関して悉く対立している。
里中和明
看守部長。大学院生の時に交際相手がレイプされた末に殺害された過去を持つ。「復讐の連鎖を断ち切るためにも死刑は必要」と考える死刑肯定派で、死刑囚や及川に対してはサディスティックに当たる暴君。実母が持病で入院加療中のため、星山の処刑の際に執行メンバーから外されたことを酷く悔しがっていた。
望月加奈
及川よりも少し年上。当初は及川に想いを寄せていたが、渡瀬との固い友情を見て「付け入る隙がない」と諦め、その後は別の会社員と結婚した。
後藤了
体育会系の主任看守。迫や熊井を威圧したこともある。星山の処刑の際に星山が絶叫しながら死んでいったことに対し、「国の命令とはいえ殺人の片棒を担いでしまった」と罪悪感に苛まれ休養した(後に復職。なお、原作では休養のエピソードはない)、確定死刑囚の青山が冤罪でありながらも死刑を受け入れている事に感動して、死刑囚を平等に扱うことを信念としながら、青山の贖罪の手助けを特別にしている。
岡田敦史
ヒラ→主任看守。原作のみの登場。星山を及川と一緒に改心させる。星山の処刑の際に星山が絶叫しながら死んでいったことに対して罪悪感に苛まれ、退職。
若林勇三
看守長。被害者やその遺族のためにも死刑は必要であると思っているが、同時に自分の罪を心から反省している加害者を死刑に処するのが本当に正しいかどうかは答えが出せないでいる。最終話で定年退職。
上層部
拘置所所長
福田健吾が迫と面会したいと言う事を及川と申し出て、看守長の若林が責任を持つという事で承諾した。深堀の処刑の際も、「及川を立ち会わせろ」という深堀の要求を呑み的確な対処をしたうえで立ち会わせた。
及川正道
直樹の養父。元なにわ拘置所所長。長年子宝に恵まれなかったため、藤間貴子から直樹を引き取り、養子縁組を結んだ。直樹の大学の卒業式に佐和子が付いて行ったことを「過保護だ」と批判した。
確定囚

ここでは、「囚人の名前 番号」の順で示す。


渡瀬満 290号
本作のもう1人の主人公。1981年
8月15日生まれ。及川とは5日違いの生まれの同年代である。少年時代に及川同様野球をしており、彼にとって憧れの人だった[4]将来有望株として名が他校にも売れており、少年期の及川もいつか彼と同じマウンドに立つことを夢みていた。将来プロ野球選手になることが確実視されていたが、中学3年の時に強盗に入った田尻勝男に両親を殺され、自身も右肩を刺されて野球の出来ない身体となった。その後は9歳年下の妹・小春と共に施設に預けられた。田尻の死刑を待ち望んでいたが、村雨が心神喪失を訴えて有期刑となってしまう。その後は田尻に復讐を果たすため、工場で働きながら左腕を鍛える日々を送り、10年後に田尻が元妻の実家にやってくるを知り、待ち伏せして彼を日本刀で斬殺した(現場では、原作では雪が降っていたが、ドラマでは雨に差し替えられている)が、この際に有歌も巻き添えにしてしまった。1年逃亡の末に出頭し、裁判では当初、田尻が娘を抱えていたことを認識していなかった(過失致死)と供述、世論の同情もあり情状酌量が認められる寸前まで裁判を進めるも、「田尻から妹を守るため、娘が一緒にいることを分かっていて殺害した」と証言を翻したため、死刑判決が下る(2人の殺人罪銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)違反と場合によっては偽証罪)。その後、村雨に説得されるも本人の希望で控訴をしなかったため、一審で死刑が確定。[5][6]妹を守るために死刑になったものの、死の恐怖に怯え(後述のように田尻が亡くなった際には、再審請求をしようとした)、また、有歌を巻き添えにしたことは後悔する一方で、田尻を殺害したことについては「やってよかった」と考えていたが、及川と接するうちに罪を反省し死刑を受け入れ、刑務官のことを「先生」と呼ぶようになった(心を開いた後は及川のことを「直樹」と呼ぶようになった)。「もし生まれ変わったら、また直樹と野球がしたい」と言い残す。処刑直前に「言い残したいことは?」と聞かれた際は「何もありません」と答え、及川も携わって死刑執行ボタンが押され、死刑執行。遺骨は小春の元へ送られた。

山本憲人及川の実父。鶯谷事件の当事者だが、主犯ではない。小学生時代より優等生であり、川で溺れかけていたところを深堀に助けられ、以後、恩返しに深堀の喧嘩を止めたり、深堀と一緒に教師に謝ったり、勤務先の上司に深堀の採用を頼み込んだりしていた。社長に虐げられていた妻の貴子を助けるために会社に上がり込んだ際、一緒に来ていた深堀が社員3人を殺害し、これに激昂した社長が深堀を灰皿で撲殺しようとしたため、深堀を守るために咄嗟に落ちていた包丁で社長を殺す。山本は、自身、妻、息子の命を救ってくれた深堀に感謝し、身代わりに死刑になることを決意。自身は貴子が社長に虐げられていることに腹を立て、社長と止めに入った社員2人の合計3人を殺害し、深堀は解雇されたことを恨んで社員1人を殺害したと口裏を合わせ、死刑判決を受けた(本来であれば、犠牲者が1人である上、過剰防衛または正当防衛が成立する状況であるため死刑になることはまずないうえ、検察は正当防衛の可能性を捨て切れない以上、有罪率を維持するために不起訴とする可能性が高い)。及川は、船木から写真を渡され「何があっても人を傷付けない山本君が主犯だと聞いた時はびっくりした」と聞き、更に世古から深堀が6人も殺害したことを自慢していたことを聞いたため、山本が主犯であることに疑問を感じ、深堀に真実を聞き出した。山本が収監されていた当時のなにわ拘置所長であった正道は、「立派な男だった」と述べた。処刑の際は「直樹のことを頼みます」と及川の養父でもある正道に頼み、死刑が執行された。
深堀圭造 380号
鶯谷事件の主犯。拘置所の中では世古に次ぐ古株。小学生時代、川で溺れかけていた山本を助けたことをきっかけに、性格が正反対(ガキ大将の深堀と優等生の山本)であった彼と親友になった。その後は少年院への出入りを繰り返し、どこに勤めても長続きしなかったが、恩義を感じていた山本が上司に頼み込み、彼と同じ鶯谷運送の社員になった。しかし、勤め先の社長が山本の恋人であった貴子を自分のものにするため、合理化を口実に山本と深堀を解雇にした。その直後、解雇に腹を立てて山本の家でやけ酒していたところ、社長に虐げられて助けを求める貴子の電話があり、激昂して社長を殺害することを決意する。その際、山本の家から包丁を持ち出し、彼と共に会社へ向かった。会社到着後、当初は社長を殴るに留まっていたが、止めに入った社員に投げ飛ばされ、激昂して社員3人を刺殺した。その後、社長に灰皿で撲殺されそうになったところを山本が止め、社長を殺害。山本は深堀のおかげで自身、妻、子供(及川)の命が救われたことに感激し、身代わりに死刑になると決意した。その後は口裏を合わせ、山本が社員2人と社長を殺害して自身は1社員人を殺害したことにし、自身は懲役12年に留まり、山本は死刑となった。仮出所後、娘(市川百合)に面会を拒否され、立腹していたところ通行人と肩がぶつかり、激昂して3人を次々に殺害。被害者が多いこと、再犯であることもあり死刑判決が下った。及川に対し、山本のことを「あんなお人好しは見たことが無い。世界一の大馬鹿野郎だ」と冒涜するかの如く嘲笑った。処刑前日、娘と面会し、涙を流した。その際、処刑されることを悟り、自分が殺した人間の名前を繰り返しつぶやいた。処刑の朝も、「やっぱりお迎えがきたか」と素直に処刑場へ向かうが、途中で及川がいないと分かると豹変、「及川に会わせろ」と暴れだす。しかし、及川に会った際は暴れるのをやめ、彼に「長生きしろよ」と言い残す。


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