モビルスーツ
[Wikipedia|▼Menu]

モビルスーツ (MOBILE SUIT, MS) は、アニメ機動戦士ガンダム』をはじめとする「ガンダムシリーズ」に登場する、架空の兵器の分類のひとつ。

ほとんどの場合、高さ20メートル前後の有人操縦式の人型機動兵器のことを指す。また、題名に「機動戦士」を冠する作品においてはその英訳としても使用される。
設定の経緯

『機動戦士ガンダム』の初期の企画「フリーダム・ファイター」では、前作に当たる『無敵鋼人ダイターン3』や『無敵超人ザンボット3』のようにロボットを登場させる予定はなかった。しかし、スポンサーのクローバーからの要請により、仕方なくロボットを出すこととなった(詳細は「機動戦士ガンダム#企画の経緯」を参照)。それでも今までのような巨大ロボットにはしたくないと考えていたところ[1]、設定協力として関わっていた[2]スタジオぬえ高千穂遙からロバート・A・ハインラインSF小説『宇宙の戦士』に登場する宇宙強化服「パワードスーツ[注 1]を提示され、すぐにメカニックデザイン担当の大河原邦男に「そんな感じで」と依頼した[1]。なお、『宇宙の戦士』はパワードスーツだけでなく、「SFとは何か」ということを研究する題材にもされ、ロボット的な兵器を運用するのにも兵站が必要であるといったリアルさが活かされたという[3]

宇宙での戦闘であれば、まずは長距離戦で始まり、その後は中距離戦、最後には白兵戦となることが想定され、それぞれに特化した3機種がデザインされた。「重機甲型機動歩兵」「重砲兵型機動歩兵」「突撃攻撃型機動歩兵」と仮称された3機種は、それぞれガンタンクガンキャノンガンダムの原型となった。また、宇宙時代の兵器・兵隊であることから「銃」をもたせることにこだわったという[1]。なお、敵メカであるザクは総監督の富野喜幸によるラフデザインはあったものの、当時は主役メカ以外は商品化されることはなかったため、スポンサーの注文もなく大河原が自由にデザインしたという。ただし「モノアイ(単眼)」は富野の要望により取り入れられた[4]

名称は、当初「パワードスーツ」をそのまま使う案もあったが訴訟の懸念もあり、すでに決定していた「機動戦士」という単語の「機動(モービル)」に「スーツ」を付け、間延びを解消するために縮めて「モビルスーツ」とされた[1]。この名称は、富野が自分で造ったと高千穂遥との雑誌対談で述べている[5]

サイズは、当初はパワードスーツと同様に2.5メートル程度が想定されたが、子供にアピールできないとして大型化された。18メートルという身長は、元祖巨大ロボットであるマジンガーZに戻しただけであるが、当時はコン・バトラーV(57メートル)やダンガードA(200メートル)などさらに巨大なロボットが主流であったため、兵器として十分リアルに思えるのではないかと考えられた。また、ほかのメカとの兼ね合いで「絵」として見せられる限界の大きさでもあった[1]

また、MS同士が同じ画面の中で戦う理由付けとして、レーダーを使用不能にするミノフスキー粒子が設定された。

これまでの巨大ロボットでは、多くの場合コックピットが頭部にあったが、MSのコックピットはほとんどが腹部にあるとされた。これについて、『機動戦士ガンダム』の設定考証を担当したスタジオぬえの松崎健一は、「人型」にともなう重心位置の関係で、運動しているときに一番動きの少ない部位であるからとしている。ただし一方で、敵から見た場合には狙いやすく、頭部と腹部のどちらがよいのかは実際にMSを造って乗ってみないと分からないと述べている[6]

モビルスーツの性能といえば現在ではエンジンである核融合炉の出力(=パワー) を表す「ジェネレーター出力」、ロケット噴射などの推進力(=移動力)を現す「スラスター推力」などが代表的なもので、その他にも「センサー有効範囲」、「全高・頭頂高」などがある。 実は、これらの設定は最初から存在していたわけではなく、「機動戦士Zガンダム」ではじめて登場したものである。「機動戦士ガンダム」が制作されていた頃には、作品世界観の考証は、裏設定という形で存在したが、モビルスーツ単体の性能の設定を作ることはそれほど重視されておらず、「最高出力2万5千馬力」や、「地上最高歩行速度100キロ」 といったような、子供向けの本や玩具用の設定が一応作られていた程度だった。しかし、高校生?大学生といった高年齢層であったガンダムのファンたちはそれでは飽きたらず、放映終了後もムック「ガンダムセンチュリー」(みのり書房刊)などをはじめとして積極的にあらゆる設定の考証がなされ、ガンダムを語る上での一つのジャンルとなっていった。このような状況で、よりリアリティのある再デザインされたのが『Zガンダム』という続編を作ってからだった。MSの「出力」に関する数値設定も「kW」という単位で再創作された。それ以降、ガンダムシリーズの他の作品でもモビルスーツのスペックにはより細分化されているが、概ね『Zガンダム』で作られたスペック項目をベースに作成されている[7]
宇宙世紀のモビルスーツ

『機動戦士ガンダム』をはじめとする「宇宙世紀」を舞台とする作品において、モビルスーツの「スーツ (SUIT)」は "Space Utility Instruments Tactical(戦術汎用宇宙機器) の略とされる[8][9][注 2]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:274 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef